熱中症総論

熱中症に関する大雑把な総論Tweetまとめ
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⅃ЯAƎ⊿ @DrMagicianEARL

従来は熱中症患者では高熱こそが細胞毒性を持ち臓器障害と死をもたらすと考えられてきたが,最近の研究では①高熱に加え②循環不全による臓器障害および③SIRSが重要であり,これらが複雑に絡み合って引き起こされる④DICと⑤MODSの有無が患者の重症度を決定する重要因子と考えられている

2012-06-30 13:04:57
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①高熱:人間の耐えうる最高体温は41.6~42℃で時間は45分~8時間であった(Am J Physiol 1978;235:R228-36).高体温は細胞毒性をもち,組織・臓器障害を引き起こす.

2012-06-30 13:07:18
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②循環不全:暑熱環境下では体温上昇を防ぐため,皮膚の血管拡張・内臓の血管収縮が生じるが,これが過剰になると内臓臓器血流低下と虚血が生じ,臓器障害に至る.③SIRS:内臓臓器の血流障害は腸粘膜を損傷しエンドトキシン(あるいはPAMPs)が血流に放出されてSIRSに至る

2012-06-30 13:11:35
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④DIC:高度の熱中症では初期段階から凝固系の活性化が生じ,この凝固系は体温を下げても急には停止しない(Thromb Haemost 1996;76:909-15).この凝固系障害はDICを引き起こし,MODS/MOFに至る

2012-06-30 13:14:04
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⑤MODS:高熱による細胞毒性,SIRS,循環不全が臓器障害を引き起こす.DICは臓器の微小血管を障害し,さらにMODSが進行する.

2012-06-30 13:15:24
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旧来使用していた「熱射病」の概念は①意識障害,②40℃以上発熱,③発汗停止・皮膚乾燥の3つを満たすことが診断基準であったが,重症例を非重症と誤るunderdiagnosisのリスクが問題視されていた.

2012-06-30 13:18:30
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その後,改訂により熱中症Ⅰ~Ⅲ度分類が使用されれようになった.Ⅰ度は筋クランプまたは失神の軽症群.Ⅱ度とⅢ度の区別を明確にするため,①脳機能障害,②肝腎機能障害,③DICの3徴候のいずれかがあればⅢ度とされている.

2012-06-30 13:22:33
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①脳機能障害:意識消失・せん妄・小脳症状・全身痙攣.②肝腎機能障害:AST・ALT・BUN・Cr・CPK・血中Mb/尿中Mb.③DIC:PLT・DD・FDP・PT・Fbg.①②③のうち1つでも該当すればⅢ度.全て該当で完全型であり,不完全型より死亡率は高い

2012-06-30 13:28:17
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Ⅰ度やⅡ度熱中症であっても脳卒中,横紋筋融解による腎障害,凝固系異常がある場合はⅢ度に進行しうるため,進行重症化する場合がありうることをカルテに記載し,患者や家族に十分説明する必要がある.

2012-06-30 13:33:27
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熱中症による年間死亡数の変動は大きく,真夏日の日数および熱帯夜の日数と熱中症による死亡数,年最高気温と死亡率,年齢調整死亡率との間に有意な相関が報告されている.死亡数推移も夏季における平均気温平年差推移と一致しているおり,気象条件は熱中症による死亡の大きな要因.

2012-07-02 18:23:55
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発熱feverは視床下部によるセットポイントの変化であり,生体の正常な生理反応であるが,熱中症における高体温hyperthermiaは環境因子などの外的要因により,セットポイントは平時の37℃のまま冷却による体温調整が間に合わず体温が上昇する異常な状態といえる

2012-07-02 18:28:44
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体温に影響するのは気温,湿度,輻射熱,風の強さ,日射,衣服.外的環境を不快に思いにくい(高齢者や精神疾患を有する場合),逃げ出せない(寝たきり,けがや脳卒中で動けない,納期間近の労働,スポーツの試合中など)と熱中症の危険が高まる.

