茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第６５８回「才能って、過剰なものなんだよ」

茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ！　ぷれいりーどっぐくん、おはよう！

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連続ツイート第６５７回をお届けします。文章は、その場で書いています。本日は、昨日の夜のできごとを思い出しながら。

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さか（１）忙しかったのだが、やけくそになって、四谷から池袋のジュンク堂まで歩いた。酷暑の日だったが、日が傾くにつれて次第に過ごしやすくなるようにも思われた。鬼子母神の近くで、静かな裏道を見つけた。ジュンク堂に近づくと、集英社の鯉沼広行さんが、張り込みのサツみたいにやってきた。

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さか（２）ジュンク堂のカフェでトークをし、質疑応答をして、例によってだいぶやらかしてしまって、それからサイン会をして、すべてが終わったのが、２２時近くだったか。いつの間に植田工が来てたので、日大芸術学部の写真だという気になるやつを「おい、こいつ！」と送ったら、飲み会に来た。

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さか（３）びっくりしたのは、もう一人、気配を見てついてきた予備校生がいたことで、浪人して医学部を目指しているという。エレベーターに乗ってきたから、お前、偉いなあ、よく飲み会があるってわかったなあ、と言いながら、仁藤さんや横田さんなど全部で１０名くらいで店に上がった。

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さか（４）それで、日芸の写真のやつが、オレの前に座った。４年生だって言うから、お前さ、どうするんだよ、と言ったら、映像で仕事をしたい、というから、いろいろ探っていたら、何だか爆発モードになって、お前、もっとしっかりしろよ。はき出せよ、ガンバレよ、と言ってしまった。

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さか（５）なぜ、そのように噴火して見せるか、と言えば、相手の中の過剰なものを引きだそうとするからである。何かあるやつは、必ず出てくる。才能とは、過剰なものである。あちらこちらへと余計に噴出しているものを、刈り込んで形を整えることはできるけれども、ないものを引っ張り出すのは難しい。

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さか（６）だから、特に若い時は、こいつ、こんなにいろいろ言っていて、一体どうやって収まるんだろう、というくらいの方がいい。それくらい過剰な方が、刈り込んで形をつくれる。所定の比に近づける。２対３の比率を作ろうとしたら、細胞分裂で２対４にして１を刈り込むのが生命だ。

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さか（７）そしたら、その日芸の写真のやつ、ぼそぼそ言ってなかなか言い出さない。でも、そのうちいい感じになってきた。高校の時に、社会や周囲の人間関係についていろいろあったというのである。そこだよ、君、君の過剰の下は、きっとそこだ。そこに寄り沿うしか、きっと道はない。

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さか（８）そしたら、『挑戦する脳』を編集した鯉沼広行さんが、ちょっとここでは書けない、職務上のある過激な意見を吐いて、ああ、やっぱり、人間って過剰なんだよな、表面上は、職務に徹しているように見えて、やっぱりできる人間は過剰で、それを刈り込んでいるんだ、と再確認したのだった。

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さか（９）若者に告ぐ。過剰であることを、恐れるな。こんなに噴出してしまって、果たして社会に収まるんだろうかなんて、心配するな。うまく刈り込めばいいんだから。表面上、大人しく仕事をしている人だって、本当は過剰なんだよ。だから、過剰な自分を、決して恐れるな。小さく前にならえすな。

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以上、連続ツイート第６５７回「才能って、過剰なものなんだよ」でした。