高嶌英弘氏による「子ども・被災者支援法」解説

 2012年6月21日、福島原発事故にともなう放射能汚染の被災者を対象とした「子ども・被災者支援法」が衆議院本会議で可決、成立しました。この法律の内容について、民法・医事法等がご専門の高嶌英弘氏(@TAKASHIMA724)による解説をまとめました。(2012年7月1日作成)   ※参考サイト 「子ども・被災者支援法」法案・附則全文 http://www.twitlonger.com/show/i3k9r4 続きを読む
法律
53
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(1)6月21日、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(子ども・被災者支援法と略記)が成立しました。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(2)まだ同法の条文はネット上に見当たりませんので,法案段階の条文を以下にアップロードしておきます。条文自体は,このままの内容で成立しているはずです(要確認)。→https://t.co/It2vz70t
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(3)以下で簡単に,同法の内容と特徴をご紹介します。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(4)まず,この法律の対象者は、「一定の基準以上の放射線量が計測される地域〔支援対象地域といいます〕に居住し、又は居住していた者」及び「政府の避難指示による避難者並びにこれらの者に準ずる者」です。同法は,これらの者を併せて「被災者」と呼びます。(1条)
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(5)このように,1条では,政府の指定する避難地域からの避難者だけでなく,一定基準以上の放射線量地域(支援対象地域)の住民およびそこからの避難者すべてが支援対象になることが示されています。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(6)次に,支援の基本理念については,次のように,正確な情報の提供,差別の防止,子供と妊婦に対する特別の配慮,長期にわたる継続的な支援の確保と併せて,「避難するかとどまるか,避難した後に帰還するかの選択権」が認められています。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(7)「被災者…が〔別途定められる〕支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。」(2条)
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(8)これを受けて,6条では汚染調査,7条では継続的で迅速な除染等の項目が挙げられています。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(9)さらに,支援対象地域の居住者に対する支援(8条),支援対象地域から他の地域に避難した者の支援(9条),支援対象地域外から帰還する被災者への支援(10条)が明記されています。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(10)併せて11条では,特に避難指示区域から避難している被災者(および避難指示解除後にこの地域に帰還する被災者)への支援として,「損害賠償の支払の促進等資金の確保に関する施策…家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策」を講ずるとしています。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(11)なお,被災者の支援と直接には関係しませんが,19条では,「国は、被災者生活支援等施策の実施に要した費用のうち特定原子力事業者に対して求償すべきものについて、適切に求償するものとする。」として最終責任者が東電であることを明確にしています。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(12)これらの基本的な方向性は,私が従来提唱してきた被害者支援の内容にほぼ沿うものであり,おおむね適切な枠組みであると評価できます。  しかし,注意すべき点はいくつかあります。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(13)まず,「損害賠償の支払いの促進」が,避難指示区域からの避難者だけを対象とし,支援対象地域の住民およびここからの避難者を対象としていない点です。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(14)今後,東電に対する損害賠償請求が重大な問題になることは全ての被災者に共通しているのですから,このように限定を加える理由はあまり考えられません。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(15)また,最も注意すべき点は,具体的な支援の内容及び上記の支援対象地域は,次のように,政府により別途定められることになっている点です。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(16)「政府は…被災者生活支援等施策の推進に関する…基本方針…を定めなければならない。…基本方針には、次に掲げる事項を定める…被災者生活支援等施策の推進に関する基本的方向…第8条第1項の支援対象地域に関する事項…被災者生活支援等施策に関する基本的な事項」(5条)
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(17)従って,適切な被災者支援が実現するかどうかは,今後,これらの点が政府によってどのように定められるかによって大きく左右されることになります。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(18)この点からすれば,この法律の制定によって被害者支援が確保されたとは言えず,むしろようやくスタートラインに着いただけであるということになります。今後も,適切な救済と支援の実現に向けた継続的な運動が必要です。
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724
(19)なお,この「原発子ども・被災者支援法」は,附則において,「公布の日から施行」するとされています。

コメント

ありす @alicewonder113 2012年7月25日
野党6党議員が提出した健康調査法案の行方も気になります。