山本七平botまとめ/「占領軍の”検閲”が日本の民主主義を枯死させた」/~なぜ日本の野党は「反国家」なのか?~

山本七平著『「常識」の非常識』/204頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【反国家的野党と占領政策】昨今の社会党には少々不思議な気がする。鈴木内閣の退陣、中曽根内閣の登場等は野党にとってはある種のチャンスの筈で、欧米の野党ならこの機会にすぐには無理でも将来の布石となる何らかの手を打つであろう。だが社会党にはその気配さえない。<『「常識」の非常識』

2012-07-01 19:58:24
山本七平bot @yamamoto7hei

これは長い目で見れば自民党の不幸であり、当然、日本の不幸である。一体なぜ、こんなことになったのか。

2012-07-01 20:21:40
山本七平bot @yamamoto7hei

③実は先日「日本占領研究」という国際シンポジウムがあり、私は「占領期の検閲について」の部の司会をしたが、日米双方のパネリストの率直な意見や当時の実情を示す資料の提示などを見聞しつつ、様々な事を考えさせられた。

2012-07-01 20:58:33
山本七平bot @yamamoto7hei

④というのはここが「戦後日本」の出発点で、それが内包した諸問題は今も少しも解決されていないと感じたからである。占領軍の検閲の「タテマエ」は、戦前の狂信的右翼的超国家思想を一掃して民主主義を育成するにある、ということになっている。

2012-07-01 21:21:41
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤だがその為にあってはならぬ筈の検閲を極秘裡に行う事自体が偽善的矛盾と言わねばならぬが、検閲の実体を示されて行く内に私はふとある事に気づいた。これも私自身が占領軍の一員としてフィリピンに居たからかも知れぬ。というのは占領軍は常に住民にある種の恐怖心を抱いているという事実がある。

2012-07-01 21:58:17
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥五個師団だ十個師団だと言っても、その人数は大きなスタディアムの一つか二つの観覧席を満たしうる人数にすぎない。それが圧倒的多数の住民の中にばらまかれる。そしてばらまいてしまうと戦力にならぬが、集結していては占領を完全にすることはできない。

2012-07-01 22:21:41
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦そして現地の住民の言葉も人情・風俗もわからず、その心底では何を考えているのかも不明なのである。上陸時の米軍の潜在的恐怖心は我々以上であったろう。何しろ昨日までは特攻機がつっ込んで来て発狂者まで出ている。また斬込隊の夜襲の凄まじさに顔をおおって気絶したという例も少なくない。

2012-07-01 22:58:37
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧その日本人がうす気味悪くシーンとしている。日本語要員の数は極度に不足し、情報は全く掴めない。もし日本の政府と国民が一丸となってゲリラ的抵抗を行ったらどうなるか。

2012-07-01 23:21:44
山本七平bot @yamamoto7hei

その恐怖は世界に類例がない「書簡の開封検閲」にも表われているが、もう一つ強く感じたことは「政府と国民との分断」を、検閲を通じて行っていたということであった。「タテマエ」は「民主主義の育成」であり、彼らもそう信じていたのかも知れぬ。

2012-07-01 23:58:29
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩しかし分割統治は占領した者が必ず行う政策であり、これは「一丸となっての抵抗」への恐怖から生ずる本能的政策であると言っても過言ではない。いわば新聞検閲を通じて政府と国民を分断し、同時に野党を通じても行う。そして新聞と野党による政府批判は民主主義の基盤であるといえば大義名分がある。

2012-07-02 00:21:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪もちろん、野党は与党の政策に対立するから野党であり、同じならば存在理由を失うが、政策の対立は決して国家との対立ではない。いわば反政府であっても反国家ではなく、三権の一機関を構成する国会議員という身分は同じである。

2012-07-02 00:58:31
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫アメリカなら民主党であれ共和党であれ「アメリカヘの忠誠」は同じで、それを否定する者が三権の一機関の合法的な構成員であることはあリ得ない。これはどこの国でも同じでイギリスなら「陛下の野党」であり、フランスの社会党のフランス共和国に対する忠誠は当然の前提である。

2012-07-02 01:21:35
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬「反政府だが反国家ではない」。この差は微妙だが、毫釐(註:きわめてわずかなこと。〔ごうりん〕)の差は千里の差となるのである。占領軍は意図的か本能的かはわからぬが、微妙な点で、野党とマスコミを”反国家”の方へ誘導している

2012-07-02 01:58:15
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭また国民は戦時中の「国家の重圧」にこりごりした面があり、そこである種の共感をもつ。その結果、後に『国家悪』などという本もあったほどだから、ある時期まで反国家であることが野党の存在理由であるような錯覚をもっていた。これは、確かに占領軍にとっては成功した政策であったろう。

2012-07-02 02:21:10
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮だが時代は徐々に変わるし変わって当然なのである。国家は…運命共同体であり、それなるが故に絶えず対立する政策を要請するが、運命共同体そのものに敵対してこれを根底から破壊するもの、乃至はそう誤解されたり、そういう印象を与えたりするものはハッキリ自覚しなくても本能的に拒否する様になる

2012-07-02 02:58:17
山本七平bot @yamamoto7hei

社会党は恐らくその位置に置かれる結果となったのである。民主主義を育成する為の検閲という倒錯は結局、民主主義の最も大切な存在である野党を逆に枯死させた。我々は改めて占領の後遺症を点検してこれから脱却せねばなるまい。そうでなければ、今の状態に終止符を打つ事はできないであろう。

2012-07-02 03:21:10

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