コールドスリープの難しさ

4
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

生物の凍結保存といえば、SFでおなじみのコールドスリープがあるけど、実はそんなに簡単なものじゃない。

2012-06-18 22:13:20
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

生物の体の大半は水で構成されている。これは即ち、生物の体を構成する細胞もまた水で満たされていることを意味している。ここで、水の特性として液体から固体になる時に体積が膨張してしまうという現象がある。つまり、普通に凍結してしまうと細胞が破壊され、解凍しても生き返ることはできない。

2012-06-18 22:15:53
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

で、凍結した時に細胞が破壊されない様に凍結保護剤というものを加えることもある。例えばそれはグリセロールだったり、塩化ナトリウムだったり、いろんな種類がある。どれがどの濃度でその生物にとって適しているかは、トライアンドエラーで検証していくしかないのが現状。

2012-06-18 22:19:30
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

もちろん濃度が濃すぎれば細胞にダメージを与えることがあるし、薄ければ効果を発揮しないこともある。また、各細胞にまんべんなく行き渡るかどうかも問題。表面や循環系の近傍の細胞にのみ凍結保護剤が浸透し、奥の方にある細胞に届かなければ、凍結した際に奥の方の組織から破壊されることになる。

2012-06-18 22:21:34
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

極地に生きる生物には自前で凍結保護剤を細胞内で生合成し、長い冬季の寒冷状態に耐えるものもあるが、それは進化の段階で徐々に獲得したもので、すべての生物に適用できるものではない。 ま、参考にはなるけどね。

2012-06-18 22:22:56
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

んで、凍らせる方法も難しい。一気に凍らせるほうがいいのか、それとも徐々に凍らせるほうがいいのか。徐々に凍らせる場合は温度の下げ率はどれぐらいにするのか、リニアに下げるのか、ステップワイズに下げるのか。考慮すべき問題は多い。

2012-06-18 22:24:12
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

あ、そうそう。冷凍庫でお肉を上手に凍らせる技術。あれは非常に興味深い。 そのまんま応用できるかどうかは分かんないけどね。

2012-06-18 22:25:41
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

凍らせる温度も何度がいいのか。通常の冷凍庫の−20〜30℃ぐらいなのか、業務用フリーザーの−80℃なのか、市販品の最高レベルの-152℃なのか、液体窒素の-196℃なのか。低ければ良いってものでもないし、低くするほど維持が大変。

2012-06-18 22:30:41
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

低温保存してる時の温度コントロールも重要。物によってはちょびっと温度が変動するだけでも生存率がガクンと下がる。

2012-06-18 22:32:49
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

解凍するのも大変。細胞内の氷・水の状態変化の仕方次第で細胞はダメージを受けてしまう。いかに細胞にダメージを与えずに解凍するか。温度コントロールはどうするのか。

2012-06-18 22:35:32
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

例えば電子レンジでお肉やお刺身を解凍する時だって、うまくやらないとヒョ面に熱が通り過ぎてしまうよね。人間でこれやったら、全身やけどですわ。 

2012-06-18 22:39:21
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

ヒョ面ってなんだ…orz 表面だよ…

2012-06-18 22:39:54
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

じゃ、ゆっくり解凍すればいいかって言うと、表面近くの組織は解凍されてるのに、心臓や肺はまだ凍ったままになってまう。んなことになったら表面の組織は壊死してしまうがね。

2012-06-18 22:39:25
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

理想を言えば、細胞内の水環境に大きな攪乱を与えることなく、表面から内部までほぼ均等に温度の上げ下げのコントロールがきちんと取れること。 こう書くと簡単なんだけど、この技術が実に難しいんですわ。

2012-06-18 22:41:51
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

例えば、実験でよく使われる大腸菌。遺伝子組換えした大腸菌なんかは−80℃のDeep Freezerで保存する。この時、凍結保護剤には最終濃度15%のグリセロールを用い、培養した大腸菌を培地ごと一気に撹拌、液体窒素で瞬間凍結って方法を取る。

2012-06-18 22:44:37
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

大腸菌なんかは細胞サイズがちっちゃいので、生物体の表面と内部での温度差が殆ど無く非常に扱いやすい部類ではある。

2012-06-18 22:45:52
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

んで、使うときには、凍結サンプルの一部を用いて、再び培地に戻してやる。 この時で生存率はだいたい数%(もしくは0.数%)と言われている。 単純な比較は難しいけど、人間の体で細胞の生存率数%って、そりゃ生きてませんがな。

2012-06-18 22:47:06
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

ま、こんな感じで生物の凍結保存はまだまだ難しいって話ですわ。

2012-06-18 22:49:52
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

そいえば、今現在コールドスリープされてる方って少なからずいらっしゃるのよね。その技術、ほんとうに大丈夫?って思いますの。

2012-06-18 22:50:48
ぐるぐるうづまき @guruguruuzumaki

以上ざっくりと説明してみました。

2012-06-18 22:51:38