サッカーに全く興味の無い歴オタの為のEURO解説(その1)イタリアvsスペイン

面白かったので勝手にまとめました。 俺のような歴オタでサカオタには腑に落ちる解説。 追記:読み難いという意見があったので分割しました。 その2→ http://togetter.com/li/322728
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善浪 @zennami

そういえば今日はサッカーを知らない、興味もない歴オタの為に、昨日のイタリアvsスペインがどういう試合だったかを何とか解説出来ないものか、と一日考えていたのですが、多分イイ感じの説明を思い付いたので解説してみます。一言で言えば昨日の試合は「補給線の奪い合い」だったのです。

2012-06-11 23:55:41
善浪 @zennami

まずすごく乱暴に例えますと、イタリアとスペインはそれぞれ呉と魏です。だと考えて下さい。どちらも武将の武力自体は高くありません。呂布や張飛みたいに、一人で万軍を相手に出来る戦闘マシーンはいないのです。で、イタリアの基本戦術は専守防衛、スペインは兵站構築能力の高い侵略型です。

2012-06-12 00:00:22
善浪 @zennami

…だったのですが、昨日の一戦は少々勝手が違いました。スペインの侵攻と同時にイタリアも攻めて来たのです。しかもスペインのお株を奪う兵站能力で。

2012-06-12 00:02:20
善浪 @zennami

ここで言う「兵站」とはポゼッション、つまりボール保持能力のことです。両軍の目的は兵站線を伸ばして出来るだけ敵の本拠地に近付き、部隊を送り込んで打撃を与えることです。

2012-06-12 00:05:26
善浪 @zennami

どうやって本陣に近づくか?二つの方法があります。一つは強行軍。とにかく部隊を進軍させ単独で本陣を襲います。もう一つは補給線を伸ばし拠点を確保しながら戦線自体を敵に近付けていく方法。イタリア、スペイン共に後者がメインの戦術です。両者とも強行軍に耐えうる強兵がいないからです。

2012-06-12 00:09:33
善浪 @zennami

ただ両軍の戦術には若干の相違がありました。イタリアの場合、まず拠点(選手)を設置しながら補給線を縦横に伸ばし(パスを回し)、ある程度本陣に近いところに前線基地を建設すると、そこから機動力の高い少数精鋭の部隊を敵陣に送り込みます。それで打撃を与えられればよし。外れても被害は少ない。

2012-06-12 00:13:21
善浪 @zennami

一方スペインは単純です。どこであろうととにかく中継基地を作りまくるのです。そうしてどこからでも補給を受けられる、撤退も出来る、という状況を作り、じわじわと前線を押し上げていきます。結果、敵陣の目前に大軍を展開、数の利を活かして波状攻撃をかけられるわけです。

2012-06-12 00:17:08
善浪 @zennami

そう考えるとスペインのやり方はローマ帝国の戦略に近かったかもしれませんね。まあそれはともかく、昨日の試合はその両軍の戦術が面白いくらいに「噛みあった」。両者共に攻守が上手くいった。その末のドローだったと思います。

2012-06-12 00:20:14
善浪 @zennami

さて、昨日の試合のキモは守備のやり方の違いでした。スペインの場合、敵の補給線を分断するのが基本的な守備戦術です。敵が後方から送ってくる物資を滞らせ前線の部隊の動きを麻痺させる。つまりパスカットです。スペインは敵部隊の動きをコントロールし、実に巧みに兵站線を分断することが出来ます。

2012-06-12 00:25:05
善浪 @zennami

対するイタリアに敵の動きを読みコントロール出来るまでの知将は多くありません。なので彼らは、敵が補給基地を建設しているところに強襲をかけ、拠点の敷設を全力で邪魔する作戦に出ました。これによりスペインは兵站の構築が不完全なまま、半ばなし崩し的な攻撃を強いられたのです。

2012-06-12 00:30:09
善浪 @zennami

加えて昨日の試合、天嶮の地を舞台にしていたらしく(芝が長く、渇いていた)のでスペインは補給に苦労したようです。しかしそれでもスペインの兵站能力は世界最強です。難しいなら難しいなりに、拠点建設と拠点防衛能力に優れる工兵シャビ、機動力に優れる騎兵イニエスタを中心に攻めてきます。

2012-06-12 00:34:25
善浪 @zennami

イタリアの中心武将は兵站管理に優れたピルロ、遊撃兵カッサーノ、バロテッリら。特にピルロは物資の輸送が得意で、長い距離を有り得ない早さで送り届けることが可能です(ロングパスで)。こうして如何に敵の兵站線を潰しながら自分たちの兵站線を伸ばしていくかの勝負が始まったのです。

2012-06-12 00:39:57
善浪 @zennami

両軍の作戦はどちらも半分成功し、半分失敗しました。イタリアはピルロが建設した前線基地から小兵、ディナターレが敵陣の攻撃に成功。しかし、スペインもイニエスタ、セスク、シルヴァ、シャビらの武将を前線に送り込むことに成功し、シルヴァの掘った抜穴からセスクが城内に侵入し打撃を与えました。

2012-06-12 00:45:34
善浪 @zennami

それでも勝敗がつかず痛み分けに終わったのは、ひとえに両軍の守将が防衛し切ったからです。イタリアのブッフォン、スペインのカシ―ジャスの働きは見事でした。

2012-06-12 00:47:59
善浪 @zennami

先に業を煮やしたのはスペインだったと思います。シルヴァやセスクによる前線の構築を諦め、トーレスという猛将に強硬策を取らせます。結果的にこれは効果を上げられず、最初から最後まで防衛策を貫き通したイタリアに防がれましたが、もしスペインが従来の戦術を維持し続けたならわかりませんでした。

2012-06-12 00:51:26
善浪 @zennami

スペインではむしろイニエスタがその能力を発揮したと言えるでしょう。彼は機動力と突破力に優れた騎兵ですが、同時に兵站管理能力も持ち合わせ、イタリアの防衛網ははっきり言って彼を止められませんでした。

2012-06-12 00:53:52
善浪 @zennami

まあしかし、結果を見ればイタリアはスペイン本城を陥落せしめること叶わず、またスペインはイタリア本城を包囲し切れず、戦争継続が難しくなり両軍撤退、と相なったわけです。ただその影には両軍による熾烈な兵站線の奪い合いがあり、それが実に合理的で(ほぼ)全ての選手が合目的的に動いていた。

2012-06-12 01:00:06
善浪 @zennami

昨日の試合がロースコアの引き分けであったにも関わらず面白かったのは、そういった駆け引きがあったからだと僕は思いました。というわけで、長くなりましたがサッカーを見ない、興味もない、という歴オタの皆さんに少しでも伝われば幸いですが、多分伝わらないとも思います。でも別にいいです。

2012-06-12 01:02:40
善浪 @zennami

はい、というわけでですね、もう気付いたらフランスvsイングランドが始まってるんですね。この戦に関しては…よくわかりません。えー一応両軍ともどちらかと言えば強行軍メインのような気がします。

2012-06-12 01:08:42