Togetter/min.tを安心してお使い頂くためのガイドラインを公開しました。

山本七平botまとめ/「そろそろ民主主義亡国論」/~贅沢な民主主義を支える「植民地」や「錬金術(科学技術)」~

山本七平著『「常識」の落とし穴』/Ⅱ民主主義の運命/84頁以降より抜粋引用
7
山本七平bot @yamamoto7hei

1】【そろそろ民主主義亡国論】前略~過去にもさまざまな「民主主義亡国論」があった。その意味では「そろそろ」どころか昔からなのだが、この昔からの「民主主義亡国論」の図式が果たして現代に通用するか否かという問題である。<『「常識」の落とし穴』

2012-07-02 03:58:06
山本七平bot @yamamoto7hei

2】それがもし通用しないとなると「昔ながらの……」でなく、文字通りの「そろそろ……」になるわけで、では一体この「そろそろ」はどんな形で現われるのであろうか。…古典的な「民主主義亡国論」は既にプラトンにある。詳しくは田中美知太郎先生の膨大な『プラトンⅠ』を読んで下さればよい。

2012-07-02 04:21:07
山本七平bot @yamamoto7hei

3】ここではそれを極めて短く要約させて頂く。だが要約すると皮肉な事にプラトンは民主主義否定論者のように見えてしまう。だが勿論そんな単純な事はいえない。まず私が驚いたのは…プラトンが、ディオンの民主主義革命を助ける為にわざわざ騒乱のシュラクサイまで出掛けていった事である。

2012-07-02 04:58:19
山本七平bot @yamamoto7hei

4】この情熱は並のものではない。ではプラトンは何にそれほどの情熱を傾けたのか。ここで田中先生の『プラトンⅠ』を引用させて頂く。【プラトンが理解し、支援したディオンの政治目標は何だったのか。それは漠然とした理想ではなくて、はっきりした具体性をもつものであった。

2012-07-02 05:20:57
山本七平bot @yamamoto7hei

5】それは二つの解放を目ざしていて『第三書簡』の主要なテーマにもなっている。一つはカルタゴ人の支配下にあるもとのギリシア人都市を解放して、自由と独立を回復する事、もう一つはディオニュシオスー家の独裁下にあるシュラクサイ市民を解放して立派な法的秩序をもつ市民の自由を回復する事である

2012-07-02 05:58:08
山本七平bot @yamamoto7hei

6】そして前者の実現には、まず後者の成就が必要とされる(『第七書簡』三三六A)。事実彼はディオニュシオス一家の独裁的支配と戦い、これを倒したのである。しかしそれによって与えられた自由に秩序を加える仕事は、長期の苦しい戦いとならねばならなかった。

2012-07-02 06:21:03
山本七平bot @yamamoto7hei

7】ディオンはその戦い半ばにして…『敵を圧倒するぎりぎりのところ』まで行っていながら、惜しくも――倒れたのである。解放後のシュラクサイの人達は、昔ながらの快楽を求めるだけの自由しか知ろうとしなかった。それが彼らの民主主義である。しかし……】 「しかし」以下は省略させていただく。

2012-07-02 06:58:17
山本七平bot @yamamoto7hei

8】後代がこの事件から、というよりそれを記したプラトンの著作から様々な影響を受けた事は否定できない。というのは、自由と民主主義を獲得した瞬間にあらゆる要求が出てきて収拾がつかなくなり、それが逆に民主主義を崩壊させてしまうという図式は、既に史上何回か繰り返されているからである。

2012-07-02 07:21:54
山本七平bot @yamamoto7hei

9】そして繰り返す度にプラトンが思い起こされ「そろそろ民主主義亡国論」となる。そこでプラトンは、この「民衆の無限の要求」を制御するものは「法」しかないと考える。

2012-07-02 07:59:37
山本七平bot @yamamoto7hei

10】だが「無限の要求」をする民衆が選出した者が、この民衆の無限の要求を制御する「法」を制定できるか、となるとこれは誰が考えても難しい。

2012-07-02 08:23:48
山本七平bot @yamamoto7hei

11】現代に例えれば「税金は払いたくない、しかし社会保障はあらゆる面で十分に享受したい」という民衆の要求を、民衆が選出した代議士に制定させようとしても、少々無理ということ。この無理をかつては植民地を搾取する事で何とかやり繰りをして来た国もあった。これがディオンの時代と違うところ。

2012-07-02 08:58:31
山本七平bot @yamamoto7hei

12】民主主義の模範の様にいわれたイギリスは一面では大植民地帝国であったのは皮肉である。…イギリスが植民地を解放し「ゆりかごから墓場まで」を保障し、民主主義の模範と日本の文化人が崇め奉っていた頃…アングロイラニアン石油会社の月給ではイラン人はイギリス人の十分の一だという話を聞いた

