森 眞人さんの飯舘に関する呟き

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@MORI_Masato_k

311直後はこんなことになるなんて夢にも思わなかったよね。 最初にびっくりしたのは当日の数十分後から始まった津波の悲劇だった。 宮古や釜石、行ったことのある街の海が洪水のようにあふれ出し、その水は街まで破壊した。

2012-06-15 22:27:10
@MORI_Masato_k

三陸の津波なんて大昔の話はただの昔話だと思ってたからそれが目前に再現されたのはまったく信じられないことだった。 そのあともっとすごい惨状を見たのが宮城の海沿いの田園地帯をごうごうと埋め尽くしていく波、波、波。その先にはトラックやバスも走っていた。

2012-06-15 22:30:03
@MORI_Masato_k

これはえらいことになったって誰もが思ったと思うが・・ だけど信じられないのはそのあと。 僕が最初に政府に怒りを覚えたこと。 物資補給の困難で三陸の被災地で死人が出た。 みのもんたとかもTVでぎゃーぎゃー言ってたけどその後もしばらく物資不足は何も変わらなかった。

2012-06-15 22:32:43
@MORI_Masato_k

その時だって僕の周りを含めて世間はかなり「ふつう~」に回っていた。 それなのに死人まで出てもそれほど大きな報道にはならなかったと記憶している。 僕はもう、一人で激怒していた。

2012-06-15 22:33:56
@MORI_Masato_k

そうしているうちに原発の爆発だ。 三陸の被災地で死人が出たのは爆発よりも後だったんだろう。 僕の記憶では原発の事故より前のような気もしているけど、原発の爆発はだいぶ先だったもんね。 その時は例の爆発シーンが何回もTVで出ていてニュースでは「大丈夫でしょう」とかいってたよね。

2012-06-15 22:36:41
@MORI_Masato_k

爆発の後は菅が記者会見するとかしないとかで、僕の頭の中ではもう「メルトダウン」という怖い言葉がぐるぐる回っていた。でもその言葉の意味はよくまだわかってなかったけど。ようやく記者会見になって僕は菅が「メルトダウンしました」と言うもんだとばかり思ってたけど「爆発的事象が」とか言ってた

2012-06-15 22:39:34
@MORI_Masato_k

「容器の健全性は保たれている」とかそれに近いことも言ってた。その頃は僕は素直に「ああ、メルトダウンじゃないんだ」くらいに安堵してた。今思えば健全性があったってメルトダウンはあるし実際その段階でメルトダウンは起きてたんだよね。

2012-06-15 22:41:16
@MORI_Masato_k

僕は震災の前年まで飯舘村というとこの診療所にいた。 けど村長とけんか別れになって震災の前の年に診療所やめて北海道へ戻った。診療所の医者は役場の向かいにある老人ホームに往診にも行くので僕も何度も行ってた。それだけじゃなくいろいろあって原発事故後の村がとても気になってた。

2012-06-15 22:44:39
@MORI_Masato_k

だけど「放射能で」心配って最初はしてなくてホームの薬とかどうしてんのかとか要するに物資不足の事ばっか気になってた。それで連絡してうちの診療所の薬とかもしできるなら援助できるかななどと思い様々連絡を取ろうと思ったけどそれ調べているうちに「放射能」の問題に初めて遭遇したんだ。

2012-06-15 22:48:01
@MORI_Masato_k

最初はやっぱあのNHKかどっかの放送だったか。水からすごいベクレルが出たとかそういうこと。でその時例の村長が全国放送に出て「報道は汚染が『ひどい』ことばかり報道して迷惑だ」とか言ってて。僕はなんか違和感持って。「え?逃げるとかじゃなくて?」そこから「不信」がはじまった。

2012-06-15 22:51:33
@MORI_Masato_k

それから僕は「ベクレル」やら「マイクロシーベルト」についていろいろ見た。そうしたら飯舘村では10マイクロ、20マイクロとか言ってる。レントゲン検査とかそういうのも比べてみて僕も「これはもしかしたら大変なことか」と思った。そして村ではようやく栃木だったかどっかへの希望者の避難が。

2012-06-15 22:55:29
@MORI_Masato_k

だけどそれでもその「希望者」ってのが全員になるとばかり思っていたら半分くらいも行かなかったと記憶してる。そこからだ。本当の放射能との戦いは。このころから地域の「分断」が始まっていたからだ。当初僕には「何で非難しないの??」ってのがさっぱり分からなかった。

2012-06-15 22:57:33
@MORI_Masato_k

「なぜ避難しないのか」それはしばらくして答えがおぼろに分かってきた。「土地」や「しがらみ」、「生活」だ。僕は村にしばらくいたからあの人たちが何を守りたがっているのかなんとなくわかる気がした。でもだからこそ人より「悲劇」が見えたんだと思う。

