夏の匂い、感じるTL。

たんたんめん@2日目西ふ39a @km170

「パンはパンでも食べられないパンはなーんだ？」 「え、分かんなーい！」 「答えは、これさ」 パン、パン――闇夜の空で、色鮮やかな花火が刹那の輝きを放ちながら、僕達の体を照らし出し始めた。 「わあ、きれい……」 僕は彼女の手を握り、ゆっくりと深呼吸をした。夏の匂いがした。

たんたんめん@2日目西ふ39a @km170

「ピザって10回言って」「ピザピザピザ……ピザピザ」「じゃあ、ここは？」　彼が肘を指差すと、幼い頃の記憶が甦ってきた。転んで膝を擦り剥いては、手を差し伸べられた日々。でも、もう私は転んだりなんかしない。雨の音が耳を劈く中、濡れたアスファルトをしっかりと踏み締めた。夏の匂いがした。

ざがんちゃん @Zagan_chan

「ふとんがふっ飛んだ！」 軌跡を追うように空を見上げると、力強い入道雲が空を覆い隠している。ふとんはやがてゴマ粒のように小さくなり、蝉時雨のなかへ溶けていった。 「そうか、もう冬布団はいらないもんな」 妙に納得した僕は一人帰路へつく。ポツポツと降り出した夕立から、夏の匂いがした。

ちせ @chisell3

「あのね」 君は長いまつげを伏せたまま言った。 プールの金網に寄り掛かって青い空を仰いだ俺は、眩しさにやられ間抜けなくしゃみをひとつした。 「あの」 君は一度唇を結び、ゆっくりと白い手のひらを差し出した。 「とりあえず、返そっかそれ」 僕が着た君のスク水から、――夏の匂いがした。

ゑくり @weccri

皆でトマトの投げ合いして遊ぼう！って君は眩しい笑顔で言ったよね。僕は君の笑顔を信じてトマトを持ってきたんだよ。なのにどうして僕以外の人はドリアン持ってるの？なんで1対3なの？ドリアンってほぼ岩だよ？いたいっ！！いたいよ！！！あ！！割れた！！！割れたドリアンからーー夏の匂いがした。

@_Samsky_

「見た目は子供、頭脳は大人!その名も、名探」 「おい、やめろよ……」 「な～んて、マセたガキだったよね!」 「るせーな」 「でも、確かにあの頃も本当に大人っぽかった」 「もう良いだろ……」 「元の大人に戻れたんだものね……新一」 前のコースターから、夏の匂いがした。

ねいろ @_Neillo_

「あなたの風邪はどこから？」「どこだったかな。捨てたよ」「え？」「過去は、捨てたんだ」そう言うと彼は立ち上がった。「行こう」「ええ」。夏の匂いがした。

@karesaka___

「でもあなたと私は…ｽﾞｯともだよ…！」 そう言った君は夏が終わる前に遠くの村へ引っ越していった。仄かに抱いていた恋心を手紙にしたためて文通もしたが返事は途絶えていた。10年越しの返事は結婚を知らせるもの。 「おめでとう」 出席するため物置から取り出したスーツから夏の匂いがした。

ミモー @3mo3mo3mo

中学時代の友達とすれ違った。名前を呼んだけど、彼はイヤホンを着けてランニングをしている途中だった。案の定気付かれなかった。後ろから男子高校生が私を追い抜いた。ちょっと話題にされた。――夏の匂いがした。

ろくでなし @45078_

This is a pen.『これはペンです。 持ち主はペンを置き忘れて留学先へ行きました。 昨年の梅雨、まだ陽の登る放課後、突然の告白、泣きじゃくる私に「ごめんね」の一言。 湿気混りの空気が彼の一言を思い出させる いつかペンを渡しに行くから －－－夏の匂いがした。

👨🏿‍🎓ɹəʌ￣ɴɐɓɐ𝕏 🐈 @Zagan_ver

今日の午前中はいつもよりも凄く暑くって、そんな中外でテニスをしたけれど、疲れ果てて途中で寝転がったアスファルトがとても熱くて、そして午後からは一生懸命作った紙飛行機なんかを飛ばしてみたりなんかして、凄く懐かしい、なんていうかこう、夏の匂いがした。

さくらのすばる @sakurano_subaru

「浴衣の下って何も着けないんだろ？」 「はぁ？そんな勘違いしてるのアンタだけだよ」 でも、僕は知っている。君がぱんつ穿いていないことを。不機嫌そうに下駄を響かせ人混みに溶けていく浴衣の袖を、そっと掴んでみる。 「人の居ない所に行こう」 振り返る君の後れ毛から、――夏の匂いがした。

坂本マキコ @makiko_bh

見慣れた通勤ルートの帰宅途中、軒下に綺麗な容姿の男子高生を見つけた。突然の雨に降られて困っているようだ。しばらく見ていると彼は通りかかった女の子に声をかけた。「そこのバス停までいれて」女の子は頷き二人は雨の中へ消えた。わたしは「イケメンは特だ」と悔しがったそうな。夏の匂いがした。

