ICRPのLNTモデルは安全側に立った仮説というのは誤解/曲解/歪曲のいずれかである。

最初反語表現でタイトルを考えたのですが… 念の為、付け加えますと、ICRPのLNTが科学的に正しいという主張をしているわけではありません。ICRPの文章を読んでおいて、それを専門家が「安全側に立った」仮説であると説明・解釈するのはおかしいと言いたいのです。 で、後段の重要な点というのもLNTモデルが正しいのであれば、という話です。 続きを読む
原発 震災
139

関連まとめ

ツイートまとめ 放射線によるがんリスクの低線量への外挿(ICRP Publication 99) まとめると、 「様々な科学の分野からデータに基づいて検討した結果、当時もICRPはLNTでがんリスクを評価するのが良いことで合意しました(現在も最新)」 ぐらいでしょうか。 #mGyはmSvと読み替えていただいて構いません。 ICRP pulication 99のエクゼクティブサマリーから適当に抜粋して訳してみました。 訳文に不満があるかたは優しく指摘して(^_^;)。 なお、togette.. 4880 pv 82 2 users 10

Masashi Shirabe @M_shirabe
LNTモデルは安全側に立ったモデルなんだろうか。
Masashi Shirabe @M_shirabe
たとえば、電力中央研究所のウェブページ(http://t.co/CDJuRaZ(2012年7月2日確認))では次のように書いてある。

Masashi Shirabe @M_shirabe
■なぜ「仮説」なのか? このように確たる情報に乏しい低線量の範囲について、放射線防護の立場からリスクを推定するために導入されたのがLNT仮説です。
Masashi Shirabe @M_shirabe
(続き)低線量放射線の影響についてはよくわからないが、影響があると考えておいた方が安全側だという考え方に基づいたもので、科学的に解明されたものではないことから「仮説」と呼ばれています。

Masashi Shirabe @M_shirabe
あるいは、福島県「県民健康管理調査」検討委員会の資料(http://t.co/3AACBMx、2012年7月4日確認))に含まれる放射線医学総合研究所のおそらく内部被ばくの検査結果の通知書と推定にも次のように書いてある。

Masashi Shirabe @M_shirabe
放射線量とがん 低線量放射線の人体への影響については必ずしも全てが解明されている訳ではありませんが、安全側で評価するために、低い線量でも影響があると考える場合があります。この考え方に基づいた場合、がんのリスクは広島、長崎の被爆者を含めた今までの結果から、
Masashi Shirabe @M_shirabe
(続き)100ミリシーベルトの被ばくでは0.5%のリスクが増加するとされています。しかし、実際には100ミリシーベルトを超えなければ、がんの増加はみとめられていません。なお、外部被ばくでも、内部被ばくでも、線量が同じならばリスクは同じと考えます。

Masashi Shirabe @M_shirabe
では、ICRP publication 103にはどう書いてあるか。 (64) 広く認められたいくつかの例外はあるものの、当委員会は、放射線防護の目的にかんがみて、低線量域、すわなち、約100mSv以下において
Masashi Shirabe @M_shirabe
(続き)発がんまたは遺伝的影響が当該器官および組織における等価線量の増加に比例して上昇することを前提とするのが科学的に妥当(scientifically plausible)という見解を線量−反応データとともに基本的な細胞過程に関する根拠の重みが支持すると判断する。
Masashi Shirabe @M_shirabe
要するに、放射線防護を実施するのに必要とされるため、ICRPは通常の科学で行う判断の領域をあえて踏み越えて、線量とがんリスクの比例関係を前提(assume)したと書いてある。では、比例を前提とする判断が非科学的な推論に基づくかといえば、そんなことはない。

(64) Although there are recognised exceptions, for the purposes of radiological protection the Commission judges that the weight of evidence on fundamental cellular processes coupled with dose-response data supports the view that, in the low dose range, below about 100 mSv, it is scientifically plausible to assume that the incidence of cancer or heritable effects will rise in direct proportion to an increase in the equivalent dose in the relevant organs and tissues.


Masashi Shirabe @M_shirabe
para.64にあるように細胞過程に関する基本的な証拠を踏まえて、科学的に妥当な見解と判断したわけだし、para.63に具体的には、細胞内でのDNA損傷応答が被ばく後の発がん機構に重要な役割を果たすこと、生物の免疫 などが関係する発がん機構全般に関する知見、
Masashi Shirabe @M_shirabe
DNA損傷応答/修復や遺伝子/染色体の変異誘発に関する詳細な情報(なかでも重要なDNA二重鎖切断と修復に関する知見)、など触れられている。

(63) The accumulation of cellular and animal data relevant to radiation tumorigenesis has, since 1990, strengthened the view that DNA damage response processes in single cells are of critical importance to the development of cancer after radiation exposure. These data, together with advances in knowledge of the cancer process in general, give increased confidence that detailed information on DNA damage response/repair and the induction of gene/chromosomal mutations can contribute significantly to judgements on the radiation-associated increase in the incidence of cancer at low doses. This knowledge also influences judgements on relative biological effectiveness (RBE), radiation weighting factors, and dose and dose-rate effects. Of particular importance are the advances in understanding radiation effects on DNA such as the induction of complex forms of DNA double strand breaks, the problems experienced by cells in correctly repairing these complex forms of DNA damage, and the consequent appearance of gene/chromosomal mutations. Advances in microdosimetric knowledge concerning aspects of radiation-induced DNA damage have also contributed significantly to this understanding (see Annexes A and B).

以下、72は74の記憶違いでした(^_^;)

Masashi Shirabe @M_shirabe
ICRPでLNTモデルが適用されるのはがんだけではなく、遺伝的影響にも適用される。この遺伝的影響については興味深くかつ非常に重要な表現が行われている(para.72)。

残りを読む(64)
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする