グノーシス主義のデミウルゴス(ヤルダバオート)について

グノーシス主義についてのツイートから、それにおけるデミウルゴスと救済について@denki_hitujiさんが話をしてくださいました。ありがとうございます。
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タト @Leethoo_Tat

従来のグノーシス観:「グノーシス派」とはキリスト教の「分派」のことであるから、キリスト教の「正統」思想がまずあって、それを奉ずる正統的教会により「異端」として排斥された思想に固執するセクト。#グノーシス #グノーシス主義

2012-07-18 23:29:54
タト @Leethoo_Tat

従って、グノーシス主義は先行したキリスト教と異教或いは異思想(たとえばオリエントの宗教やギリシア思想)との事後的混交宗教思想であり、グノーシス主義からその基盤となったキリスト教の要素を取り去れば、これは無に帰するとする。#グノーシス #グノーシス主義

2012-07-18 23:32:20
タト @Leethoo_Tat

以上のグノーシス観は、正統的教会の反異端論者以来の、グノーシス主義に対する伝統的見方であり、今日でもこの見方に固執する学者たちもいる。確かにキリスト教グノーシス派とその思想は、キリスト教を前提する限りにおいて、キリスト教よりも事後的に成立した。#グノーシス #グノーシス主義

2012-07-18 23:34:48
タト @Leethoo_Tat

しかしグノーシス主義そのものは、元来キリスト教とは無関係に成立した独自の宗教思想であったこと、それが事後的にキリスト教(より正確には、キリスト教のテキストに)自己を適合して「キリスト教グノーシス主義」を形成したこと、このことはナグ・ハマディ文書の発見により承認される。#グノーシス

2012-07-18 23:39:03

↑ 以上、グノーシス主義研究の大御所・荒井献『トマスによる福音書』の説明を参照。

↓以下、@denki_hitujiさんとのやりとり。

denkinohituji @denki_hituji

アレクサンドリアにおいてグノーシスと仏教に接触があったらしいということも象徴的。

2012-07-18 23:53:11
denkinohituji @denki_hituji

グノーシスの異邦人意識は都市の孤独によるものという「親近代的」な説もあったが、それならばもし人間が宇宙に広がっていったならば、そこでの信仰は親宇宙的になるのか、反宇宙の新しいグノーシスになるのか非常に興味深い。

2012-07-18 23:58:39
denkinohituji @denki_hituji

そして思いつきだけど、マンダ教徒たちの小説ならば書いてみたい。

2012-07-19 00:00:31
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji その点ですとマニ教(イラン型)とシリア・エジプト型との区別とかも関わってきますでしょうか。前者は割と都市の孤独というよりは拡散的ですよね。平信徒と選良者って構成(仏教的に言えば在家信徒集団と出家信徒集団?)もある感じで。カタリ派も…。

2012-07-19 00:19:03
denkinohituji @denki_hituji

東方グノーシスについては、マゴスたちの、秘儀宗教に近いと思われますよね。前述の「都市の~」というのはバシレウスやヴァレンティノスのような後期のアレクサンドリアというイメージが大きいのだと思います。@Leethoo_Tat

2012-07-19 00:28:11
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji ですね。シリア・エジプト型とマニ教型で見比べると、前者は政治的領域に関わりを持たないようにしていると思います。マニ教は逆に政治に積極的に関与しているように思います。ヴェーバーがごっちゃにしちゃったところを大貫隆先生がメス入れてましたが。

2012-07-19 00:41:51
denkinohituji @denki_hituji

当初のグノーシスであれば、考えもよらないことでしょうね。マニは王に近づいたのですから。なんといっても本来彼らは「王なき種族」なのですから! あの謎めいた「救済される救済者」についてはどういうものと考えますか。@Leethoo_Tat

2012-07-19 00:55:46
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji >「王なき種族」 これまさにですね。「救済される救済者」と言いますと、個人的には「悪」=「嫉妬」とその超克に関わると思うのですが、いかがでしょうか。この点で興味深いと思うのは、ストア派のそれとの違いをみるという話なんですが。

