genjibosiさんによる続・獄窓記の感想

源氏星 @genjibosi

といいながら、このところ、読みかけながら思うように読み進まなくていらっとしてた「続・獄窓記」を今日こそはががっと読んでやろうときめて、おそらく本日中に読み終わるだろうというところまできました。結局、中身次第なんですね。難解な哲学や倫理の本は月単位年単位だけど

源氏星 @genjibosi

こういうルポルタージュや物語は読みやすい。「続・獄窓記」は暑い部屋の中、タンクトップと短パンというあられのない姿で、何度も涙流したり鼻かんだり、顔をぐにゃぐにゃ歪めながら読んでいたら、娘が何度も嫌そうにチラ見してました。

源氏星 @genjibosi

思うところ、考えるところ、たくさんあります。先日の「もうひとつのがん難民」にも、尊厳ある死をという議論にも、当然健康格差社会にも、そして最近の「いじめ報道」にも通じるものがある。途方に暮れ、胸が痛いところもたくさんあるが、人の思いを繋げる縁の不思議と力にもゆすぶられて余計暑いです

源氏星 @genjibosi

累犯障害者が生まれる背景のひとつに、措置から支援費制度という制度の変遷と、その谷間の存在がある。行政からすれば、「契約」の美名のもと、施設側が障害者を選べるようになったということ。

源氏星 @genjibosi

措置には措置の、支援費には支援費の、良いところも悪い所もあって、支援費制度が始まったその時に、娘が療育に通っていた身としては、福祉関係者の「これぞ待ち望んでいた制度」という感激の声は印象強いのだけど、契約を結ぶということが出来ない、自身も周囲も制度を知らない障害者もいるということ

源氏星 @genjibosi

累犯障害者の問題は、スウェーデンでもアメリカでもあって、けして日本固有の問題ではなさそうだけど、日本独自の「文化」も影響している部分は大きい。

源氏星 @genjibosi

刑務所の刑務官もだけど、保護観察官もにんずう少なく仕事が多い。１人で百人以上の保護観察対象者を抱えている

源氏星 @genjibosi

「続・獄窓記」に、たっくんという重度の自閉症の男性が「連続暴行事件」の犯人として逮捕され裁判にかけられる話がある。もともと近所でも「ヤッホーおじさん」とからかわれ、子供たちの間でも有名だった。神戸や池田小の事件以降、子供が被害者になる事件が続いていた社会不安も背景にあって

源氏星 @genjibosi

公園で遊んでいた子供をこついたのを「暴行事件」とマスコミが大騒ぎして「事件」を大きくしてしまった。騒ぎに乗じて「自称被害者」も現れるし、マスコミにここまで騒がれてしまっては放置もできなくなった警察がたっくんを逮捕。

源氏星 @genjibosi

警察も、地域住人に子供たちまでもが、たっくん自身も、家族も地域から孤立していたことを知っていて、１人の「凶悪犯」に仕立て上げる構図

源氏星 @genjibosi

江藤弁護士の必死の弁護もかなわず、起訴。拘留理由開示の裁判では、言葉の指示が理解できない、コミュニケーションがとれないたっくん相手に裁判官もイライラ＆大慌てで、きょとんとしていたたっくんが傍聴席で泣いている母親をみつけて「ぼく、お母さん助ける！」と言いだす。裁判官は一方的に宣言し

源氏星 @genjibosi

弁護士の「被疑者への質問」の求めも、コミュニケーションが成り立っておらず、被疑者の意見陳述は何らされていないという抗議も「認めない！棄却、棄却」と顔をひきつらせた。起訴前に訴訟能力なしの判定がでていたのに、検察は「責任能力あり」と判断して起訴。けが人は１人もでていないのに

源氏星 @genjibosi

山本氏が収監されていた黒羽刑務所にも、図書館で傘を振り回していたという罪状で、一年10カ月服役していた障害者がいる。彼の場合も、けが人はいない。訴訟能力もないのに裁判にかけられ、知らない言葉で自白調書を作成され、刑務所に送り込まれる。そして刑務所は最後の福祉の砦となっている

