サッカーに全く興味の無い歴オタの為のEURO解説(その4)フランスvsスペイン

新作をまとめました。 その1→ 伊-西 http://togetter.com/li/321847 その2→ 英-仏 http://togetter.com/li/322728 その3→ 丁-葡 http://togetter.com/li/322735
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善浪 @zennami

【サッカーに全く興味の無い歴オタの為のEURO解説・第4回】 さあ、労力の割に反響の少ないこの企画!第4回目の今日は6月23日に行われたスペインvsイタリアを解説しますよ!この試合のテーマは「スペインによるフランス干殺し」です。

2012-06-28 22:29:09
善浪 @zennami

まず背景の説明です。舞台はEURO本戦の準々決勝。勝てばベスト4です。前の試合、スペインはクロアチアに1‐0で辛勝。フランスは既に敗退の決まったスウェーデンに0‐2で完敗しています。そしてスペインは、公式大会では一度もフランスに勝ったことがありません。

2012-06-28 22:31:48
善浪 @zennami

スペインの布陣は、第一回で解説したのと同じ、所謂「0トップ」と呼ばれる、攻撃専任の選手を置かないフォーメーション。軍隊で例えれば、全ての部隊が工兵を兼任する、ローマ軍に近いのものだと考えていいと思います。スペインはこの大会、「0トップ」と攻撃専任の選手を置く布陣を使い分けています

2012-06-28 22:36:41
善浪 @zennami

フランスは、毎試合選手を変えていました。特にこの試合は負け試合の後ということもあり、ベンゼマ、リベリーはそのままですが、ナスリを落としてドビュッシー、レベイエールという守備的な選手で右サイドを固めて来ました。スペインのイニエスタらによるサイド攻撃を警戒してのことです。

2012-06-28 22:40:14
善浪 @zennami

フランスの主力は、前にも書きましたが、機動力に優れる騎士です。しかし最初の布陣を見ればわかる通り、フランス軍はまず「受身」を選択しました。まず相手の攻撃を凌ごう、と。そして隙を見付けて攻撃しよう、と。これはフランスが自分達が劣勢にある、という形勢判断をまず下していたということです

2012-06-28 22:42:48
善浪 @zennami

さて、試合はフランスが予想した通り(というかそうなるような布陣なんですが)スペイン優勢で始まります。スペインはいつもと同じように、兵站路を縦横無尽に張り巡らせ(パスを回して)敵の本城付近までじわじわと前線を押し上げていきます。

2012-06-28 22:46:32
善浪 @zennami

フランスとしては、その展開はある程度計算出来ていたので、イングランドと同様に城の前に堅陣を敷こうとします。しかしフランスは、そういった「全員守備」みたいな戦術にそれほど習熟していたわけではない。しかもスペインは、いきなり総攻撃に移ったわけではありませんでした。

2012-06-28 22:49:31
善浪 @zennami

スペインはフランスの堅陣にある程度まで迫りますが、そこから戦端を開こうとはせず、やや離れた所でパスを回し続けます。そしてフランスは、それを遠巻きに見ていることしか出来ません。勿論、妨害はしようとしますがパススピードが速すぎるのでなかなか捉えられない。深入りすれば守備に穴が空きます

2012-06-28 22:52:05
善浪 @zennami

それは戦場に例えればこんな光景だったのではないか。フランス軍の本城を包囲するスペイン軍。しかしいきなり城攻めには来ず、城を包囲する、もう一重の城壁を建設し始める。と同時に、スペイン軍はフランス本城の周囲の田畑を焼き村や町を略奪する。フランス軍への補給をまず絶とうとしたのです。

2012-06-28 22:54:58
善浪 @zennami

その蛮行にフランス騎士は我慢の限界を迎え、スペイン軍から物資を略奪するため部隊を動かします。が、それはスペインの思惑通り。守備陣形をずらされたフランス軍は、勇将、シャビ・アロンソに対する守備を怠ってしまいます。前半19分、アロンソが左サイドからのビールを頭で合わせスペイン先制。

2012-06-28 23:00:05
善浪 @zennami

しかもそのゴールは、あれだけ警戒していた左サイド(フランスから見た右サイド)を起点に生まれたものでした。この時点で、フランスの思惑は脆くも崩れ去ったことになります。右サイドには守備兵を置いているので、必然、攻撃は左サイドのリベリーに偏りがちに。となれば、止めるのも容易なのです。

2012-06-28 23:01:58
善浪 @zennami

首尾よく早い段階で先制したスペインは、守備固め、とはもちろん行かず、やはり敵城を囲む城壁を築きます。そしてフランスに補給物資(ボール)をほとんど渡さないまま、ちくちくと攻撃を繰り返します。フランスも物資を奪取しようとしますが簡単にいなされ、ほとんど攻撃の機会は回って来ませんでした

