【ゾンサバ小説】軍人サークと小さな夢【3日目~4日目】

診断メーカーのゲーム「ゾンビサバイバル」の結果を元に勢いで書いた小説です。 今のところ完全なソロプレイであります。 【前話】1日目~2日目:http://togetter.com/li/330602 【次話】5日目:http://togetter.com/li/333560 続きを読む
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へっぽこぴーすけ @hpsuke

(前回までのあらすじ:歴戦の軍人サークは血まみれの基地の中で仲間と武器を探していた。しかし見つけた生存者の兵士は錯乱しており、武器庫には暴徒がたむろしていた。サークは暴徒と戦闘になり勝利するが、暴徒の悪あがきにより武器庫は爆発。サークは基地を出て、荒廃した街に飛び出していった…)

2012-07-03 00:27:57

【3日目】

へっぽこぴーすけ @hpsuke

【3日目】今日のhpsuke:【探索】廃屋に転がった死体のそばに手紙を見つけた。『彼の研究……家族を……だが何かが狂った……人類のため……「館」の中に残され……』かすれてよく読めない。食糧:-3 http://t.co/Tpp89I0U 【体91食94】

2012-07-03 00:24:30
へっぽこぴーすけ @hpsuke

ほんの少し見ない間に街はすっかり荒れ果てていた。薄暗い夕暮れの曇り空の下、サークは路地を慎重に進む。曲がり角の先を確認すると、カジュアルな服装の中年男女のゾンビが2体、ぼんやりと立ち尽くしていた。恐らく夫婦だったのだろう。サークは少し考え、すぐ横の塀をよじ登った。 25

2012-07-03 00:28:38
へっぽこぴーすけ @hpsuke

塀から音もなく平屋の民家の屋根に渡り、ゾンビ達の上方に位置取る。ゾンビ達はまだサークに気づいていない。サークはよく狙いをつけた後、屋根から勢いをつけて跳躍!夫ゾンビの延髄に蹴りを叩き込み、そのまま地面に押し潰す!脆くなった首はひとたまりもなくちぎれて転がる! 26

2012-07-03 00:30:06
へっぽこぴーすけ @hpsuke

奇襲に気付いた妻ゾンビが、一拍おいて襲いかかってくる。サークは夫ゾンビの首なし死体を力任せに引き起こし、妻ゾンビに向けて突き飛ばす。よろめく妻ゾンビの一瞬の隙を逃さず、サークの蹴りが顔面にヒット!「ゥォ…ォ」ゾンビの呻き声!さらに一撃!今度こそ首がちぎれて妻ゾンビは倒れた。 27

2012-07-03 00:31:47
へっぽこぴーすけ @hpsuke

2体のゾンビを片付けたサークは死体の服を探る。妻ゾンビは何も持っていなかったが、夫ゾンビはズボンのポケットに財布を持っていた。中を確かめ、免許証を引き抜く。穏やかな顔の男だった。今のその顔は苦痛に歪み、道端の草むらに転がっている。 28

2012-07-03 00:33:24
へっぽこぴーすけ @hpsuke

武器庫の爆発により基地を出たサークは、住宅街の中を移動し続けていた。基地が危険地帯となった今、先に基地を出たはずの本隊との合流を当面の目的と定めたのだ。途中で見かけたゾンビは全て始末した。これで33体。なるべく身元がわかるよう、身分証を回収している。せめてもの償いだ。 29

2012-07-03 00:34:56
へっぽこぴーすけ @hpsuke

本隊が向かうであろうポイントを順次巡ってはいるが、今のところすべて外れだ。移動を開始して8時間、たまにゾンビは見かけるが、生きた人間は一人も見かけない。街はすっかりゴーストタウンと化していた。まさかこれほど状況が悪いとは。疲労も手伝い、焦りを隠せなくなってきている。深呼吸。 30

2012-07-03 00:36:21
へっぽこぴーすけ @hpsuke

ゾンビの長所は、恐ろしい外見、優れたパワーと、痛覚が鈍っているためショックを与える攻撃が効かなくなっていること。金的や目潰し等、動きを封じる技は効果がない。逆に短所は、知性の消失による単調な行動パターンと移動速度の低下、そして体組織の耐久力の致命的な低下だ。 31

2012-07-03 00:38:14
へっぽこぴーすけ @hpsuke

従って、高い威力の攻撃を末端部に叩き込むと、筋繊維が負荷に耐え切れずに弾け飛ぶ。そう結論付けたサークは、ゾンビの首や頭を中心に攻撃を重ねていた。幸いにも、鍛え上げたサークの蹴りであれば、一撃で事を終わらせることも少なくなかった。もちろん銃器があるに越したことはないが… 32

