原発事故問題に関しての安冨意見を踏まえた法律家・高嶌先生による意見

dabiturさん依頼により作成いたしました。
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TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(1)安冨さん@anminteiが昨日,私見として,様々な原発問題の優先順位を示されました。→https://t.co/rY326531

2012-06-25 19:27:39
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(2)安冨さんが示された順位は次の通り。(a)福島の被害者救済、(b)放射能汚染対策,特に食物、(c)再処理工場実験再開〔阻止,撤回〕、(d)もんじゅ〔実験運転再開阻止〕、(e)原発の再稼働〔阻止,撤回〕、(f)放射性瓦礫〔拡散阻止〕(1~5をa~fに変更,〔〕は高嶌追加)。

2012-06-25 19:28:32
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(3)そのうえで「人々が、私の感じる優先順位の低い方から、立ち上がるのか、不思議」とコメントされてます。@dabiturさんも,再稼働反対運動が結果として福島の被害放置につながる懸念を述べられてます。→https://t.co/ca36qg37 私もこの懸念はありうると思います。

2012-06-25 19:29:51
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(4)確かに,われわれの時間と労働力は限定されていますから,その効果的な使い方を考えることは重要です。そこで,なぜいま多くの市民の活動が(e)(f)に集中しているのか,少し考えてみました。

2012-06-25 19:30:15
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(5)まず,(c)(d)(e)(f)は,「新たな放射能拡散につながりうる」,「国(ないし地方自治体)の積極的行為である」,という点で共通します。

2012-06-25 19:30:37
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(6)これらのうち,状況が明確である(e)(f)については,これ以上の放射能拡散に対する懸念と,地域ぐるみで阻止を働きかけやすいことが,活動の高まりの一因であると思われます。

2012-06-25 19:30:54
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(7)(f)については,瓦礫の遠距離移動に経済的合理性がないこと,被災地支援に回るはずの国の金銭が,瓦礫処理を通して企業等に流れてしまうことも考慮されていると思われます。すなわち,国による本来不必要な積極的拡散行為であり救済の妨げになるという点も,活動の高まりの根拠といえます。

2012-06-25 19:31:57
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(8)他方,(c)(d)の反対運動が活発でない理由は,私見によれば,従来ほとんど報道されていないため,市民が充分にこれらの危険性を認知していない点にあると考えます。(d)については,再開の具体案がまだアナウンスされておらず,切迫性の程度が低いことも理由に含めて良いでしょう。

2012-06-25 19:32:17
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(9)(a)についてはどうでしょうか。被害救済が不充分なことは誰の目にも明かです。なのに,なぜ救済に向けた法律や制度を作るよう国に働きかける運動は盛り上がらないのでしょうか。その理由は,ここでの問題が国や東電の「不作為」を原因とする点に求められると思います。

2012-06-25 19:32:40
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(10)少し具体的に考えれば気づくことですが,法律や政治に直接関わりのない市民からすれば,支援の法律や制度を作ることが望ましいと分かっていても,具体的に国にどんな提案をすべきかは必ずしもよく分かりません(ちなみに私は法律家ですが,私もどのような支援法が適切か,悩んでいます)。

2012-06-25 19:33:36
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(11)すなわち,様々な支援のパターンを比較衡量して国に一定の支援策を提案するには広汎な専門知識と現場の情報を要するため,どのように国をせっつけば良いかが分からないのです。この推察を裏付けるのが,民間レベルの避難者支援活動は活発である事実です。

2012-06-25 19:34:23
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(12)避難者への支援は,地方自治体のみならず,各地域ごとにNPOその他の民間団体が精力的に実施しています。抗議行動のように明瞭に目に見える形ではありませんが,被害者支援に携わっておられる方はかなりの数に上ると考えられます。

2012-06-25 19:34:46
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(13)さらに,被害者の間でも避難者と残留者とでは利益状況が異なり,支援のあり方が全く異なりうることもまた,市民がこの問題について国に具体的な提案を行うことを難しくしています。

2012-06-25 19:35:05
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(14)以上をまとめますと,市民の多くには被害者を支援する意思はあるが,具体的な提案という形で運動するのは困難であることが,(a)の活動が広まらない理由ということになります。

2012-06-25 19:35:52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(15)また,後述のように,継続的な被害者救済を実現するには,新たな事故の発生を防止することが不可欠であるという観点からすれば,(a)の問題は,「新たな放射能拡散には必ずしもつながらない」という点で,(c)(d)(e)(f)と異なる性格を持っているといえます。

2012-06-25 19:36:08
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(16)次に,(b)はどうでしょうか。ここでは最も重要な放射性物質を含む食物の生産と流通に絞って考えてみましょう。放射性物質を含む食物の生産・流通は,新たな放射能拡散につながりうる積極的行為ですが,(c)(d)(e)(f)と異なり,その行為主体は国ではなく,生産者と流通業者です。

2012-06-25 19:36:42
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(17)そして,食品による内部被曝につき,すでに国は食品衛生法を改正し,原則100Bq/kgを超える食品の製造・流通・販売に刑罰を設けています。この基準は不充分ですが,内部被曝の影響が充分明らかにされていない段階で,ここまでの規制を設けたことは評価されるべきだと考えています。

2012-06-25 19:37:15
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(18)すると(b)で問題になっているのも,国の不作為(より厳しい基準を設けていない,あるいは食品衛生法を厳格に適用しない)です。これに対し,市民は具体的にどんな反対運動ができるかを次に考えてみましょう(ちなみに「ねじり鎌一揆」は違法なのでダメです)。

2012-06-25 19:37:52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(19)まず,内部被曝の影響が充分に確定できていない現状で,市民が国に,より厳しい基準を設けるよう活動するのは困難です。仮に専門家の協力を得て厳しい基準を提案しても,現在の規制の不合理さを明らかにできない限り,法改正の可能性は低いと考えます。規制は営業の自由と衝突するからです。

2012-06-25 19:40:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(20)他方,現行の食品衛生法を厳格に適用し,悪質な生産者や事業者を検挙するよう運動するという可能性はあります。少なくとも悪質な事例については,同法をもっと厳格に適用しろ,という主張はむしろ当然です。

2012-06-25 19:40:47
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(21)ただし注意すべき点があります。道路交通法のように厳格に適用されていない刑事法はわが国にたくさんあります。このような従来の適用慣行からすれば,急にこれらの法律を厳格に適用することは,別件逮捕などの看過できない問題点を発生させる恐れがあるため,慎重たるべきです。

2012-06-25 19:41:52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(22)以上をまとめますと,国の不作為に対して一定の提案を行うことの困難性,および従来の法の運用形態とのギャップが,(b)の活動が広まらない理由ということになります。

2012-06-25 19:42:14
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(23)次に,@dabiturさんが指摘される,福島の被害者支援と再稼働撤回運動の関係を検討してみましょう。この問題は色々な観点から検討できると思いますが,ここでは,継続的な支援体制の確保という点を取り上げるにとどめます。

2012-06-25 19:42:31
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(24)一般に,被災者の救援・支援活動を行う際の注意点のひとつに,救援者自身の安全確保があります。例えば,冬山の遭難者を救出する救助隊は,まず自分の安全を充分に確保すべきであるとされています。

2012-06-25 19:42:46
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(25)吹雪の中で無理をして自ら遭難してしまうことは,先の遭難者の放置につながるのみならず,犠牲者の数を増やす結果となる点で,最も避けるべき事態だからです。

2012-06-25 19:43:10