- HiroshiAoi1
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昔は、親方が見習いを親から預かりますと、どんなアホでも5年でだめなら10年かかっても、ちゃんとしてあげようとします。おまえはこの仕事にむかないからやめた方がいいなんてことは言いません。棟梁の方にも責任があります。なんぼバカでも、ちゃんとしたものに仕立てて帰らせてあげななりません。
2012-06-22 16:27:04わたしが始めてもらったのはのみでした。おじいさんが「これ使いこなしてみよ」と言ってくれました。一本じゃなしに、五分、八分、一寸二分だとか一揃いでした。そのときは、うれしいというより「厄介なものやな」と思いました。責任の方が大きくなりますからな。
2012-06-14 16:27:05薬師寺の西塔は今、基壇が高くなって塔も一尺高くなってるけど、五百年もたつと東塔と同じくらいまで沈むんですわ。そして千年たって東塔と並んで西塔が建っておりましたら、ええですがな。
2012-06-14 12:28:01ヤリガンナは室町時代ごろから忘れられておった。正倉院にあった小さなヤリガンナを元に再現したんやが、鉄が悪くて切れんのですわ。それで堺の刀鍛冶に頼んで法隆寺の古釘を使ってヤリガンナを仕上げてもらった。これが切れるんですな。鉄がそれぐらい違うんや。
2012-06-14 08:27:25宮大工以外にもトウリョウと呼ばれる人がいるんですが、字が違うんです。トウは頭、リョウは領分の領で頭領です。つまり、棟梁の下にそれぞれの頭領がいるわけですな。法隆寺の場合などは、一日一回、頭領衆の寄合いがありまして、そこで打ち合わせが行なわれるんです。
2012-06-12 16:27:13電気の道具は消耗品や、わたしらの道具は肉体の一部ですわ。道具を物としては扱いませんわ。それと道具も自分だけの物やと考えるのは間違いです。形ひとつにしても今決まったんやない。長い長い間かかって、使うにはこの形がいいと決まったんですから。
2012-06-12 08:28:02大地震があって、東塔は倒れたけれども西塔は残った、ということになれば、まあ安心ですけれども、東塔が歪んだまま立っているのに、西塔が倒れたということになったら作ったわたしは生きてはいられないですな。腹切って死ななければなりませんな。
2012-06-11 20:27:10「人は仕事をしているときが美しい」いいますな。それは、人の動きや心に無駄がないからです。建造物も同じですな。機能美というんでしょうな、こういう美しさを。飛鳥の建造物にはこうした機能を第一とした美しさがありますな。
2012-06-13 08:28:11仕事の割り振りでも、季節を考えなきゃなりませんな。働く人は農家の人が主です。だから仕事をするのでも農閑期に使えるように段取りしたものです。今はそれがありませんな。旬がなくなったんです。旬は食べものだけじゃないんでっせ。仕事を進めていく上でも自然の運行と深い関連がありますのや。
2012-06-10 08:27:14心がけの問題です。わたしと一緒に法隆寺で仕事をした大工は60人ほどおりましたが、宮大工で残ったのは、わたし一人だけでした。みんな気張ってやっているんですけど、学ぼうという心がないと、ただ仕事をするだけになってしまうんです。
2012-06-10 12:27:06ヒノキという木があったから、法隆寺が千三百年たった今も残ってるんです。ヒノキという木がいかにすぐれていたか昔の人はすでに知っておったんですわな。このヒノキと古代の建築物とは切っても切れんということです。
2012-06-09 20:27:19今はノコギリでひくから寸法どおり四角く切れますが、昔は材を割って作ったんやからね。まっすぐに割れたと思っても、でこぼこしてるでしょ。今のように、なんでも人間の思ったとおりにできるのがあたりまえと思っているのがおかしいのや。
2012-06-10 16:27:04