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2012年6月26日

山本七平botまとめ/塩野七生の予言「日本は”和”によって滅ぶ」/~和の絶対化がもたらす危険な「相惜顔面・上下雷同」~

山本七平著『帝王学―「貞観政要」の読み方』/上下雷同は危険だ/66頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①人の意見は、一致しないのが普通である。そこでその是非を互いに論じ合うのは、本来公事の為の筈である。ところがある者は自分の足らない所を隠し、その誤りを聞くのを嫌い、自分の意見に対してその是非を論ずる者があれば自分を恨んでいると思う。<「帝王学―『貞観政要』の読み方」

2012-06-25 09:58:18
山本七平bot @yamamoto7hei

②これに対してある者は恨まれて私的な不和を生ずる事を避け、また『相惜顔面』すなわち互いに相手の面子を潰しては気の毒だと思って、明らかに非であると知っても正さず、そのまま実施に移す者がいる。一役人の小さな感情を害する事を嫌がって、たちまち万民の弊害を招く。

2012-06-25 10:21:02
山本七平bot @yamamoto7hei

③これこそ、まさに亡国の政治である」と。 『貞観政要』の中には様々の学ぶべき点があるが、何やら日本の欠点を指摘されているような気持になるのがこの部分である。

2012-06-25 10:58:29
山本七平bot @yamamoto7hei

④前に塩野七生氏と「コンスタンチノープルの陥落」について対談した時、その国を興隆に導いた要因が裏目に出ると、それがそのままその国を亡ぼす要因となる、と私が言うと、氏は即座に賛成され、間髪入れず、日本の場合はそれが「和」であろうと指摘された。

2012-06-25 11:21:22
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤確かに我々は論争を嫌い、相手の感情や面子を尊重して「マア、マア」で全体の和を保とうとする。そして、これが実に能率的だという事は「論争が国技である」イスラエルに行くとつくづく感じて「国の破産状態をよそに論争ばかりしているから、何一つてきぱきと解決できないのだ」という気がする。

2012-06-25 11:58:19
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥彼らもそれに気づいているらしく、勿論冗談だが「日本の大蔵省と通産省をそっくり輸入し、和を第一としたら……」などと言う。確かにそう言える面があるが、塩野氏の指摘通り「和」には恐ろしい一面がある。

2012-06-25 12:21:37
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦太宗は続ける。「隋の時代の内外の役人達は、態度をはっきりさせず、どっちつかずの状態にいた為に亡国の大乱を招いてしまった。多くの人は、この問題の重大さに深く思いを致す事はなかった。そうしていれば、どんな禍いが来ても自分の身には及ばないと思い、表面的には『はい、はい』と従って(続

2012-06-25 12:58:22
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧続>陰で悪口を言い合いながら、それを憂慮すべき事とは思わなかった。後に大乱が一気に起こり、家も国も滅びる時になって僅かに逃げのびる事が出来た者も、また刑罰・殺戮にあわなかった者も、みな艱難辛苦の末やっと逃れたのであり、その上当時の人から酷く非難・排斥される結果になったのである。

2012-06-25 13:21:13
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨そこで諸官は私心・私的感情を除き去って公の為に尽し、堅く正道を守り、腹蔵なく善いと思う意見を述べ、絶対に『上下雷同』すなわち上と下が付和雷同するような事があってはならない」と。

2012-06-25 13:58:29
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩【「和」によって亡ぶ】前に記した「玄武門の変」の時の太宗と部下との関係を見ると、皆実にずけずけと意見を述べている。危機の時はそうなっても、安楽な平和が続くとついつい「なるべく衝突は避けよう、どちらにしろ大した問題じゃない」という気になってしまう。

2012-06-25 14:21:02
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪危機の特は、誰でも判断を誤れば直接身に危険が及ぶという気になるから、必死になって意見をいう。だが平和な時は、不知不識のうちに「これでオレの命が危なくなるわけでもないし……」が前提になっている。

2012-06-25 14:58:24
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫だが、部下が激論して初めて問題の焦点が明らかになるわけで、そのような「和」で全て表面的には丸くおさまっていれば、太宗にも何もわからなくなる。隋はそのようにして一歩一歩と破滅へ進んでいった。そして最終的には、小さな摩擦を避けて、これが安全と思っている者が酷い目にあった。

2012-06-25 15:21:15
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬これへの太宗の批評を見ると、私は日本の軍部の事を思い出す。「軍部内の和を乱すまい」――不思議な事に、国の存亡が関わるという状態になっても、この事が優先している。塩野氏の指摘された「和によって亡ぶ」は必ずしも未来の事でなく、過去に既に経験ずみなのである。

2012-06-25 15:58:17
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭軍部内にも合理的な意見があったのは事実である。例えば多田駿参謀次長の「無条件撤兵論」などがそれで、中国から無条件で撤兵しても相手は海軍がないから追撃はされず、日本の国益は何一つ損ずる事がない。

2012-06-25 16:21:24
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮目的の明らかでない作戦を四年も継続し、いつ終わるか見当もつかず、何の為にやっているのか政治的目的もはっきりしないといった状態は、自らこれを打ち切ろうと思えばできるのである。それができない。軍の面子にかけての反対が出るに決まっているし、そうなれば激論になって「和」は保てない。

2012-06-25 16:58:26
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯東京裁判の東條被告の副弁護人であった松下正寿氏は「それでは部下がおさまりません」が日米開戦の理由であった旨、述べているが、これもまた「軍部内の和が保てません」で、まさに「上下雷同」なのである。

2012-06-25 17:21:14
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰更に海軍は内心では開戦に反対なのだが「陸海軍の和」と、マスコミと一部政治家が醸成した「上下雷同」に押され、絶対に「反対」とはいわず「総理一任」という形で逃げている。

2012-06-25 17:58:17
山本七平bot @yamamoto7hei

⑱いわばあらゆる面における「相惜顔面・上下雷同に基づく和」を崩すまいとし、衝突がないからそれが一番安全と思い、それによって破滅する。その結果国民は苦しみ、責任者は皆、隋の遺臣を評した太宗の言葉通りの運命に陥っている。

2012-06-25 18:21:05
山本七平bot @yamamoto7hei

⑲危急存亡の時になってもこうだったという事を頭におくと、日本は将来「和によって亡ぶ」という塩野氏の言葉は、一種の不気味さをもっている。

2012-06-25 18:58:22
山本七平bot @yamamoto7hei

⑳これは企業でも同じで…再建に乗り出す前の佐世保重工を見ると「経営者と組合の和」が絶対化され、これまた「上下雷同」で、厳しい言葉を口にする者は誰もいない。まさに「相惜顔面」だが、そうやっていても自分の身に禍いが振りかかると思っていない。そして進駐軍が進駐して来て初めて目が覚める。

2012-06-25 19:21:19

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