初めの10日間に受けた被曝量というのは、かなり低く見積もられている可能性が高い

飯塚真紀子氏による「スウェーデン国立スペース物理学研究所山内正敏博士の研究結果」の連続ツイートをまとめました。 笑い猫氏による「山内正敏博士の福島第一から放出された放射能の挙動に関する研究」「山内氏による研究の解説:大きく分けて2つ」はこちら→ http://togetter.com/li/339280
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Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

1)時間が経ってしまいましたが、先日『週刊現代』に寄稿した、スウェーデン国立スペース物理学研究所山内正敏博士の研究結果、とても重要だと思うので、皆様とシェアできたらと思い、連続ツィートしてみようと思います。記事とは違った感じになりますが、未出も含めて、どうぞ宜しくお願いします。

2012-07-14 12:43:53
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

2)山内博士が自身の研究に取り組んだ背景には、SPEEDIの限界とデータ解析が十分に行われていないという現状がある。政府は事故後、SPEEDIでシミュレーションを行ったが、それはあくまで仮想空間における予想。実際に起きた放射性物質の動きを捉えたものとは言えないという。

2012-07-14 12:44:27
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

3)SPEEDIには限界もある。SPEEDIは、海や上空10キロのような測定が困難なところに対しては有効であるが、人間が生活している地表付近に対しては、SPEEDIの予想と実測データではかなりのずれがある地域もあるからだ。

2012-07-14 12:44:50
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

4)問題は、私たちが普段生活し、呼吸している地表付近で放射性物質がどう動いたのか。つまり、“空気中の放射能”の動き。それを知るためにも、山内博士が行った電場のデータ解析は重要だと思う。

2012-07-14 12:45:09
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

5)山内博士によると、原発事故後、日本の研究者たちはデータ採取と測定にかり出されている人が多いため、せっかくある実測データを解析する人がいないという人出不足の状況がある。

2012-07-14 12:45:32
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

6)そのためなのだろう、山内博士が先日発表した欧州地球科学連合の学会では、1万4千件の発表中、福島の関する研究発表はたったの9件だった。これは異常に少ない数なのだそうだ。しかもその多くが、実測データの解析ではなく、シミュレーション研究だった。

2012-07-14 12:45:58
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

7)ちなみに、チェルノブイリの場合は、事故後、出される論文数は年々増え、いまだに年100本以上の研究論文が出されているという。

2012-07-14 12:46:19
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

8)チェルノブイリ事故当時は、放射性物質の動きは解析できなかった。観測方法がなかったからだ。観測可能になった今、山内博士は、福島原発から出た放射性物質の動きを解析した。

2012-07-14 12:46:39
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

9)山内博士によると、放射性物質の動きを調べるという科学的分野はまだ存在していない。しかし、その動きは公害の粉塵の動きに近く、しかも、普通の公害物質と違い、放射性物質は放射能を出すので、サンプリングをせずとも、線量計のネットワークや電場を調べることで、その動きがわかるという。

2012-07-14 12:47:01
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

10)山内博士は、福島原発から南の方向に流れた放射性プルームについて、柿岡にある電場の観測所(福島第一の南東150キロに位置)での測定データを解析、プルームがどのように汚染させたかのかを調べた。

2012-07-14 12:47:22
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

11)注目したのは、3月14日、垂直電場の数値が一気にゼロに落ちたこと。これは電気伝導度が一桁以上も上がったことを意味する。言い換えると、大気中のイオンが地表付近で一桁以上も増加。つまり、この時、放射性物質が大量に浮遊していたという。

2012-07-14 12:47:41
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

12)しかも、福島原発から南東に150kmも離れている柿岡で、電気伝導度が一桁以上も上がったということは非常に大きな変化なのだという。

2012-07-14 12:47:57
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

13)放射性物質は、3月15日、1回目の大きな放射性プルームとして関東を襲う。3月20日に2回目の大きな放射性プルームが関東を襲った。1回目のプルームの時には雨が降らなかったが、2回目のプルームの時に初めて雨が降り、それまで空気中に溜まっていた放射性物質を地面に落とした。

