まあ、西側だといずれも「予備」にくくられる任務ではある。予備隊に「○○の準備をせよ」と任務付与することはあるが、こう明確に分けることはあまりない。
2012-07-08 04:20:26第2梯隊は、第1梯隊が敵の前線にあけた穴を確保するのが主たる任務だが、状況によっては停止した第1梯隊を超越して先に進むこともある。ただ、第2梯隊の戦力は第1梯隊より明らかに少ないので、そんなに先までは進めないだろう。
2012-07-08 04:32:29OMGは戦果を確保するような固定的な任務ではなく、戦場を流動的にするために投入される。敵後方の部隊や施設を襲撃して前線の戦闘能力を低下させるとともに、状況を急変させて敵の指揮統制を混乱させる目的だ。
2012-07-08 04:46:49またNATO軍の奥深くまで「クリンチ」してしまえば、NATO側は同士討ちを恐れて核の使用をためらうだろう。ここには、ステレオタイプのソ連軍の「上からの命令待ち」という受動性は感じられない。むしろ通信連絡が発達している西側の方が、下級部隊の自主性が弱かったのかもしれない。
2012-07-08 04:53:54予備は、不測事態対処のための部隊である。当初から使い道を決められるような部隊ではない。ソ連軍の予備が小さいというのは、西側が「予備隊」を当てる任務に第2梯隊やOMGを当てていたために、そう見えるのではないだろうか。
2012-07-08 05:05:2780年代のソ連軍では、第2梯隊はかなり小さくなっていた。西側のアクティブディフェンスで後方の部隊が攻撃目標になることを考慮したためだ。 狙いはOMGによる戦線の流動化である。刻一刻と状況が変化する流動的な戦場では、指揮統制が単純化された軍隊が有利だ。
2012-07-08 05:13:31ソ連軍は自軍の通信技術を信頼できなかった。EMPが予想される核状況下ではよけいにそうだ。したがって、オーケストラよりもアドリブができる小規模バンドかソロプレイヤーを必要とした。将校の質がそれに見合っていたかどうかは疑問だが。
2012-07-08 05:19:47OMGのアドリブで流動化した戦場により、オーケストラを志向するアクティブ・ディフェンスが機能不全になるのが狙いだった。実際「統制・調整により最大限の戦闘力を発揮する」ことを目指す米陸軍のドクトリンは、この弱点から完全に脱却したとは言いがたい。
2012-07-08 05:26:37最新の陸軍教範でも「継承される」とはっきり書いてあるエアランドバトルは、全縦深同時打撃の米国版である。「第一線が奮戦しているうちに、敵の後方を打撃すれば、そのうち第一線の圧力も弱まる」という思考だ。
2012-07-08 05:34:02エアランドバトルにせよ、NATOのFoFAにせよ、幸いにも防御的用法としては実現しなかった。その統制・調整手段を活用して、湾岸戦争やアフガン・イラクでの攻撃戦闘に威力を発揮したが。
2012-07-08 05:37:29もしヨーロッパで大規模戦闘が起こっていたら…ひとつ確実にいえるのは、東西とも錯誤と意外な展開の連続であっただろう、ということだ。ソ連軍の目指した流動的戦場は実現したろう。ただし、その流動性はソ連軍に有利なものとは限らない。戦場の霧と摩擦は、敵味方双方を混乱の極みに投げ入れただろう
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