2012-07-03 00:39:44
へっぽこぴーすけ @hpsuke

とはいえ、8時間も移動と戦闘を繰り返していては流石に限界が近い。腕と背中の傷も痛む。夜闇もすぐそこだ。サークは一度追跡を切り上げ、休息を取るべく周囲の建物を見回した。頑丈な塀と門で囲まれた大きな屋敷が通りの向こうにある。あれならゾンビ達の不意の乱入もある程度は防げるだろう。 33

2012-07-03 00:41:36
へっぽこぴーすけ @hpsuke

門を押し開けると、錆びかけた鉄柵は鈍い音を立てた。中に入って閂をかけ、重ねてトラップを仕掛ける。それから改めて屋敷を眺めた。立派な屋敷だが、街同様に荒れ果てている。すでに廃屋といってもいい。何かが潜む気配は感じられなかった。サークは屋敷に侵入し、休めそうな部屋を探した。 34

2012-07-03 00:43:14
へっぽこぴーすけ @hpsuke

屋敷の中は外見同様にひどく荒れていたが、血痕のひとつもなく、そういう意味では休息に最適な場所だった。残念ながら食糧はすべて持ち去られた後だったが、そこまでの期待はしていない。サークは1階の確認を終え、2階へと足を進めた。そして最初の部屋で、男が倒れているのを見つけた。 35

2012-07-03 00:44:53
へっぽこぴーすけ @hpsuke

サークは駆け寄ったが、男はすでに絶命していた。この屋敷の住人だろうか。ゾンビに襲われたにしては様子が変だが…。不審に思って周囲を検めると、男の体に半ば隠されるような形で、手紙が落ちていることに気が付いた。サークは手紙を拾い上げ、素早くポケットに突っ込んだ。 36

2012-07-03 00:46:20
へっぽこぴーすけ @hpsuke

引き続き屋敷の探索を進めたが、1階同様、2階にも誰もいないようだった。確認を終えたサークは男の許に戻り、彼の体をベッドに寝かせて白い布で顔を隠した。それから、屋敷で一番守りが固いと思われる2階の奥の部屋に入り、鍵をかけた上でバリケードを作り部屋を封鎖する。 37

2012-07-03 00:47:46
へっぽこぴーすけ @hpsuke

ここに至るまでに、幾重にもブービートラップも仕掛けた。これでしばらく休めるだろう。サークはポケットから手紙を取り出す。文章の大半がかすれていたが、辛うじて読める部分を繋ぐとこうだった。『彼の研究……家族を……だが何かが狂った……人類のため……「館」の中に残され……』 38

2012-07-03 00:49:20
へっぽこぴーすけ @hpsuke

サークはじっと手紙を見つめた。念のために内容を頭に焼き付け、手紙をポケットに戻す。意味はよくわからないが、何かの鍵になるかもしれない。だが、それより今は休息が先だ。サークはバックパックから食料を取り出して口に含んだ。それから、おもむろに深く長い息を吐いた。 39

2012-07-03 00:51:13

【4日目】

へっぽこぴーすけ @hpsuke

【4日目】今日のhpsuke:【戦闘】廃屋を探索中、クローゼットの中から、上半身だけになったゾンビが飛びかかってきた! 5のダメージ! 食糧:-2 http://t.co/Tpp89I0U 【体86食92】

2012-07-03 00:52:54
へっぽこぴーすけ @hpsuke

目を覚ますと、窓の外から暁の薄明りが飛び込んでくるところだった。時計を見ると、部屋に閉じこもってから9時間が経過している。気分としては3時間も休養が取れれば十分だったが、町中が停電を起こしている現在、夜間に外をうろつくことは自殺行為に等しい。これでよかったのだ。 40

2012-07-03 00:54:30
へっぽこぴーすけ @hpsuke

それなりに上等なベッドの上でぐっすり眠ったおかげだろう、体の疲れは取れていたが、ナイフで傷つけられた左腕や、爆風の直撃を受けた背中の痛みはそのままだった。応急処置ではたかが知れている。やはり医療キットできちんとした手当を受けなければ傷は癒せない。 41

2012-07-03 00:56:29
へっぽこぴーすけ @hpsuke

サークは朝食を取りながら、今後のプランを考えた。軍は基地を放棄した後のランデブーポイントとして4箇所を指定している。昨日はうち3箇所を巡ってみたが、どこにも本隊はいなかった。ならば残り1箇所に向かうしかないが、そこにもいなければ諦めるしかないだろう。 42

2012-07-03 00:58:10
へっぽこぴーすけ @hpsuke

サークは部下たちの顔を思い浮かべる。ジョー、ボブ、エイミ、リトル、セイジ…何人が生きている?何人が死んだ?そして、何人がゾンビになった?考えても仕方のないことだとサークは思考を切り替えた。間に合わなかったという事態だけは避けたい。サークは荷物をまとめて部屋を出た。 43

2012-07-03 00:59:32