@chai_lamaさんによるあらゆる人の性についての問題提起

クスノキ @chai_lama

北原みのりさんの「違和感」に「違和感」を覚えてる人がけっこういるけど、私はその違和感（後者）に対して違和感を感じる……：射精は男の権利！？北原みのり氏「射精介助」に違和感！！ - NAVER まとめ http://t.co/VPTPxD8u

クスノキ @chai_lama

北原みのりさんの「違和感」に対して「違和感」を覚える人たちの言い分を見てると、私には、単に批判したくて批判してるようにしか見えない。「女が男の性にたいして屁理屈こねるな、そもそも口を突っ込むな、黙ってろ」というような感情の反応を感じる。

クスノキ @chai_lama

彼女はあの文章が読まれたときの反応を予見してかなり慎重に言葉を選んで論理的に書いているのに、そこを無視して「射精の権利があるから射精介助があるとでも言ってるのか」などといった、意味のない混ぜっかえしをしたりしてる。

クスノキ @chai_lama

彼女が繰り返し「射精介助には賛成も反対もない」と強調しつつ、それでも連呼せざるを得なかった、表明しておかざるをえなかった「違和感」という言葉の重いこと。彼女がどれだけの多くの言葉をぐっと飲み込んであの「違和感」のひとことに込めたか、彼らは想像もしないのだろう。

クスノキ @chai_lama

彼女のあんなにも重たい「違和感」に対して、それを批判する彼らが口にする「違和感」の重さはあまりに軽い。単に「気に入らない」「よく分からない」に箔をつけたくて「違和感」と呼んだようにしか思えない。

クスノキ @chai_lama

彼女の絞り出した「違和感」という言葉に込められている（と私が受け取った）途方も無い背景について、説明したほうがいいですか。というか、説明したい。重たいから嫌なんだけど。

クスノキ @chai_lama

彼女の「違和感」というあの言葉に、途方もない量の悲しさが、歴史的背景が込められているかもしれないことを、彼らは想像もしないのかな。想像も、共感してみよう、理解してみようという努力もせず、うわべの論理をかきまわして勝った気になっている彼らの、途方もない鈍感さが私は心底嫌いだ。

クスノキ @chai_lama

ちなみに、私は北原みのりさんという人自体に全面賛成なわけではなく、たとえば少し前の、木嶋佳苗被告を激しい言葉で罵倒していた一連の記事に関しては反対です。私はたまたま、今回の彼女の文章に対しておおよそ賛成なだけです。なんか余計な混ぜっ返ししてくる人がいそうなので先に言っておきます。

クスノキ @chai_lama

私は、北原さんをしてあの文章を書かせた原動力というのは、「強者が羨ましい」という、胃壁が削れるかのような悲しみを帯びた「嫉妬」であったと思う。私が唯一あの文章に注文をつけるならば、「もし私だったらそう（嫉妬だ）とはっきり書いただろう」という一点だと思う。

クスノキ @chai_lama

私は、北原さんがやっていらしたことを基本的にはとても尊敬している。彼女は「女性という弱者（≒マイノリティ）」のためにいつも発言し行動してきたから。ただ、日常的に戦士であるためには抑圧しなきゃいけないことも多いのか、彼女にはどうも、自分の感情の芯に対して鈍感な瞬間がある気がする。

クスノキ @chai_lama

「私はこんなにも悔しくて悲しくて嫉妬している」ということを、彼女が歯をくいしばりながら、いつものような周囲からの執拗な攻撃を予見しながらそれでも絞り出して、論理の形を纏わせて発信した、簡潔な文章が結果的にあれだったのだ。

クスノキ @chai_lama

私はそれだけで彼女を尊敬する。私にはよくも悪くも彼女のような影響力を持っていないし、そもそも自分の人生をこういった問題に懸けて行動したことも貢献したこともない。

クスノキ @chai_lama

であるならば私のできることは、勝手に彼女のかわりに、彼女が歯を食いしばって「違和感」という言葉の中に押し込めて、もしかしたら彼女自身も自覚してないような生の感情を堂々と表明することなのかもしれない。

クスノキ @chai_lama

射精介助のTV報道を見て溢れてきた、私の感情を叫んでみよう。女である私は、射精を介助することが「人の健康として当たり前」と爽やかにテレビで言及され、それが当たり前の権利であるかのように扱われている、脳性まひの男性のことが羨ましい。たとえ彼が脳性まひで壮絶な苦労をしていたとしても。

クスノキ @chai_lama

たとえば、では私は、女性は、女性の脳性まひの患者は、性欲を「エロでなく健康で正常なこと」、オーガズムを得ることを「人として当たり前の介助されてしかるべきこと」として、TVで爽やかに語られることがあるだろうか？　否だし、今までも一切なかったでしょう。

クスノキ @chai_lama

オランダの、身体障害者向けの性介助団体では性行為まで行うことがあり、かつ、国の補助によりそのサービスの利用は実質無料だそうだ。私は正直羨ましい。

クスノキ @chai_lama

私は発達障害という、目には見えないソフト的な障害を持っている。生きるのがとてもとても大変だけど、だいたいは努力とか性格の問題にされてしまう。だから正直、身体のどこかが動かないという「わかりやすい」「障害と聞くと誰もが一番に思い浮かべる」障害を持っている人が羨ましいことがある。

クスノキ @chai_lama

社会性の障害によって人と関係を作ることができず、日常の中で対等な誰かと性行為・性的な行為を行うことができない……　発達障害者や自閉症者、精神障害者は数え切れないほどいる。もしも性的に満たされることが人の「健康問題として当然」なことであるなら、ではなぜこの人たちは介助されないのか。

クスノキ @chai_lama

四肢のない身体障害者である◯武さんは、「ラブホテルに、車椅子でも乗れるエレベーターをつけてくれ」と主張して話題になった。私は彼の主張それ自体は真っ当だと思い、支持もしたが、けれど私は、一緒にラブホテルに行けるような個人的関係を持つことのできる社交性を持った彼が羨ましかった。

クスノキ @chai_lama

発達障害などによって人と社交的な関係を結べない、これによって仕事もない、ゆえに経済的にも余裕がない、そういう人の「性の健康問題」だけ、なぜ無視されるのか、なぜ彼らの努力の問題にされてしまうのか。私は、これ男の人でもそうとう可哀想だと思うけど、これが女ならさらに悲惨だと思う。

クスノキ @chai_lama

私は女だし、身体は自由に動いて自慰行為なら好きにできる。でも、私が女である限り、この性は常に「エロ」であり、後ろ暗いことであり、健康問題として爽やかに語れるようなことではなかった。

クスノキ @chai_lama

誰かと当たり前に性器を刺激しあったり抱き合ったりする関係を作れない自分、それでも性的なことや人の身体のぬくもりを求めて気が狂いそうになる自分が嫌で嫌でしかたなくて、自分の消えない性欲を心底憎んだ。

クスノキ @chai_lama

女性向けのヘルスをこっそり探しては、お金も勇気もないし、何しろ人間関係・愛情関係のない人と「エロ」をする、それを私がお金を払ってする、という関係性がどうしようもなく私の心を傷つけそうで、私はどうして男じゃないんだろう、男だったらもっとずっと楽だったのに、と自分の性別も呪った。