源氏星 @genjibosi

江藤弁護士の言い分には、納得できるところも、ちょっと出来ないところもあって、マスコミの騒ぎ方はいつも針小棒大で自分たちの作った凶悪犯に似合うエピソードの報道に余念がないのは確かだけれど、大人の自閉症男性が公園で子供を追いかけていたら怖がられるのも当然だし、

源氏星 @genjibosi

本当に大きな事件にならないとは言い切れないだろう。関係者にとってどんなに愛嬌のあるかわいい障害者であっても、孤立させておく地域に問題があるにしても、地域住民や警察側にも、江藤弁護士らにたいして過去にあったトラブルの対処の仕方にも不安があったのかもしれない

源氏星 @genjibosi

「こつん」であろうと「殴打」でなかろうと、被害にあった子供にとっては恐怖だっただろうし、こういう障害だから赦してやってくださいと頭をさげて回っているだけでは不足だったんだろう。住民にすれば、逮捕さえされればあとは良いようになると信じているわけだから。

源氏星 @genjibosi

出所後の障害者たちも登場する。冒頭のおそらくダウン症の男性。出所したくない、外は怖いといっていたが刑期が満了し出所。山本氏が家に会いに行くと、母親は蒸発、父親は脳梗塞で寝たきり、兄も精神病。誰も面倒をみれる家族もないし、仕事もない。

源氏星 @genjibosi

知的障害者施設にいた受刑者は、最近、刑期が満了し、刑務所を放り出されたが、迎えに来る人も行くあてもなく、そのまま路上生活をしていたが、手持ちの作業賞与2万円もすぐに底をつき、近くにあった市役所に飛び込んだ。たまたまその職員が知っていた施設に紹介してくれて入居。非常に幸運なケース

源氏星 @genjibosi

普通は、市役所の職員といえども、出所してきた触法障害者を引き受けてくれる施設なんて知らないし、そもそも、「市役所を頼る」という知恵をもっている障害者も少ない。

源氏星 @genjibosi

山本氏が、寮内工場で一緒に作業していた障害者を訪ねていくと父親に怒鳴りつけられる。「福祉関係者が今頃なにをのこのこと！！」と。奥から、息子から山本さんのことはよく聞いているという母親がでてきてとりなしてくれたが、当人は既に塀の中に戻っていた。仕事もなく、家業がつげるわけもなく

源氏星 @genjibosi

居場所も友達もいなかった彼はいつしか「政治活動」にとりこまれ、気がつけば、ヤクの運び屋にされていたのだった。

源氏星 @genjibosi

触法障害者や家族が出所後どんな生活を強いられているのかという実態も、そこにどんな構造上の問題が存在するかという問題提起もされないのは、声を上げるべき当事者がム所帰りの犯罪者とその家族であり、社会から孤立した存在であり、

源氏星 @genjibosi

コンプレックスと諦めゆえに声を出す気力もなく、声を出す場所も聞いてくれる人もいないのは、先日の「もうひとつのがん難民」にも繋がっている。その場に立ってみなければわからない窮地があるのに訴えられない。自己責任論では済まない、制度の谷間に落ちているのに

源氏星 @genjibosi

うちは支援費が始まってからしかしらないので、「続・獄窓記」を読むまで、措置制度と支援費制度の差というのを感じたことがなかった。障害者と事業所との契約によってきめ細かい支援が受けられるようになった半面、「契約」を結べない、その意味を理解できない人は、福祉の恩恵をうける機会もないのか

源氏星 @genjibosi

施設側としても、特に訓練を受けていない人でも担当できる重度の知的障害者には年間300万の「最重度加算」が付加されるが、施設を脱走して万引きしたりして、スタッフが飛んで行って店に土下座して警察に通報するのをやめてもらうような障害者には、それに見合う支援費は給付されない