2012-06-15 23:00:39
@MORI_Masato_k

村の小学校、全部じゃないけどそんなわけで見知った子供たちもいたわけで、それに村で往診に行った先にもたくさん子供たちが暮らし、遊んでいた。村民が避難を渋ること、それに子供たちが引っ張られること、その二つが頭で結びつくまでそう時間はかからなかった。それが「悲劇」だ。

2012-06-15 23:03:56
@MORI_Masato_k

その後も妙な状況が続いた。「大変だ」と思う人は他にもいて、今中先生とか小沢先生とか放射能に詳しい先生がやってきて線量の調査をしてくれた。そういう人たちの評価もやはり僕が感じていた心配を裏付けるものだったし、村からは一時的にでも一刻も早く退避をと思ったんだよね。

2012-06-15 23:30:10
@MORI_Masato_k

そこで村に登場するのが山下他長崎大の面々だ。それをなぜか村長が呼んだ。その頃彼らがどんな存在かなんて僕は知らないしまあ正当な評価をするもんだと思っていたが実際は逆だった。「笑ってる人には放射能の害は来ません」。有名な演説がなされたのはこの頃だ。

2012-06-15 23:32:46
@MORI_Masato_k

「笑ってりゃ放射能は大丈夫」にはぶったまげた。同時に僕は村長が何を意図して彼らを呼んだのかがなんとなく理解できたし、また村長がまた何を意図し希望しているのかもわかる気がした。でもそれはすごく「いやな予感」だった。

2012-06-15 23:34:44
@MORI_Masato_k

村長は次第に意図を表に出して行動するようになった。結局彼が言いたかったことは村の存続。それは当然だった。「までい」で作り上げてきた村だったし合併話があった時も独自の路線をと断ったと聞いていた。村への「愛」は本当だったと思う。事故なんてなければ最高だったのに。

2012-06-15 23:37:42
@MORI_Masato_k

だけど「放射能」相手だと敵が悪すぎたと思う。いくら村への愛が大きくてもその「愛」で駆逐できるほど甘いもんじゃないってのは、その頃の僕でもうっすら分かった。村の大半を覆う深い森。山。畑や田んぼだけだって表土ひっぺがして全部、なんて言ったらどれほどのことか。それは絶望的に見えた。

2012-06-15 23:40:16
@MORI_Masato_k

そして僕の中では決定打だったのは森住さんが飯舘村に入って撮ってきた1枚の写真だった。長泥という村で言うと南の方、原発に近い方の集落の雨樋の下で100マイクロを超える線量計を撮った写真。考えると雨樋の下は一番高くなるのだがそれにしても狂ったように高いかった。

2012-06-15 23:52:32
@MORI_Masato_k

別に雨樋の下が100マイクロであろうがなかろうが安全サイドに立てば10や20だって大騒ぎだ。だからいろんな手で「避難を」と呼び掛けていたつもりだったけどその頃には「分断」が村を真っ二つにしていたしそれどころか外から意見を言う人々も意見が「真っ二つ」だった。これには驚いた。

2012-06-15 23:55:35
@MORI_Masato_k

それからはもう状況は今とほとんど変わらない。避難が当然だと思っている僕らなどが「なぜ子供たちを避難させない」と言えば、「生活が」「牛が」「畑が」いろいろ・・。ネット上での論争は激しさを増すばかりで今に至っている。

2012-06-16 00:04:04
@MORI_Masato_k

今は(まあその頃からだが)その論争は単なる「避難論」だけにとどまっていないのは周知の事実。山下の言うところの「100mSv安全論」はじめとして論争はもはや「真っ二つ」状態だ。科学的に裏付けられていると他方は言い、反論もまたしかり。結局これに白黒つけるのは無理かと絶望するほどだ。

2012-06-16 00:07:04
@MORI_Masato_k

飯舘村では山下に加えてチーム中川なるものも暗躍し始める。その頃には「いやな感じ」かどうかは行動を見れば大体察しがついた。役場を訪れて村長と長々話す、なんてのにろくな連中はいなかった。稲やたもがみの怪しい一派もそのひとつだった。あれにはあきれたが。村長も真面目にあんな連中と話すなよ

2012-06-16 00:09:44
@MORI_Masato_k

飯舘村のその「変さ」を見ていた僕は、放射能に関する「妙な」風潮に、一般の人より先に気づいていたように思う。それは子供たちを避難させずに村への愛を強調する村長のもとを訪れる人々が一様に「いや、村長の姿勢には感服いたしました」と言ってたこと。

2012-06-16 00:15:34