2012-07-02 18:33:39
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熱交換効率に影響を与える2つ目の因子は心機能.心不全や狭心症があると,暑熱環境下に長期におかれた場合に心臓の働きが熱の汲み出しに対応できず,体内に熱がうっ滞する.陰性変力作用を有する降圧薬内服患者も同様のリスクを有する.

2012-07-02 18:39:01
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もう1つ重要な要素として,血管内容量がある.脱水が進行すると熱運搬効率が下がり,熱うっ滞の危険性が高まる.また脱水が進行すると血液の粘ちゅう度が増し,抵抗が増大して心臓の負担を増大させることになる.

2012-07-02 18:41:54
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細胞レベルでは体温が40℃になると酵素変性が起こり始め,41℃でミトコンドリア機能低下によりATP産生量が低下し,臓器障害が生じる.ATP産生不足の影響を受けやすい脳が障害を受ければ意識障害は重症化しやすくなる.

2012-07-02 18:44:41
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熱中症では軽症時に筋肉,消化管が,重症化するに従い中枢神経,循環器,肝,腎,そして凝固系が障害を受けていく.これは血液再分配機序(redistribution)に合致しており,比較的CPKが熱中症で上がりやすいのはここに原因がある.

2012-07-02 18:49:54
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熱中症が重症化すると,血管内容量減少,皮膚末梢血管拡張,ATP産生低下(<50%)と腸管バリア破綻による腸内細菌エンドトキシンの血液内流入により敗血症と非常に類似した病態となりえる(Sports Med 2006;36:39-64)

2012-07-02 18:53:02
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熱中症におけるDICは腸管粘膜透過性亢進で惹起されるbacterial translocationによる高サイトカイン血症がDIC発症に大きく関与している.重症例ではプロカルシトニンが上昇という報告もある(ICM 2008;34:1377-83)

2012-07-02 18:56:40
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アセトアミノフェン,NSAIDsなどの解熱剤は体温調節機能が破綻した状態の熱中症では効果がなく,むしろ肝腎機能障害,DICを助長する可能性があり原則禁忌.ダントロレンも推奨されない(CCM 1991;19:176-80).原則として物理的冷却が第一選択となる.

2012-07-02 19:01:06
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Ⅲ度熱中症と重症敗血症の鑑別が困難となりうるが,FACE study,Sepsiscool studyから,いずれの疾患であっても解熱剤は使用せず物理的冷却を行うことが推奨される.

2012-07-02 19:03:13
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Ⅰ度熱中症では涼しい場所での安静と水分補給を基本とし,必要に応じて輸液療法を行う.Ⅱ度熱中症では体温調節機能はまだ失われておらず,急速冷却は避け,涼しい場所での安静と輸液(経口接種可能なら飲水)で対応する.

2012-07-02 19:08:51
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Ⅲ度では冷却の深部体温は39℃を目標に,深部体温をモニタリングしながら冷却していく.熱中症における蒸散冷却法以外にPCPSを用いて体外に導出した血液を冷却して戻す方法は非常に冷却効果が高く,呼吸・循環も維持可能である.重篤例ではPCPS可能な施設への搬送も考慮する.

2012-07-02 19:10:26
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インフルエンザ重症化リスクとして近年CPT-Ⅱの熱不安定性を有する遺伝子素因が報告された.熱中症においても重篤した患者において熱不安定性CPT-Ⅱ多型が認められたと報告されている.熱不安定性蛋白については→http://t.co/wFt93qco

2012-07-02 19:16:48
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重度熱中症では横紋筋融解症を呈する.横紋筋融解症によるAKI発症の機序として,血管内から傷害筋への体液移動による有効循環血漿量減少や血管収縮による腎虚血,高ミオグロビン血症による尿細管閉塞などが考えられている.

2012-07-02 19:21:32
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横紋筋融解症とAKIを併発すると高CPK血症,高ミオグロビン血症,CrやBUNの上昇を認める.高K血症はAKIがなくても認められ,急速に悪化することがあるため頻回なチェックが必要.傷害筋へのCa沈着により低Caとなるが,回復期は血管内に移動し高Caとなりやすく注意.

2012-07-02 19:26:13
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