ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/07/03

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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七歩 @naholograph

この季節、雨が続くのは宇宙の読書月間と重なるからです。降り方がまちまちなのは淹れる宇宙人の好みがまちまちだからです。意味が解らない?ですよね。実は雨を地表に落とし、宇宙人は珈琲を入れているのです。読書には珈琲。地球の中心は珈琲です。は?マグマ?見た事あるんですか?#twnovel

2012-07-03 08:17:53
秋石 @syu_seki

夢の中で図書館に行った。バロック風の建物。広いエントランス。焦げ茶色の重厚な書棚の右奥には二階へ続く螺旋階段があり、左奥は一面硝子張りの閲覧コーナーになっている。不思議なのは、図書館の構造が毎回同じであること。いつしか僕は、あの場所が実在するような気がしていた。 #twnovel

2012-07-03 08:35:33
とをあまりむつ @towoamari

対価さえ支払えば失った物を買える『失せ物屋』という店がある。私は、消えた記憶を取り戻す為にそこを訪ねた。店主は小箱を差し出し「お代は、今のあなたです」とだけ告げ、開けるよう促す。だが、もっと大切な何かを失う気がして、開けられなかった。どこからか舌打ちが聞こえた。 #twnovel

2012-07-03 10:08:56
馨。 @ka0ru_

次に好きになる人は、背の高い人がいい。私がヒールを履いても見上げるくらい。次に好きになる人は、少し冷たい人がいい。私の我が儘なんて聞いてくれないの。次に好きになる人は、貴方と正反対の人がいい。貴方のことなんか忘れられるように。貴方の面影なんか思い出せないように。 #twnovel

2012-07-03 10:52:41
紺屋 @ysga1002

家の庭の隅に植えてある紫陽花が今年も咲いた。鮮やかな水色と青紫のコントラストが美しいそれは、ご近所でも評判の紫陽花になった。母は鼻高々だ。「これなら、鎌倉行かんともええなあ」いくら美しく咲いたとはいえ、たった一株を鎌倉の壮麗たる紫陽花と比べる母は大物だと思った。 #twnovel

2012-07-03 12:53:49
くさがみ•R•シン @kusagamirin

#twnovel 私はインコのジロー。人間の声真似をすると餌をたくさんもらえることに気付いた俺は、ご主人が毎日口にする言葉を頑張って覚えた。しかし連呼しても猫のミケが近づいてくるばかり。お前は呼んでない。こっち来んな。こえーよ。ジロー「みけー」。ミケ「にゃーん」。バサバサバサっ。

2012-07-03 13:14:40
miecha @miechorz

#twnovel 究極のクールビズと謳う怪しい男に金を払うと、即座に体が芯から冷えてきた。これは快適だと喜ぶ俺に男が口を挟む。「注意事項がございます。六時間以内にお戻り下さい、それ以降は生命の保障を致しかねます。それと……彼女は恥ずかしがり屋なので、あまり後ろを向かないように」

2012-07-03 15:32:50
N.T.Works/凪司工房@介護生活中 @nagi_tter

#twnovel 今日子さんは見つける。「ねえ、このメイルって」「何勝手に僕の携帯電話見てるんだよ」「可愛い絵文字に、また会えるとは思ってませんでした、とかってぶりっこ文章」「それは……」「女ね。この『恐怖の蠱惑的美女』って誰?」「今日子さんが初めの頃使ってた名前だけど」「え?」

2012-07-03 17:14:17
七歩 @naholograph

活字料理始めました。図書館に見慣れぬ文字列。頼んでみると、テーマは?と問われる。それじゃ恋愛。司書が本棚から取り出した本の中身は白紙だった。「君みたいな人を探してた」突然の告白。驚く私。台詞と行動が白紙を埋めていく。私の答えも記される。新鮮な活字を召し上がれ。#twnovel

2012-07-03 18:39:04
碓地海 @taichiumi

雨の中、人ごみを歩いていると、前から不思議な男がやってきた。ひょこひょこと身をかがめ、右へ左へとこまめに移動しながら向かってくる。ああ、自分の傘がないから他人の傘から傘へと、わずかな空間を少しずつ借りているのだ。それに気づいたのは、彼が私の傘をくぐってからだった。#twnovel

2012-07-03 20:13:34
@mimimdr

青空や、白い雲や、夕焼けや、星々が、やけに遠く見えたり手が届きそうなくらい近く見えたり、違って見えるのはどうしてなんだろう。もしかしたら、私は鳥になったのかしら。もしも鳥なら、うんと大きな鳥がいい。よく晴れた空を旋回し、きゅーるるると鳴きながら、君の事を考えたい。#twnovel

2012-07-03 20:59:48
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 夜の僕は、怪盗モノクローム。 狙った色は必ずいただく。今宵の標的は伯爵令嬢の髪。盗んだ色の瓶をアトリエでみせると、今をときめく画家の顔が輝いた。素敵な金ね、ありがとう。何も知らずカンバスに向かう彼女のため、僕は色を盗りつづける。たとえ闇色の髪で少女を泣かせても。

2012-07-03 21:09:42
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 僕は怪盗モノクローム。 狙った色は必ずいただく。「黒が欲しいの」僕を画材商と信じる彼女に頼まれ、悩んだ。黒は盗む力の源。翌日、力の全てを顔料にして渡した。嬉しい。病床で微笑む彼女は、一枚の肖像画を遺して逝った。知っていたのか。黒一色で描かれた自分に、僕は泣いた。

