<a class="info_title emj" href="https://togetter.com/li/327604" title="連詩 Deep Deep blue">連詩 Deep Deep blue

(２) きみは声でなく意識だった。あじさいの中でなにかを聞く。同じ時私は絞り染めのテーブルクロスに爪を立てていた。平たい花瓶につっぷしてカタツムリ噛み潰してやろうかというこのはぎしりよりも、私は気づいている。私、風呂のせんぬき忘れている。 #ディープブルー

2012-06-26 20:50:35

(3) 私、風呂のせんぬき忘れている。あなたは私を見ているのではなくて、私の向こうに世界を見ている。確かなものなど何ひとつないなど、そんな訳はない絶対に。そのまま視線を伸ばせば手の届く宇宙が傍にある。例えば、冷蔵庫の隣に。 #ディープブルー

2012-06-26 21:05:14

例えば、冷蔵庫の隣りに。乾涸びて凍りついた私の倦怠が転がっていても。貴方は気にせずビールの缶を取り出すのでしょう。やがてそれは溶け出して、気体となり拡散し、貴方の眼鏡を曇らすの。音と光だけのテレビ。反響する独り言。共存という不在を抱いて。今日も夜が更けていく。#ディープブルー

2012-06-27 01:21:10

(5)今日も夜が更けていく。月の光は地面まで届いていた。夜の優しさが私を包んで、何も考えさせてくれない。心が空っぽになるのがわかった。この部屋にあなたが残した香りが鼻の奥にこびりついて離れない。夜の冷たさが言葉を消し去った。鍵を掛けて閉じ込めた思いは。#ディープブルー

2012-06-27 20:29:04

(6)鍵を掛けて閉じ込めた思いは。きれいな円を為し、漏斗をつたう。きみとともに傾いて、石の森、放す蝸牛の触手へ、寝台がひき延ばされる。預けたい。眼に視えるものすべて。 #ディープブルー

2012-06-27 21:50:33

(21)靴下のぬげた小さな痙攣。記憶も亦痙攣より溢れだす。あの日の、30年に一度だという2012年5月21日の金環食を思い出していた。くっきりと光る環。暗闇が全ての視界の中に、鮮明に橙色の環だけが輝いていた。君の明るい比喩。深い深い青に、静寂の時間が存在していた。#ディープブルー

2012-07-04 19:24:07

@lika8yanagi

（７）眼に視えるものすべて。眼に視えるものすべてが、きみだった、いや。世界だった？蝸牛の螺旋のぐるりをたどり、鎮守の森のざわめきに澄ます、鋭敏なきみの感覚さえも夜になる。ことばは、こころだった。いや、そのまえに、私だった？視えるものすべてを瞑り、めくられてゆく。＃ディープブルー

2012-06-28 12:21:45

(８)視えるものすべてを瞑り、めくられてゆく。一枚、一枚、の、映像を、噛む。わたしは幻を手に佇む、これを材料にと、世界から手渡されたから。頭上の海も冷蔵庫も、砂漠の最果ても透き通っている幽霊、わからない世界しかし、鼻に。優しい目蓋。ここはどうしても暖かい。 #ディープブルー

2012-06-28 13:38:56

(92)ここはどうしても暖かい。しかしハッブル定数の彼方にも僕達の世界は見出せるだろう。拡がりとしてのintegrity/コンテクストは夢を見る。人類の概念は億光年に届き、情報流の渦中に、彼らの夢が繋がり響き合う、適応解の夢を見る。至極真っ当なリアリストとして。#ディープブルー

2012-06-28 21:12:58

(10)至極真っ当なリアリストとして。と、僕の声を塞ぎこみ君は嗤う。赫い舌を踊らせて。襲いくる絡みつき解けない粘膜状の快楽はいずれ無化され、太古のリズムに変化する。言葉を綴れない。今は其れで、いい。リリスの様な女。やがて溶けてく。暁、闇。 #ディープブルー

2012-06-29 08:19:23

(11)暁、闇。迎え撃つのは白昼の光か。ミュートのかかった空気は昨日を希った君を笑って貫いた。｢心を殺しても犯罪にはならないのよ、この世界は。｣　刺された心で叫んだ言葉。―言葉？いや、咆哮だろう。気取ったのは、ペシミスト。そんな、君には。もう飽きた。#ディープブルー

2012-06-29 15:06:43

(12)もう飽きた。（映写機は空転）あの銀河からはいくつかの汽笛。ストロボが亡者のなかへ君の横顔を差し込んでゆく。窓枠は流れ。じきにここも真空になるね。数と音とが、ふたりから走り去り。空気が最後の動きをみせる。 #ディープブルー

