日本は製塩に向いていません
ところで、「古来より、日本は製塩に向いている立地だった」と思っている人は多いのではないだろうか。実際は向いてるどころかむしろ向いてないのだが……
2012-07-05 21:28:43いちばん効率的な製塩は、岩塩を取ってきて各地に輸送することです、以上。……では流石に身も蓋もない。岩塩が取れる場所は偏っているので取れない・量が十分でない地域に住む人々にとっては死活問題です。
2012-07-05 21:41:01ちなみに人間の体にとってはカリウム(主に植物由来で取る)とナトリウム(主に”塩”由来で取る)のバランスが重要になってきます。塩分の取りすぎが体に悪いのは言うまでもありませんが、取らないのも悪いです。飢饉の時に雑草を食べて死ぬのはカリウム過剰が主な原因です。
2012-07-05 21:42:43さて、ここまで触れずに来ましたが、塩はもちろん海水に多量に含まれており、海水を煮詰めれば取れます。ですがこれに関しては海(ないし塩湖)に面している場所ならばどこも条件は同等であり、特に日本に有利に働くわけではありません。
2012-07-05 21:48:47そして燃料はタダではありません。なので燃料を節約するためには、タダで使える熱源……すなわち太陽をどう利用するかが重要になってきます。乾燥地帯なら、海水を天日に晒して放置すれば塩が取れます。あるいは、海水を何らかの手段で濃縮してから煮詰めるという手段を取ることになります。
2012-07-05 21:51:30この「製塩に太陽を利用する」は日本は向いていません。多湿で雨が多い上、気温面で製塩に向いている夏場にしばしば台風がやってきて、そういうことになったらおじゃんになります。(昔の塩田が瀬戸内に多かったのは、”比較的雨が少ない場所だったから”)
2012-07-05 21:54:02そんなわけで日本はそんなに製塩に向いていないわけです。開国したらすぐに食塩の輸入国になり、高度成長期には瀬戸内の塩田が潰されてコンビナートになったのもある意味当然な結末なのです。
2012-07-05 21:56:07余談。『燃料はタダではない』と書きましたが、古代中国には製塩目的の「タダで使える燃料」がありました。四川の方に塩湖があり、地下深くから塩水が湧くのですがその塩水を目当てに掘っていたら突然、人がバタバタと倒れ出しました
2012-07-05 22:01:23「どうしたんだ!」と騒ぎになる中、火を付けたらずっと燃え続けて人が倒れることも無くなったので、竹筒を挿して出口を固定してそこに火をつけ、その水で塩湖の水を煮詰めて塩を取っていたそうです。これが人類最初の天然ガスを利用した記録です
2012-07-05 22:03:01