放射線によるがんリスクの低線量への外挿(ICRP Publication 99)

まとめると、 「様々な科学の分野からデータに基づいて検討した結果、当時もICRPはLNTでがんリスクを評価するのが良いことで合意しました(現在も最新)」 ぐらいでしょうか。 #mGyはmSvと読み替えていただいて構いません続きを読む
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Masashi Shirabe @M_shirabe

。o O (ICRP publication 99のエクゼクティブサマリーの抜粋訳を作った。急ぎだったので質に文句言うのは止めていただきたいとだが…うるさい人はどこにでもいるんだよね。

2012-07-12 12:26:29

関連まとめ

まとめ ICRPのLNTモデルは安全側に立った仮説というのは誤解/曲解/歪曲のいずれかである。 最初反語表現でタイトルを考えたのですが… 念の為、付け加えますと、ICRPのLNTが科学的に正しいという主張をしているわけではありません。ICRPの文章を読んでおいて、それを専門家が「安全側に立った」仮説であると説明・解釈するのはおかしいと言いたいのです。 で、後段の重要な点というのもLNTモデルが正しいのであれば、という話です。 #リスクの分かち合いについて2つツイートを足しました。 #さらに駆け足でICRP Publication 99も眺めたので、それに関しても付け加えました。 宣伝ついでに、よろしければ、こどもたちを放射能から守る科学者ネットワークのFacebookページもご覧ください(アカウント不要です)。 https://www.facebook.com/ScientistsForCh.. 16245 pv 260 17 users 16

Masashi Shirabe @M_shirabe

(a) 本報告は、低LET放射線による低線量、とくに放射線作業者と一般公衆に現在推奨される限度を下回る線量の被ばくと関連付けられるがんリスクについてのエビデンスを検討する。

2012-07-12 12:28:01
Masashi Shirabe @M_shirabe

本報告の焦点は、低線量における必ずしも個々にではなく集団に対して考慮されるあらゆるがんに対する線量反応関係の線形性(いわゆる形いき値無し(LNT)理論)、およびそれ以下では放射線によるがんリスクがない普遍的いき値線量の存在可能性の証拠にある。

2012-07-12 12:28:55
Masashi Shirabe @M_shirabe

LNT理論によると、低い平均線量で被ばくした集団と、その規模と反比例して平均被ばく線量が小さい数倍の人数からなる同様の集団においては、放射線による同じ数のがんが予測される。いき値理論によると、もし平均被ばく線量が十分小さいならば、大きな集団における放射線リスクはゼロになるだろう。

2012-07-12 12:29:25

Masashi Shirabe @M_shirabe

(b) 本報告文書に先立って、別の近年の報告、とりわけUNSCEAR(1993, 2000)およびNCRP(2001)が刊行されている。これらの報告は、放射線防護はLNT理論によって引き続き導かれるべきと勧告した。本タスクグループはこれらの勧告に同意する。

2012-07-12 12:29:57

Masashi Shirabe @M_shirabe

(c) 本報告は、被ばくしたヒト集団の疫学研究から始まり(2章)、科学分野ごとに構成されている。疫学研究は、リスクに基づく放射線防護に最も直接関わる情報を提供する。(…略…)

2012-07-12 12:30:32
Masashi Shirabe @M_shirabe

数10mGyオーダーの急性被ばくに関連付けられる超過がんリスクには限られた証拠しかなく、このことについても本報告書は議論する。

2012-07-12 12:30:47
Masashi Shirabe @M_shirabe

しかし、100mGyを超える被ばくを扱う研究からは放射線のがんリスクについての確固たる疫学的エビデンスが得られている。それ以外のエビデンスについても、存在するかもしれないあらゆる普遍的いき値の上限を与えるのに使えるかもしれない。

2012-07-12 12:31:12
Masashi Shirabe @M_shirabe

また、全固形がんについてのがん死および発がんリスクは、概ね100〜150mGyまでは被ばく線量に比例する。

2012-07-12 12:31:34
Masashi Shirabe @M_shirabe

それ以下ではベースラインリスクの変動および小さくも抑制できないバイアスが放射線によるリスクのエビデンスをわかりにくくする傾向がある。中および高線量被ばくにおける観測に基づくリスク推定の外挿が低線量および低線量率の被ばくによるリスク評価の主たる基礎であり続ける。

2012-07-12 12:31:48

(d) 突然変異誘発および染色体損傷における放射線によるDNA損傷の基本的な役割、およびがん発症機序へのその変異と損傷の明確かつ決定的に重要な関与が、低線量および低線量率被ばくのリスク分析のフレームワークを提供する(3章)。

Masashi Shirabe @M_shirabe

電離放射線(IR)により生み出される特徴的な型の損傷は近い空間的近接において(訳注 つまり、狭い領域で)複数の損傷を引き起こす。そのような密集した損傷は、一つの細胞を通る一本の放射線によってさえ引き起こされ得る

2012-07-12 12:32:54
Masashi Shirabe @M_shirabe

細胞はDNA損傷を修復し、また損傷した細胞を除去する多数の損傷応答機序を備えるものの、これらの機序は絶対確実ではなく、近年のエビデンスは、空間的に近接した損傷が修復機構を危うくし得ることを示唆する。

2012-07-12 12:34:23
Masashi Shirabe @M_shirabe

また、細胞周期チェックポイントの制御に関わる損傷応答経路およびアポトーシス経路によって、多くのそのような放射線による損傷を持つ細胞が除去され得る一方で、細胞遺伝学および突然変異生成の分析から、損傷ないしは変化した細胞がこれらの経路をすり抜け、増殖できることは明白である。

2012-07-12 12:34:55

Masashi Shirabe @M_shirabe

(e) 放射線に誘発された損傷が細胞に与える帰結(4章)は染色体損傷および体細胞突然変異を含む。放射線による二本鎖切断の処理および修復ミスは、染色体損傷および変異の結果として現れる染色体/遺伝子変化の原因である。

2012-07-12 12:35:24
Masashi Shirabe @M_shirabe

機序および質的データ、時間−線量関係の現状での理解は、低線量被ばくにおける線形の線量反応関係(つまり、LNT)を支持する

2012-07-12 12:35:57
Masashi Shirabe @M_shirabe

全体として考慮すると、放射線が誘発する適応反応、ゲノム不安定性およびバイスタンダー効果に関する近年の成果は、電離放射線に対する低レベル被ばくのリスクが不確定であること、そして高線量の効果からの単純な外挿が全く理にかなっているわけではないかもしれないことを示唆する。

2012-07-12 12:36:21
Masashi Shirabe @M_shirabe

しかしながら、現象の機序および生体内でアクティブである度合い、それら現象がどう相互関連するかについての理解が、低レベルIRに被ばくしたヒト集団の潜在的リスクの推計に含められる要素として評価される前に必要である。

2012-07-12 12:36:42