クローズアップ現代「“夢の医療”は実現するか~iPS細胞・実用化前夜~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk 

7月3日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:山中伸弥(京都大学教授) iPS細胞の開発者・山中伸弥教授をゲストに招いて、iPS細胞の研究の現状について。
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冒頭のVTR

とし @toshihiro36

<ナレーション> 目の網膜に異変が起き、視力をほとんど失った男性。有効な治療法のないこの病気を治す、世界初の医療が始まろうとしています。あらゆる組織になる可能性を秘めたiPS細胞を使って、網膜細胞を再生する。これまでは考えられなかった“夢の医療”です。

2012-07-03 20:02:28
とし @toshihiro36

<ナレーション> 京都大学の山中伸弥教授が生み出したiPS細胞。実用化の障害となっていたのは、がんを引き起こすことでした。しかし山中教授の下、研究者たちが結集しがん化の恐れを克服。医療への応用が急速に進みはじめています。

2012-07-03 20:06:44
とし @toshihiro36

<ナレーション> さらにiPS細胞は筋肉が骨に変わってしまう病気など、難病の治療薬の開発にも使われようとしています。網膜の再生から新たな薬の開発まで、今夜はiPS細胞をめぐる医療の最前線を追います。

2012-07-03 20:10:14

ここからスタジオです

とし @toshihiro36

国谷:こんばんは、クローズアップ現代です。iPS細胞を使えばこれまでわかっていなかった病気のメカニズムを調べたり、また有効な薬がなかった病気の治療薬を早く開発したり、さらには体の悪くなった部分を再生医療で取り換えたりできるなど、実にさまざまな期待が寄せられています。

2012-07-03 20:14:00
とし @toshihiro36

国谷:5年前、ヒトの皮膚細胞に4つの遺伝子を入れることによって生まれたiPS細胞。体のあらゆる組織や臓器を作り出すことができる万能性を秘めています。iPS細胞を使った移植医療ですけれども、当初iPS細胞から作られた細胞は、がんを引き起こすのではないかと安全性が大きな問題に。

2012-07-03 20:18:58
とし @toshihiro36

国谷:しかし、がんの問題を克服する新しい作成方法が発見され、移植医療はまもなく実際に人に移植する臨床研究の段階に入ろうとしています。また薬の開発でもiPS細胞を使って難病や、日本人の死亡原因の1位となっているがんを薬を使って治療する、新たな手掛かりが生まれています。

2012-07-03 20:23:57
とし @toshihiro36

国谷:再生医療やそして薬の開発に向けた課題は何か。実用化はどこまで近づいているのか。今夜はiPS細胞の生みの親でいらっしゃいます、京都大学教授・山中伸弥さんにお越しいただいています。お話を伺う前に、まずはまもなく網膜組織の移植が始まろうとしている医療の現場の最前線をご覧ください。

2012-07-03 20:28:37

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> 京都市に住む富永昇さん、6年ほど前から視力が急激に悪化し、両目がほとんど見えなくなりました。病名は加齢黄斑変性、目の奥にある網膜が傷つき進行すると失明する病気です。およそ40万人の患者がいます。この病気には、いま視力を回復させる治療法はありません。

2012-07-03 20:34:38
とし @toshihiro36

<ナレーション> 富永さんはこの3年間目に注射を打つ治療を続けてきましたが、視力の悪化を止めることはできませんでした。3か月前にひ孫が生まれましたが、目を近づけてもどんな顔なのかさえ分かりません。

2012-07-03 20:37:47
とし @toshihiro36

<ナレーション> この病気の画期的な治療法が、いま開発されています。先週、富永さんはある医師を訪ねました。眼科医の高橋政代さんです。iPS細胞を使った再生医療に取り組んでいます。

2012-07-03 20:43:02
とし @toshihiro36

<ナレーション> 高橋さんは患者本人の皮膚からiPS細胞を作り、網膜の組織へと変え移植することで視力を回復させようとしています。

2012-07-03 20:43:40
とし @toshihiro36

高橋:iPS細胞ができたから、皮膚を取るだけで眼球の外で網膜細胞が作れるようになった。これは本当に新しいことで、世界で最先端の話ですね。

2012-07-03 20:46:09
とし @toshihiro36

<ナレーション> 網膜は外からの光を電気信号に変え、脳に伝える組織です。これによって私たちは、物の形や色を見ることができます。加齢黄斑変性では網膜の中で出血が起こり、網膜色素上皮と呼ばれる部分が機能を失います。このことで視力が失われるのです。

2012-07-03 20:51:00
とし @toshihiro36

<ナレーション> 高橋さんは痛んだ色素上皮の代わりにiPS細胞から作った新たな色素上皮を移植することで、網膜の機能を回復させようとしています。高橋さんは2年前、世界で初めてiPS細胞から移植用の色素上皮のシートを作り出しました。

2012-07-03 20:55:37
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし、実際の治療に使うには大きな課題がありました。がんができる危険性です。 京都大学の山中伸弥教授が作りだしたiPS細胞。当初、動物の体内に入れると頻繁にがんを引き起こしました。山中教授の下、研究者たちはがん化を防ぐ研究に最優先で取り組んできました。

2012-07-03 21:02:57
とし @toshihiro36

<ナレーション> そして去年、iPS細胞ができてから5年をかけ、がん化を防ぐ新たな技術を完成させたのです。 当初のiPS細胞の作り方です。皮膚の細胞のDNAに、山中教授が見つけ出した4つの遺伝子を直接組み込んでいました。この遺伝子が働き、皮膚の細胞がiPS細胞に生まれ変わります。

2012-07-03 21:08:26
とし @toshihiro36

<ナレーション> この方法では組み込んだ遺伝子が異常を引き起こし、がんができる恐れがありました。 新たな方法では遺伝子を細胞の中に入れますが、DNAには組み込みません。DNAを変えないため、がん化を抑えることができるのです。

2012-07-03 21:13:39
とし @toshihiro36

<ナレーション> 当初、頻繁に起きていたがんは、新たな方法を使うことによって見られなくなりました。 網膜の再生に取り組む高橋医師です。安全性の高いiPS細胞が開発されたことで、世界初となる人への治療に踏み出しました。

2012-07-03 21:16:16
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