茂木健一郎さん連続ツイート第６３４回【「学生諸君よ、自分たちを守ってほしい」】

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第６３４回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日の君たちとの会話を受けて！

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がじ（１）木内孝胤さん（@takatanekiuchi）の演説会に行って、木内さんの演説を拝聴し、ぼくもしゃべった。ぼくの内容は、「日本人をなめるなよ」ということ。まだまだこんなもんじゃない。そして、日本人が元気になるためには、「自分たちの内なる既得権」を退治することが必要。

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がじ（２）木内孝胤さんは熱い人で、こういう人はなかなかいない。何よりも、消費税増税が閣議決定されてすぐに、民主党を離党されたことは、決断力や先見の明という点において高く評価されるべき。木内さんは、その迅速な行動によって、大きな政治的資本を手にしたということができる。

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がじ（３）その、木内孝胤さんの集会の手助けに、学生のボランティアたちがたくさん来ていた。打ち上げの席で彼らと話して、とても面白かったのだけれども、いくつか危惧するべき点があった。そのことを、今朝の連続ツイートのテーマとしたいのである。

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がじ（４）学生たちに、「今の大学、ダメだろう？」と水を向けると、みな一応に「そうだ」という。教授たちが十年一日のごとく、同じ話をしている。下を向いて、聞き取れないような声でぼそぼそ言っている。就職予備校と化している。そんな大学のていたらくを前に、彼らは「皮肉のスタンス」に陥る。

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かじ（５）授業は単位をとればいい、大学以外の活動が、大切。ともだちができればいい、学問は、むしろやらない方がかっこいい。そんな大学に対する「皮肉のスタンス」が形成されてしまっていることは悲劇的なことだし、不幸なことだと思う。日本を、そして世界をつくるのは君たちなのだから。

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かじ（６）東大の経済のやつがいて、「ぼくは勉強なんかしません」と言ってへらへら笑っていたから、ふざけるな、としばらくやってたら真剣なまなざしになってきた。東大入っちゃったけど、ぼく、勉強していません、なんていうスタンスがかっこいいと思っている段階で、ださい。世界の田舎者だ。

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かじ（７）波頭亮さん（@ryohatoh）がよく言われていることだけど、アメリカのアイビーリーグの学生は、在学中３００冊くらい関連書を読む。それくらいの切磋琢磨をしないと、グローバル化した烈しい競争の中で、すぐれた人材をつくれない。なのに君たちは、一体何をしているのだろう。

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かじ（８）山梨から来たという学生が、学問以外の、地域つくりボランティアなどの経験が大切などという。違うんだ、その地域つくりこそが、最先端の学問のテーマじゃないか。複雑ネットワーク、法と倫理、commons, 利他性。そこに硬質な学問があるんだよ。気づいてくれ、そして、走ってくれ。

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かじ（９）学生諸君に告ぐ。君たちを皮肉のスタンスにさせてしまっている大学組織も、文科省も、おそらくすぐには変われない。だからせめて、自分を守ってくれ。本当の学問を見つけて、今すぐ疾走を始めてくれ。これからの世界をつくる上で必要な、「今ここ」の学問を始めてくれ。一緒に走ろうよ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第６３４回「学生諸君よ、自分たちを守ってほしい」でした。