茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第642回「民主主義国家だとしても、果たして正義か」

脳科学者・茂木健一郎さんの7月2日の連続ツイート。 本日は、昨日私が「巡礼」した場所について。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、ロンドンでおはよう!

2012-07-02 14:06:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

茂木健一郎 続生きて死ぬ私 第20回 ほんの少しの「春」(メルマガ『樹下の微睡み』第20号掲載)http://t.co/oIStdENj

2012-07-02 14:35:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

滞在中のイギリスは、今午前7時前です。連続ツイート第642回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、昨日私が「巡礼」した場所について。

2012-07-02 14:55:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(1)イギリスには二年留学していたし、その後も毎年のように訪れている。ブライトンでの学会のために、ロンドン入りした。もう見慣れた街だし、どこに行こうと考えているうちに、飛行機が降りる頃、そうだ、「あの場所」に行きたいと、猛烈な感情がわき上がってきた。

2012-07-02 14:56:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(2)ロンドンのエクアドル大使館に行きたい。ホテルに着いて、マップで調べると、歩いて30分。ハイドパークを抜けていく。学生のポスターを修正し終えると、ぱっとホテルを出て、まっしぐらに歩いていった。ハロッズが近づいてきて、こんなところにあったのかとびっくりした。

2012-07-02 14:57:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(3)創始者のジュリアン・アサンジ氏がエクアドルへの亡命を求めて大使館に逃げ込んだことで、ウィキリークスを巡る物語は新しい一章になった。人類の歴史を考える上で大切なことが、ロンドンという街で起こる。かつて、カール・マルクスもロンドンで『資本論』の構想を練った。

2012-07-02 14:59:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(4)ウィキリークスの活動を通して照射されたのは、「国家」というものの原罪であろう。独裁国家が悪なのはわかりやすい。ウィキリークスが明らかにしたのは、「民主国家」もまた、それが独占的に力を握る「リヴァイアサン」である以上、原罪を背負わざるを得ない存在であるということだった。

2012-07-02 15:00:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(5)そもそも、国家の「主権」(sovereignty)はなぜ絶対なのか。アナキズムを唱えるというわけではない。なぜ、国家が、その領域内で「死刑」を含む刑罰を課し、他国に宣戦布告し、個人には許されない暴力をふるうことが許されるのか。根源にさかのぼって考えると、不思議である。

2012-07-02 15:02:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(6)現実には、国家という存在はなくならないし、これからも存在し続けるだろう。それでも、一人ひとりをとればか弱い存在である人間が(オバマ大統領だってか弱い)、「国家」という形で「つるむ」と、突然暴虐な存在になることは、「民主主義」の国でも、本質は変わらない。

2012-07-02 15:03:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(7)ウィキリークスの活動が刺激的だったのは、まさに、そのような「国家」の原罪、脆弱性を明らかにした点にあった。そのような世界史的な出来事が起こる「ロンドン」という街は魅力的だし、物語の中心にいるジュリアン・アサンジ氏もまた、興味深い人物。エクアドル大使館を一目見たかった。

2012-07-02 15:05:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(8)ジュリアン・アサンジ氏の容貌、そのハッカーとしての成長、そして今スウェーデン政府によって着せられている汚名。物語としての要素が全てそろっている。アサンジ氏がエクアドル大使館に逃げ込んだのは、アメリカへの移送を恐れてのこと。「死刑」を課せられる可能性があるという。

2012-07-02 15:06:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

みは(9)ハロッズ百貨店のすぐ裏にあるエクアドル大使館の柵には、アサンジ氏を支持する張り紙が多数あり、支持者たちが何人かいた。パトカーが止まり、警官が二人話し合っていた。歴史は、ここで作られている。一目見て心の満足があり、私は次の約束の場所であるRACへと急いで移動していった。

2012-07-02 15:08:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

ロンドンに来る機内で読んだイギリスの新聞には、「アサンジ氏はこの狭い大使館内に、数日、場合によっては数ヶ月滞在することを余儀なくされるかもしれない」とありました。以上、連続ツイート第642回「民主主義国家だとしても、果たして正義か」でした。

2012-07-02 15:10:13