デジタル一眼レフによるビデオ撮影について by 片岡K監督 @kataoka_k

片岡K @kataoka_k

イヤになるほどアマチュアの方にされる相談が「ビデオカメラを一眼レフのデジカメに買い換えたい」ってヤツ。この場を借りて解答を書くと「何を撮るかによる」だ。何かしら映像作品を作り上げる気なら一眼レフもアリだろう。だが、例えば子どもの運動会を撮るような人にはビデオカメラが断然いい。

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数年前からプロの世界ではCanon EOS で撮影された映像作品が流行。デジタル一眼で撮影した映像は確かに雰囲気があってカッコイイ。しかし現状デジイチの動画機能でまともなムービーが撮れる人が果たしてどれだけいるか。餅は餅屋、ビデオを撮るならビデオカメラにしておいた方が賢明だ。

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いまや画面のどこにでも自在にピントを合わせてくれるデジタル一眼レフだが、動画に切り替えた途端にオートフォーカスなんかなくなる。どの機種もマニュアルだ。「それぐらいなら自分にも…」なんて思うととんでもない目に合う。動く被写体にピントを合わせ続けるって、想像以上に難易度が高いのよ。

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ビデオカメラならフォーカスはカメラにお任せ。動画の撮影というのは、被写体以外の人の動きまで横目で追ったり、この先の動きを予測したり、同時に音を聞いたり…とにかく処理すべき情報が多い。プロなら数人〜十数人でやる作業だ。ピントなんかで躓くと肝心のモノは何も撮れなくなってしまう。

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それからデジカメのムービーは連続20分までしか録画出来ないことも覚えておいた方がいい。ビデオカメラとは「20分以上動画を録画出来るカメラ」なのである。ビデオとデジカメでは関税が違うから、このルールは厳密である。学芸会の演目が20分以上あったら、撮影途中で録画終了である。

片岡K @kataoka_k

デジタル一眼でちゃんとムービーを撮れる人はどんな人か？ 想像するに、まずは一眼レフのカメラも何年にも渡ってオートではなくマニュアルで使いこなして来た人。そして、当然ビデオカメラでもたっぷり動画を撮影し、経験豊富な人。尚且つ、チョロチョロ動き回るお子さんを被写体として考えない人だ。

片岡K @kataoka_k

わかるよ。今までコンパクトデジとビデオを使ってた人たちが、プロっぽい美しい動画が撮れそうなデジタル一眼レフに目が行くのは当然だ。一台で済んじゃいそうだしね。もしどうしても欲しけりゃ、一年は修行期間だと腹をくくること。その間息子が運動会で何等だったかなんて一切気にしないことだ。

片岡K @kataoka_k

その通りだと思うよ。ただしその責任はプロにもある。RT @kasa_ga_nai: @kataoka_k 作品を創る人（制作者）と、機械を使う人（技術者）を混同してるんじゃないですかね。音楽も似たような事情で、素人が買える金額の機材でプロの仕事環境と似たことができちゃうから…

片岡K @kataoka_k

いつからかディレクターたちが自分でカメラを回し始めた。自分で全部やっちゃう方が煩わしさもないし、限りなくイメージに近い映像が撮れる。だからプロの映像作品はつまらなくなったのだ。だってそんなもの、所詮たった一人の人間のイマジネーションに過ぎないもの。今はカッコ良く見えるだけだ。

片岡K @kataoka_k

それは、小室哲哉がスタジオで一人で作ったサウンドに似ている。小室さんのイメージ通りの音は完成度が高く、あっという間にチャートを独占し、音楽の作り方を一変させた。だが、人々はすぐに飽きたんだ。当然だよ。いくら作っても、小室哲哉が考えもしないような音楽にはならないんだから。

片岡K @kataoka_k

映像でも同じことが起こっている。ディレクター一人のイマジネーションに頼るなかれ。そんなもの最高に上手くいったって100点だろうに。ディレクターがいてカメラマンがいて編集マンがいて、それぞれ違うイマジネーションを持った人間が力を合わせるから300点や500点のモノが出来るんだ。

片岡K @kataoka_k

少なくともデジ一眼のムービー機能がキミの映像に魔術をかけてくれるなんて幻想を抱かぬこと。FinalCutのエフェクトがアラを隠してくれることもない。そんな奇跡がどこかで起きてるならば、所詮その程度で見栄えの変わるチンケな映像なのだ。本物は撮ったままで見せたって人を魅了する。