『パターンランゲージを途上国支援に活かすには』

発想の転換。こうした発想を現場で取り組む人たちに繋いでいけたらすごく理想的。シンプルで捉えやすい。
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井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

ちょうど最近、井庭研でも同じような構造の議論をしていた。途上国支援にパターン・ランゲージの方法を使うことができないか、ということだ。しかし、そういって一般的に考える考え方とは違う適用の仕方をする。それについて少し書いてみたい。

2012-06-20 10:21:43
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

途上国支援(開発援助)をするというとき、まずその国の住人と、それを支援する外部の人たちがいる。アレグザンダーの建築での構造を当てはめるならば、住人と建築家ということになる。パターン・ランゲージは、建築家のデザイン発想を記述し、住人とシェアすることでコラボレーションをしようとした。

2012-06-20 10:26:34
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

しかし、ここでよくよく考えてみると、このパターン・ランゲージは、支援をする側→される側(建築家→住人)というかたちで一方的なものになっていることに気づく。つまり、その国・地域の外の人の知・こだわりは言語化されて共有されるが、その国・地域の人の知・こだわりは、人の中にとどまる。

2012-06-20 10:30:43
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

非対称性を克服しようとしたにも関わらず、非対称性を違うかたちで生じさせてしまっている。これでは、問題を深いレベルで解決したことにはならないのではないか。つまり、支援する側の知・こだわりをパターン・ランゲージとして言語化するだけでは、片手落ちなのだ。

2012-06-20 10:32:27
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

そこで、逆向きのパターン・ランゲージも書いてみたらどうだろうか。支援される側の人たちは、その国・地域で、自分たちの生活・人生をデザインしている人たちだと捉え直すのだ。そうすると、そこでの住人たちこそがその国・地域での生活の玄人なのであり、外から来た人が素人ということになる。

2012-06-20 10:34:28
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

つまり、その国・地域での生活の知・こだわりを、パターン・ランゲージとして記述するのだ。そうすれば、どんなこだわりをもって、その国・地域の人たちが自分たちの生活・人生をデザインしているのかが、外部の人にもわかるようになる。

2012-06-20 10:36:07
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

こうして、その国・地域の生活者(支援される側)→外部の人(支援する側)というパターン・ランゲージと、支援する側→支援される側のパターン・ランゲージという2種類のパターン・ランゲージができることになる。

2012-06-20 10:37:02
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

その2つのパターン・ランゲージは、どちらも、その国・地域の未来をデザインするという共通の目的をもって記述される。そして、Context、Problem、Solutionというような記述形式も共通。違うのは、それぞれの知恵・こだわりの出所だけ。

2012-06-20 10:39:16
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

そして、途上国の支援される側と支援をする側は、これら二つのパターン・ランゲージを合わせたランゲージを用いて、未来のあり方を議論し、デザインし、実践していく。このような方法・道具として、パターン・ランゲージを用いることができるのではないか。

2012-06-20 10:40:46
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

こうすることで、ようやく「自分たちで自分たちの未来をつくる」ことを外の知恵も活かしつつ実現するということが可能になるのだろう。ここには、もはや、外から与えるという態度はない。ともに学び合い、ともに未来に向かって進んでいくのである。

2012-06-20 10:42:16
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

このような新しいかたちで、途上国支援に、パターン・ランゲージを活かすことができるのではないか、ということを最近、井庭研では考えている。(途上国支援・開発援助という領域なので、僕らだけではどうにもできないけれども。)

2012-06-20 10:44:01