2012-06-29 20:54:22

@lika8yanagi

(13)空気が最後の動きを見せる。慣れ親しんだ数をたどり、ふたたび頷かないように耳朶をふさぐ。まどろみのなか、真空の無音に冴え、きみの肌のうっすらとした産毛もしっとりと夜を帯び。侭ならなかった、ここさえも、眩いものに溢れていた。 #ディープブルー

2012-06-29 23:12:05

(１４)侭ならなかった、ここさえも、眩いものに溢れていた。ぽつり、ぽつり。目で追うしみ壁紙に乾いたクロスグリの遺影を数える寝台からひとりぬけでた幼い足取りのような、ような。月明かり硬水のボトル冷蔵庫のドアよ。あなたは半袖。寝息。 #ディープブルー

2012-06-30 23:34:17

（１５）寝息。あなたのくれた鼓動に準ずる琥珀色の言葉は私を立ち止まらせている。解るようでいて解らないのは言葉だからだ、言葉が全てだ、見えているもの見えていないもの全てについて言及しよう。冴えた月明かりに風が吹き抜ける。深緑の樹々の間から飛び立つ、今を見ている。#ディープブルー

2012-07-01 12:06:10

深緑の樹々の間から飛び立つ、今を見ている。反復する痛み、言葉の網にて今を捕らえ、翅を毟り標本化する。冴えた月の光は結晶化された今を透かし影を落とし、それが真実それが私だ。数々の今は今、殺された。新生児の微笑みを憶えているか。朽ち果てた願いと、風景と。 #ディープブルー

2012-07-02 21:14:10

(17)朽ち果てた願いと、風景と。それを人は希望と呼ぶのだろう。彼女は白の色した山茶花を｢椿よ！｣と命名した。水蒸気に包まれた空間。その、彼方。塵が散らばる。雨が降っているのはここか。それとも私の外か。世界は一つ、なのに。思い違いも甚だしい。 #ディープブルー

2012-07-03 19:07:03

(18)思い違いも甚だしい。きみと僕との狭間降るものは色を変え浮き上がった名で天が膨れる愛と呪いのいくつもの名づけを引き連れ鳴らして全てはスキャット意味なく降れよ意識のままなきみ。声としておいで。 #ディープブルー

2012-07-03 20:20:19

@lika8yanagi

声としておいで。音声学的に障る意味と印象のうちに、わたしはきみの輪郭に触る。来て、ここに。遅くなる、きみの名前という名前の音韻が。忘れてもいなかった未来の、振り返ったままのわたしの、雨だれに傷んだ肌理の。耳元の後毛が、線影を映す。きみという痙攣に、夜が閉じてゆく。#ディープブルー

2012-07-03 21:19:52

(２０)きみという痙攣に、夜が閉じてゆく。明けてゆくフリルの透明水彩をこの街の空のカーディガンで散らした校庭の青背骨とむすぶ星の鎖のパレードおおきな夢の、一輪車の。夕暮れの植物図鑑と百合。「おかえり」のおはなし、靴下のぬげた。靴下のぬげた小さな痙攣。 #ディープブルー

2012-07-03 22:07:03

(21)靴下のぬげた小さな痙攣。記憶も亦痙攣より溢れだす。あの日の、30年に一度だという2012年5月21日の金環食を思い出していた。くっきりと光る環。暗闇が全ての視界の中に、鮮明に橙色の環だけが輝いていた。君の明るい比喩。深い深い青に、静寂の時間が存在していた。#ディープブルー

2012-07-04 19:24:07

深い深い青に、静寂の時間が存在していた。潰される、重くのしかかり、赤い霹靂が貫く、再び。こじ開けられた痛み、虚無の来訪と恐怖。人形の身体を持て余し眼を閉じる事も出来なかった。寧ろ不在でありたかった。途切れた連環の端を口唇に咥えたまま、ひとり、泣く、青。 #ディープブルー

2012-07-05 22:24:31

(23)途切れた連環の端を口唇に咥えたまま、ひとり、泣く、青。きつく閉じた目に、瞼を通過した光が眩しい。拒絶。でも君は希望を魅せる。何度でも楽しげに二人の将来を話すんだ。そんなの、願ってしまうではないか。君の手をとれば未来が近づく気がした。どこまでも、優しい、青。#ディープブルー

2012-07-06 07:15:53