2012-06-28 23:07:34
善浪 @zennami

しかし、敵の城壁に封じ込まれたフランスは、当然ですが、城の前に十分な兵力を置けてはいたのです。従って人口密度の上がった城門前は、スペイン軍もなかなか攻めあぐねます。ですが、リードしているのはあくまでスペイン。フランスは守っているだけでは勝てないというのに、守ることしか出来ません。

2012-06-28 23:11:31
善浪 @zennami

かくして時間は無情にも過ぎていき、しかも終了間際にはフランスは総大将との一騎打ちの機会(PK)までスペインに献上してしまいます。これをシャビ・アロンソが沈め2‐0。フランスの希望は完全に打ち砕かれました。フランスは自分達のいい所を見せぬまま、ベスト8で敗退することになったのです。

2012-06-28 23:15:09
善浪 @zennami

さて、この戦、スペインの良さ(だけ)が在り在りと見せつけらた戦でした。スペインの強みは言うまでも無くその圧倒的な兵站能力(ボール保持律)。兵站線の構築(パス回し)が速くて正確。そして相手に兵糧(ボール)を渡さなければ、必然的に負けることはない、という思想です。

2012-06-28 23:18:11
善浪 @zennami

対するフランスは、最初に受け身を選択した時点で、どこか勢いを失っていたような気がしました。もしフランスがスペインとガチで討ち合っていたら…。スペインにとってはそっちの方が余程嫌だったのではないか。1‐0で勝つことは無理でも、3‐2、4-3くらいなら可能性はあったかもしれない。

2012-06-28 23:20:59
善浪 @zennami

しかしここまで書いてきて、私はちょっと思いました。フランスのこの「スペインとガチでやり合うとマズイ!まずは守備を固めよう!」という対策、これは本当に正しいかったのか?これはひょっとして、スペインに誘導されたのではないだろうか?と。

2012-06-28 23:24:28
善浪 @zennami

「スペインはボールポゼッション(支配率)が高い」というのは、最早全世界の常識です。スペインからは中々ボールを奪えない。だから一旦引いて守りを固めよう。これは常識的な発想です。実際幾つものチームがそういう戦い方を選択して、ある者(多数派)は破れ、ある者(少数派)は勝ってきました。

2012-06-28 23:26:43
善浪 @zennami

しかしグループリーグ一戦目のイタリアはスペインとほぼ互角のボール支配率でしたし、先制点まで奪っています。そしてそのイタリアに、スペインは引き分けることしか出来なかった。これはスペインの弱点を現しているのではないか。そしてスペインはそれを隠す為に高い支配率を維持するのではないか。

2012-06-28 23:29:29
善浪 @zennami

私の考えはこうです。スペインの「敵陣の手前にもう一重の城壁を築き、補給物資を奪い相手を干殺しにする」。この作戦は、彼らにとっての「籠城策」なのではないか。

2012-06-28 23:31:36
善浪 @zennami

つまり、現在のスペインには、相手とガチで攻め合って、安全に勝ちを得るだけの守備力は無い。長年スペイン代表の屋台骨を支えた守将、プジョールは負傷の為試合に出られませんし、現在の守兵、ピケもセルヒオ・ラモスも「守備専任」の将ではない。守備と同時に高い兵站能力も期待されての起用です。

2012-06-28 23:35:39
善浪 @zennami

前述した通り、この日のスペインのスタメンには攻撃専任、守備専任のような選手はいませんでした(後半、猛将・トーレスが入りましたが不発)。誰もが工兵を兼任出来る。しかし兼任出来る、ということは、どこかが突出してもいない、ということであります。

2012-06-28 23:38:55
善浪 @zennami

だからスペインは、敵陣まで補給線を伸ばし、相手の城を囲む城壁を築き、敵から補給物資を奪うのです。ボールを奪われさえしなければ攻められることはないし、この位置からなら、たとえ補給物資を強奪されても、敵が自陣に到達する前に潰せる可能性が上がる。

2012-06-28 23:43:27
善浪 @zennami

我々は「ボールを支配している」=「攻めている」と思いがちですが、むしろ逆。スペインは「相手にボールを渡さない」=「攻め込まれない」と考えているのではないか。確かに簡単な理屈ではあります。そして現にフランス戦での彼らは、圧倒的にボールを支配しながらも自力では1点しか取っていません。

2012-06-28 23:46:16
善浪 @zennami

これは「フランスの守備が上手くいきスペインが攻めあぐねた」、と言うよりは、スペインが「1点取ったので逃げ切りを図っていた」と言う方が正しいのではないか、とつまりこういうことです。攻撃にはリスクがあり、リスクとはボールを失うことです。相手にボールを渡してカウンターを食らうよりは、と

2012-06-28 23:50:13