クレシャ・ジェノアード家別邸の昼下がり

クレシャです。欲しがる人がいるとついつい書いちゃう私の癖
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西津 梅貞 @nishidu_ume

「……」庭園の手入れを終えると、シャーネの一日は時間が余る。いつもであれば、それでも細々と立木の手入れをするところだ。今日は、窓のそばの楡の木の手入れでもしようか。そう思い、自室へとあがる。シャーネの膂力なら太い幹を駆け上がれなくもないが、窓から枝に飛び移った方が早い。

2012-07-13 00:26:51
西津 梅貞 @nishidu_ume

そのつもりで、部屋に入ったのだけれど。 「……」 ふと気がつくと、チェストボードの前で足を止めていた。 『シャーネ、すまない、ちょっと仕事でニュージャージーまで行かなきゃならなくなってな。そんなさみしそうな顔をしないでくれ。俺だって寂しいんだ。ほら、代わりにこれを』

2012-07-13 00:29:24
西津 梅貞 @nishidu_ume

そういって、我儘で傍若無人で無敵のシャーネの恋人が、おいていった、彼の写真。

2012-07-13 00:30:32
西津 梅貞 @nishidu_ume

楡の木の枝に、小鳥がとまり、囀りだす。シャーネは、ちらりと視線を投げて――静かに、ガラス窓を閉めた。 無言でたたずむ少女と、写真の中でも、不敵に笑う男

2012-07-13 00:32:27
西津 梅貞 @nishidu_ume

たまには、こんな時間の過ごし方もいい。 椅子に腰かけ、シャーネは肘をついて、写真を覗きこむ。 一見、無表情にしか思えない――写真の向こうの彼にしか分からない、微笑みをたたえて。

2012-07-13 00:34:21
西津 梅貞 @nishidu_ume

誰にというわけでもないがクレシャ。NYのジェノアード家の別邸、ある日の午後の一幕

2012-07-13 00:35:50