2012-07-19 01:05:06
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji ご質問の意図に対する答えがずれちゃってたら申し訳ないのですが、『ヨハネのアポクリュフォン』を始め、シリア・エジプト型の神話を深層心理学的に解釈すると、嫉妬の権化である偽りの神ヤルダバオト自体も人間論に還元できると思うのです。

2012-07-19 01:17:12
denkinohituji @denki_hituji

悪=嫉妬ですか。確かに、ソフィアの落下からデミウルゴスまで、全てのグノーシスの堕落は嫉妬で説明できますね!自分としてもグノーシスは心理の深淵を表現したものと思えます。だからこそ、「救済される救済者」というのは何か宗教の謎の一端を示すように思うのです。@Leethoo_Tat

2012-07-19 01:21:03
denkinohituji @denki_hituji

私はだれしもデミウルゴスになりうると思います。世界の意味を無知によって、嫉妬によって、模倣によって損なう不毛な創造力がデミウルゴスなのです。しかし、確かにそれは私たちを生かすエネルギーのひとつなのです。@Leethoo_Tat

2012-07-19 01:29:31
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji >誰しもデミウルゴスになりうる 同意ですね。あれらグノーシスの神話って宇宙論と一緒に人間論も同時に語っているので、デミウルゴスもやはりそうなんだと。グノーシスの場合はだから救済に関わるところで「妬みの無さ」を強調しているように思うのです。ちなみに(続

2012-07-19 01:34:29
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji デミウルゴスの嫉妬を見ますと、他者が自分よりも大いなる価値と権能を享受することに対する妬みと、自分の持てる価値を他者に分与しない妬みとがあるようなんですね。創造力も当初は発揮される感じですがそれは次第に(場合によるかもですが)そうならなくなりませんか?

2012-07-19 01:42:01
denkinohituji @denki_hituji

@Leethoo_Tat デミウルゴスとは自我インフレの作用に働いた創造力ではと思います。そこにあるのは先行する理想像を食いつくそうという貪欲と他者を徹底して世界から駆逐しようという(世界占有への)貪欲です。デミウルゴスの悪は嫉妬と共に貪欲なのではないでしょうか。

2012-07-19 01:51:37
denkinohituji @denki_hituji

@Leethoo_Tat 原理主義は今日でのその例でしょう。創造力とは物語化、神話化の力です。自分の周囲に強固な神話的正当付け(偽りの宇宙)を築くことで、あるいは他者を閉め出し、あるいは自らの言説に無理にでも取り込み食いつくすのです。

2012-07-19 01:55:34
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji >自我インフレの作用に働いた創造力 これは凄く解りますw なるほどなるほど、自分が先ほど「次第になくなるんじゃないか」と申し上げたのは、いってみればその神話化する創造への意志に代わって支配力への意志へと次第に変わるんじゃないか、ということだったのです。

2012-07-19 01:59:32
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji どの神話だったか失念してしまったのですが、造物主の創造力の源って光の超越的世界のそれと同質のもので、これをその後に抜き取られたことで、自分が作った偽りの宇宙で圧倒的な支配力を振るうという感じで。他者の締め出しor取り込みなどに関しては同意であります。

2012-07-19 02:05:59
denkinohituji @denki_hituji

@Leethoo_Tat その通りだと思います!創造から世界の維持=支配へと移るんですね。どちらも不毛なものですが。しかし私はグノーシスはデミウルゴスのための神話だと思うのです。心理劇としては創造者=圧政者=受難者=救済されし救済者であると。

2012-07-19 02:06:34
タト @Leethoo_Tat

@denki_hituji なんと、デミウルゴスのための救済神話と捉えるのですか!見た目なんとなく、プトレマイオス派教説のデミウルゴスを想起しましたが、積極的にデミウルゴスのための救済神話と解釈するのは私には新しいです。ぜひ聞きたいですw

2012-07-19 02:13:39
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