かりん @kariin_2

「今日の夜ご飯なににしよっか？」あの頃と変わらない無邪気な笑顔できみは僕に尋ねる。あれからどれくらいの月日を君と過ごしてきたのだろう。そしてこれからも…風鈴の音に耳を傾けながらぼくは答える「そうめんがいいなあ」部屋に爽やかに吹き込む風はーー夏の匂いがした。

ときやパパ @tokiya_papa

部活の休憩時間、校庭で日に焼けた上半身裸の彼が、 ホースで頭から水をかぶり水浴びしてるのを、 影からスポーツタオル持った下級生が友達とヒソヒソ話しながら待ってる。 そこにマネージャ兼彼女がそっと「おつかれさま♡」と声をかける。 その彼が実は僕だったりする--夏の匂いがした。

かきくけ くうね @ku_ne_

メロスは激怒した。 拳を強く握り、唇を噛み締めた。血が流れ出る。不思議と痛みは感じない。瞳孔は開き、復讐の念で溢れていた。 王の元へと踏み出した彼は“誰か”とぶつかった。パイオツカイデーのJKだった。 メロスは落ち着きを取り戻し、下心丸出しの顔で手を差し出す。――夏の匂いがした。

きゃりーしおしお @6si

中学生の時、まだ未経験だったぼくは、父親に初体験のコトを聞いた。こんなこと母親には聞けないから。そしたら父親は「あれは夕方頃、太陽が沈みきる前の薄暗い彼女の部屋の中、俺の影に重なる彼女を、探すように確かめるように求めたんだ。…まあ、これ全部母親なんだけどな！」──夏の匂いがした。

@_mimi_me

｢え、ばあちゃんが…?｣─久しぶりにみたばあちゃんは小さかった。眠るような横顔を見ながら、いつか手を繋ぎ歩いた坂道を思い出す。｢ずっと黙ってたなんて…。｣ばあちゃんの秘密。うっすらと、しかしはっきりと生えかけたヒゲがすべてを物語っている。深く息を吸い込んだ──夏の匂いがした。

かりん @kariin_2

「明日会いに行くよ」昨日の夜、遠恋の彼からかかってきた電話を思い出しては、にやけそうになる。会えるのは3ヶ月ぶりだ。じりじりと照りつける太陽に目を細めながら、自転車を立ち漕ぎで駅へと急ぐ。新しいワンピースを羽ばたかせる風はーー夏の匂いがした。

sa10syu1 @hagaerun

語尾に「夏の匂いがした。」を付けると、季節感が出て詩的になるなぁって思ったけど満員列車に揺られながらツイートしてるみたいだから実際には 汗臭いニオイを感じているんだなぁって思えてきて、ほのかに夏の匂いがした。

@emoryunick

恵美子は新婚2年目の夫を家で待っていた。幸せを絵に描いた様な夫婦生活。しかし―今日に限って彼の帰りは遅かった。どうしたのと尋ねる彼女に「会が長引いてね」といつもの笑顔で答える夫。しかし、だからこそ感じる違和感――夫が脱いだスーツをそっと手繰る。恵美子の知らない、夏の匂いがした――

べに @benituki13

「君が好きなんだ」帰り支度をしてる君をプール脇に呼び出して言ったんだ。君がどんな顔をしているのか、僕は見れない。でも、僕の言葉に完全に戸惑っている様子は感じる。長い沈黙が続くが、帰ってしまう様子はない。僕は思い切って、その少しのびたひげを感じる口にキスをした。‐‐夏の匂いがした。

たんたんめん@2日目西ふ39a @km170

「ねえ、あなたもこれ食べてみない？」と彼女は無邪気に笑うと、手のひらいっぱいのカブトムシゼリーを僕に差し出した。　「新しい世界が、私達を待っているのよ」　森の中で暑い陽差しを受けながら、僕は口にゼリーを頬張った。たくさんのカブトムシが顔一面に張り付いて――夏の匂いがした。

坂本マキコ @makiko_bh

「散歩行こっか」 「えっ」 彼から突然の提案。時計の針は深夜12時を回っていた。ひんやり心地好い風が頬を撫でる夜を手を繋いで歩く。宙を仰げば女神がミルクを流している。家に戻る前にコンビニに寄り、パピコを買って半分こした。私は、くすりと笑う。彼は、顔を赤くする。 夏の匂いがした。

@kiririant

今日の午後は体育か。六月の中盤にさしかかり気温も伸び盛りの季節だが天気は移り変わりやすい。そんな今日は今にも雨が降りそうなどんよりとした空模様だかプール開きなのだ。…もやはり水は冷たかった。唇を青くし震えながらプールサイドで一人タオルに僕はくるまっていた。ーー夏の匂いがした