2012-07-03 21:09:43
夢名 七志 @mumei7c

扉を開けたら水の壁だった。空梅雨だと油断していた。流れ込んで来る前にそっと閉める。内開きの戸口で良かった。などと安堵している時間は無い。潜水用具は間に合わない。洗面所のパイプを取り外し口に咥える。さて、水面までどれだけあるんだろう。深呼吸して縦の水面に飛び込む。 #twnovel

2012-07-03 21:12:34
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 部屋着を着た妹が僕の部屋に入ってきた。コーヒー牛乳を持っている。妹は僕の腰に手を置いてコーヒー牛乳を飲み始めた。「待て」「どうしたの、お兄ちゃん」「どうして僕の腰に触るんだ」「だって、触りたかったんだもん」コーヒー牛乳を飲み終わった妹はビンを片づけに部屋を出た。

2012-07-03 21:24:30
@mimimdr

世界一の自転車コレクターは、遂に地球上全ての自転車を集めてしまった。次のターゲットは、ETが乗っていた空飛ぶ自転車だ。「この広い宇宙のどこかに必ず、空飛ぶ自転車はあるはずだ!」彼はNASAもびっくりの高性能ロケットを独自に開発し、自転車を買いに宇宙へ飛び出した。#twnovel

2012-07-03 21:27:17
二月大笑 @unpeu_G

初老の店主いちおしの二の腕を借りて帰ってきた。薄暗い部屋で包みを開ける。白くて重くて生温い。骨の入っている重み。机に置くと置いたところが少しつぶれる柔らかさ。横目に見ながら書き物をした。 #twnovel

2012-07-03 21:41:02
岡崎@𝚊𝚔𝚒𝙽‌𝙾𝚔𝚊 @storyram

「流れ星!」君はそう言って満天の星空に両手を伸ばした。僕は笑う。届く筈がないのに。「掴まえた!」驚いて君が合わせた両手の中を覗き込むと、蛍光ペンの宇宙が僕に笑いかけた。僕はーー。夏が来る度に思い出す、淡くほろ苦いある夜の記憶。星空は今より地球に近かった。 #twnovel

2012-07-03 22:09:11
ショウ @SHO_Y

「お前ってスタイルいいよな」幼馴染の言葉にドキッとする。「な、何よ。これでも努力してるんだからね」私を下から上まで眺めた後、彼は呟く。「無理しなくていいのに」私はカチンときて、じゃあ太ってやると返した。「うん。ライバルは少ない方がいい」彼は無邪気に笑った。 #twnovel

2012-07-03 22:13:48
小高まあな◎11/11文フリさ-03〜04 @kmaana

「羊の黒目はね、三日月を横にしたような形をしているの」彼女がそう言ったのは満月の日曜日だった。不眠症の僕には、彼女の温もりが必要不欠。彼女の優しい言葉は僕を夢の世界に誘った。今夜は三日月。僕は眠れず羊を数える。ベッドの彼女は瞳を閉じたまま。冷たい彼女とは眠れない #twnovel

2012-07-03 22:15:26
@kissmint_xxx

お城の庭で王子に摘まれるのを待っていた。でも選ばれたのは、私ではなく彼女。彼女はリボンをかけてもらって、うっとりした顔で王子の手に身を委ねて、何処かへ連れていかれた。私じゃなかった……私じゃなかった…… #twnovel 「ああ枯れてしまった。後で部屋に飾ろうと思っていたのに」

2012-07-03 22:17:35
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

廊下を歩けば何もない処でつんのめる。紙コップを手にオフィス内を歩けばコードに足を取られて中身をぶちまける。全く見ていられない。呟きながらもついつい手を出してしまう。頬を染めてありがとうとか。男なのに。これ男なのにどじっことか。…それでも萌えるとかどうなってんの。 #twnovel

2012-07-03 22:25:47
@KizukCQ

#twnovel 駅を出ると予期せぬ雨が私を出迎えた。妹の待つカフェはすぐそこなのに。と、横から傘が差し出された。「相傘でよければいかがですか」それは出勤途中らしいカフェの店員さんだった。 どうぞ。その紳士的な振舞いに私は素直に甘える事にした。後から妹に云われるなと思いながら。

2012-07-03 22:51:51
リサイクルされた @144recycle

#twnovel 「食べちゃいたいくらい好きと殺したいくらい好きは同じ意味かしら?」「殺したいくらい好きっていうのは、相手に終わりを与えるものだと思う。食べたいほどっていうのは、相手の一部を自分の体に取り込みたいって願望じゃないかな。だから違うと僕は思うよ」

2012-07-03 23:12:53
歌種 @PM23564

#twnovel 庭の木に犬がなった。立派な黒い犬だった。濡れた鼻先を見ていたら銀色の狼も欲しくなって、木の根元に灰を撒いてみた。翌朝、枝先に小さな梟がなった。砂糖を撒いたら羊。炭酸水で鯨。狼はならない。悲しくて涙を零すと、一発の弾丸をつけて木は枯れた。最後の狼を撃った弾だった。

2012-07-03 23:56:01