2012-07-14 12:48:25
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

14)そのため、放射線値は3月20日に上昇。だからだろう、3月20日が危なかったと言われているが、これは全くの間違いで、空気中の放射能による内部被曝を考えると、3月20日までが最も危なかったのだと山内博士はいう。

2012-07-14 12:48:48
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

15)というのは、電場の状況を見ると、3月14日から20日までの約1週間、つまり、1回目のプルームが関東に向かい、2回目のプルームが雨で地面に落ちるまでの1週間、プルームは通過の際、放射性物質を地表近くに残しながら流れていたからだ。その間は放射性物質が地表近くを浮遊していた。

2012-07-14 12:49:10
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

16)「はっきりしているのは、初めの10日間に受けた被曝量というのは、かなり低く見積もられている可能性が高いということです。特に、子供の被曝量は低く見積もられていると思います」by山内博士

2012-07-14 12:49:32
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

17)「というのは、沈殿の際、低いところにあるダストほど放射性物質の量が多いということは計算に入れられていないからです。沈殿するということは、子供の口の高さが危なかったわけです。特に、地表近くで遊んでいた子供たちが一番危なかったのです」by山内博士

2012-07-14 12:49:51
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

18)また、降雨後も、放射性物質が再浮遊していたということも重要だ。つまり、放射性物質は、いったんは、雨で地面に落ちたにも関わらず、その後、乾燥して舞い上がっていた。その量は、降雨前に比べると少ないものの、舞い上がって再浮遊していたこともデータ解析によりわかった。

2012-07-14 12:50:08
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

19)山内博士はまた、意外な発見もした。土壌汚染を調べたところ、なぜか、福島原発から北へ流れたプルームはセシウムの比率が高く、南に流れたプルームはヨウ素の比率が高かった。同じ時刻のプルームにも関わらず、その比率には数倍の差があったという。

2012-07-14 12:50:27
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

20)特に、関東に向かったプルームはヨウ素の比率が高かった。そのため、福島原発から南へ流れた放射性物質は北へ流れた放射性物質より、健康被害の影響が高かったと推測されるという。

2012-07-14 12:50:48
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

21)山内博士はまた、セシウムの量はほとんど減らないことにも言及。「チェルノブイリでは事故後25年経っても30km圏内はいまだ居住できません。セシウムの半減期は30年と長いので、その量が一桁落ちるのには100年もかかります。言い換えると、年1%しか減らない。殆ど減らないのです」

2012-07-14 12:51:25
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

22)また、放射能が風雨で流れて落ちるのは初めの2、3年で、その時に落ち切らなければそのまま落ちないと言われているという。居住についても、初めの5年間住めなければずっと住めないのだそうだ。日本にも、永久非居住地域が出て来ることになると博士は見ている。

2012-07-14 12:51:47
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

23)重要なのは、政府は、避難している人々に帰って良いと宣言する前に、きちんとデータ解析をしてその地域の安全性を示すこと。アメダスのような技術を使ったリアルタイムで放射能の動きがわかるモニター網の設置も講じるべきだと博士は主張している。

2012-07-14 12:52:11
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

24)3月20日までが汚染された空気の吸引による内部被曝の可能性が最も高かったこと。関東方面には、ヨウ素の比率が高い放射性プルームが流れていたこと。そして、セシウムの量は殆ど減らないこと。重要な事実です。最後までお読み下さり、ありがとうございました!

2012-07-14 12:52:40
Makiko Iizuka(飯塚真紀子) @makiko_iizuka

25) 追加。山内博士、政府の対応に疑問。「大量の放射性物質が流れ込んでいた飯館方面では住人の多くは5月頃から退避を始めた。しかし実は、事故直後から4月末までの間が内部被曝の可能性が最も高かった。5月は逆に帰村してもいい状況。内部被曝を考えた時、政府の対応は完全に本末転倒だった」

2012-07-14 14:33:32