まあ、面白く聞こえるかどうかはおいといて、じゃあ紹介します。 6月30日に発売予定のキュビズム・ラブ漫画版二巻 です。 14日には小説版もでます。 どんな成立経緯で生まれたかと言えば、当時ものすごく間違えた作品を作りたくてですね。
2012-06-29 23:36:14私は人生大抵間違えた方が面白いと思う派閥でして、漫画原作でも小説でもそんな風に作っているんですが、キュビズム・ラブはその中でも間違えた企画ですね。 いやまあ、しかし間違えた人には間違えた人なりの理由があります。今日はその独白でも。
2012-06-29 23:39:37マンガの原作を作るとき、私は編集や作画さんと打ち合わせして何が欲しいのか話をします。 企画を通す極意は、相手の欲しいのを作るですね。身も蓋もない話ですが、大変効果があります。
2012-06-29 23:40:51編集の要望 かわいい女の子が主人公のラブロマンスキボンヌ (当時そのままの言葉でお送りしております。今となっては旧いですがご了承ください) 作画の希望 女の子はかきたくないですよねー 男ですよ男! 最高、男子
2012-06-29 23:42:28ええ。私が何もしていないうちに全部間違えたような組み合わせでした。 で、女の子が主人公なのに女の子が出てこないマンガ原作を引き受けたんです。
2012-06-29 23:43:56で。生まれたのがキュビズム・ラブ 主人公が箱になってしまった女の子の話です。 交通事故でほぼ死亡し、黒い箱に脳だけ押し込められた中学生の女の子が病院の中というか密室のような一つの病室の中で進行する 作画の松本テマリ限界テストマンガです
2012-06-29 23:46:54ちなみに私のモットーは。 尻尾の先が二股に分かれた黒い兄弟とだいたい同じでして、「ケケケ 俺が苦労したんだからお前らも苦労しろ ただし三倍な」 です。 あ。ケケケの部分は高貴な感じでお願いします。
2012-06-29 23:49:11私の課題はもう一つありました。 黒い箱がラブストーリーするというアクロバットの叙述です。 私はこれを数学的に解決しました。 具体的には ほぼ同じ環境のテスト環境をコンピューター内に構築して アイドレスのAI群を順次ぶつけて恋愛が成立しそうなモデルを元にキャラクターを構築しました
2012-06-29 23:52:20なんで、主要キャラの過半は人間である私はあんまり手をつけていません。 連載漫画である以上は尻すぼみというのはやりたくなかったので100話構築して飽きない程度の冗長性を持つやりとりの幅を持つ人物を総当たりで実験してやったわけですね。
2012-06-29 23:55:54スマートさに欠けるように見えますが人間の計算量をはるかに超える解法なので桁外れの組み合わせを実験して学習することができました。 この場合のやりとりが似通うケースでの枝を取っているんで、実際は1月ほどでほぼ確実なラインをはじきだしました。
2012-06-29 23:58:27ちなみに密室劇になったのはこの時のシミュレーション結果でして、密室の男女は思わぬ事が起こりうる そういう思考傾向が成立しうることを再発見したためでした。 実際このケースの物語パターンを当たって自信を深め、企画を通過させることにしました。
2012-06-30 00:00:04あ。もちろん実際に企画通すのは編集さんです。 編集さんが芝村さんの言ってることを通せる気がしないんですがと言ってきたときにちょっとだけいい気になりました。 ちょっとだけね。
2012-06-30 00:01:51では主人公の女の子はどうやって作ったかというと、実は人力でした。紹介の順番が変ですが、実際には主人公を人力で作る、それに対する相方を演算で作るという方式で運用しています。
2012-06-30 00:03:40人力で主人公を作ったのは人間の意地や魂とかではなく、 人間が読む者である以上人間の感性を第一に構築した結果です。 人間のことは人間にやらせようという考えですね。
2012-06-30 00:04:59主人公の女の子はオーディション方式とし、過去の小説とマンガ二万作品から性格を抽出して巨大な表をつくり、 そこから反復集約をかけて 漫画読みたちから選択を行いました。
2012-06-30 00:06:50以上の理論的主柱を得て、私は作品の構築をすることにしました。 ここから先は、残念ながらまだ人間のお話です。私はポメラひらいてうんうんうなりながらあーでもないこーでもないと言葉を選び、大筋が決まった上での物語(主柱のある物語)をリメイクしていきました。
2012-06-30 00:11:06これは私唯一の財産であるファンが教えてくれたことなんですが、彼らの同人活動を詳細に読んでみると、面白いのが多いんですね。 実力を超えて面白いものがいくつもありました。
2012-06-30 00:12:14この実力以上にものを書く力を俺も欲しいなと思ってどうやればそれを出来るかを研究してたんですが、ある日簡単な解決法を思いつきました。 彼らの力の一つは作品やキャラへの愛。もう一つは愛のあるリメイクは品質をあげるという単純な事実でした。
2012-06-30 00:13:58以上をもって私は私の作品のリメイクをまだ作られていない作品で実行すればいいやと思いつき、キャラを造形し、彼らを理解するまで何度もやりとりを勉強し、その上でじぶんでリメイクしました。 まさかのセルフカバー というていたらくですね。
2012-06-30 00:15:46ファンがやってのける事を俺が出来ないわけがない。 これはとてもはげみになりました。そう言う意味でファンのみんなに、この場を借りて御礼申し上げます。
2012-06-30 00:18:14こうして成立した作品ですが、問題はまだありました。いや、最大の問題ができましたというべきでしょうか。 出来た原作はマンガにするのがめちゃくちゃ難しかったのですね。 具体的には女の子を可愛く描くより黒い箱を可愛く描く方が絶対的に難しく、また前例がないのです。
2012-06-30 00:20:36作画担当の松本テマリは天才なんで今こうして種明かしをするまで え、難しかったんですかとか 箱のほうがかんたんとおもってましたorzとかやりそうですが、当たり前の結論を積み上げた当たり前の結果として、ハードルの高さは目がくらむようでした。 私が手がけた原作では一番の難易です。
2012-06-30 00:22:03だからこその松本テマリ限界テストマンガなんですね。 七つの世界を通して見ても、黒い箱を可愛く作画して誰にも異論を抱かせない画力のある人はそうそういません。 文章という条件に限れば小太刀や調子の良いときの海法というカードがあるんですが、マンガでは難しい。
2012-06-30 00:25:04