2012-07-02 09:21:44
山本七平bot @yamamoto7hei

13】ま、そんなことだろう、その手品ができなくなればポンドの下落がはじまり「鉄の女」が出て来て、どうやら縮小均衡でバランスをとる。これがプラトンのいうどの段階なのか、といった難しい問題はしばらく措き「植民地」という手品が使えなくなったことは否定できない。

2012-07-02 09:58:16
山本七平bot @yamamoto7hei

14】では何か他に手品があるのか。マルクス=レーニン主義を採用すればよいのか。それが「夢」であることは『スルタンガリエフの夢』の次の言葉に表われている。

2012-07-02 10:21:06
山本七平bot @yamamoto7hei

15】【――我々はヨーロッパ社会の一階級(プルジョワジー)による世界に対する独裁をその対立物たる別の階級(プロレタリアート)でおきかえようとする処方が、人類の抑圧された部分(植民地人民)の社会生活に格別大きな変化をもたらさないと考える。

2012-07-02 10:58:30
山本七平bot @yamamoto7hei

16】いずれにせよ、仮に何かの変化が生まれたとしても、それは更に悪くなる方向であって良くなる方向では生まれなかった。】スルタンガリエフは消える。恐らくスターリンに消されたのであろうが、この言葉が事実である事は消す事ができず「解放という名の搾取や貧困化」は、現に目の前にある。

2012-07-02 11:21:19
山本七平bot @yamamoto7hei

17】「君」という「主」は打倒できるが「民」という「主」は打倒できない。そしてこの「民という主」の貧しい要求も、総計すれば一君主の貪婪な要求を上まわるであろう。ではいま一体、何がその過大な要求を支えているのであろうか。

2012-07-02 11:58:22
山本七平bot @yamamoto7hei

18】それは「錬金術」である、といえば人は奇妙に思うかも知れぬが、この錬金術から生まれた科学技術であるといえば人は納得するであろう。その道の人はICのことを「石」という。石がICになりICが金になる、いや現代では金である必要はなく「経済的価値」になるといえばよい。

2012-07-02 12:21:36
山本七平bot @yamamoto7hei

19】イットリウムとかいうものが土の中にあるという。これは昔からあった土の成分にすぎない。それが科学技術とかいう術を駆使する錬金術師の手にかかると、超電導のための不可欠な物質、金以上の金になる。二十世紀のこのような例をあげていけば際限があるまい。

2012-07-02 12:58:22
山本七平bot @yamamoto7hei

20】一体、錬金術とは何であったのか。簡単にいえばそれは、銅や錫などの安い金属から、何とか金を創り出そうとする術であった。多くの王侯は、この術さえ完成すれば、無限の富を持ちうると空想した。

2012-07-02 13:21:15
山本七平bot @yamamoto7hei

21】そして現代の「民」という「主」は、科学技術が新しい富を創出し、それが自分たちの無限の欲望を次々に充足してくれると信じて疑わない。だが富むのはあくまでも、石や土を金に変える術を持っている国であっても、石や土を持っている国ではない。

2012-07-02 13:58:31
山本七平bot @yamamoto7hei

22】この関係は錬金術をもつ王が、銅と錫を安く買って金に変え、それでまた銅と錫を安く買うのに似ている。否、それ以上である。そしてその術をもつ国のところへ世界の富は集中して来て、「民」という「主」のあらゆる欲望を充足してきた。

2012-07-02 14:21:04
山本七平bot @yamamoto7hei

23】民主主義とは「贅沢な体制」だとか「コストのかかる体制」とかいわれる。確かにこれを成立させかつ維持して来た国は、七つの海を支配した国とか、広大な国土と無限の(と思われる)資源を持つ国とか、に限られていた。

2012-07-02 14:58:21
山本七平bot @yamamoto7hei

24】世界史をぱらぱらとめくって見ただけで、厳密な意味の民主主義を維持しえた国、維持しえた時代が、例外的といいたいほど少なくかつ短時間であったことを知る。さらに、その国その期間の中ですら、全員に及んだわけではない。

2012-07-02 15:21:24
山本七平bot @yamamoto7hei

26】少なくとも自らの歴史を顧みるとき「アパルトヘイトのある民主主義」を批判できる資格のある民主主義国はあまりない筈である。その点、民主主義という贅沢のできる国は極めて限定的で、何らかの形で他を搾取する形で初めて成り立ってきたといえる。美しいものの裏は必ずしも美しくはない。

2012-07-02 15:58:20
残りを読む(6)

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?