#僕の廃墟体験記 2(ゾンビサバイバル、体験記風まとめ。)

小説風ゾンビサバイバル。 つづき> #僕の廃墟体験記 1 http://togetter.com/li/341213 続きを読む
2

6日目。

@n_kano_mywords

今日のn_kano:【探索】神社を探索。変貌した世界でもここは静かだ・・・お守り(時刻で効果が変わる【アクシデント】で好きな効果を選べる。使い捨て)を得た! 食糧:-2 http://t.co/3KNpFNeE 神社…たそがれ堂いきたい気分だな……

2012-07-21 05:09:38
@n_kano_mywords

【6日目】HP87、食糧93 アイテム:治療薬  僕はちょっと疲れていた。…いや、この、くすんだみにくい世界で生き残ることに、疲れないはずはないのだが、それにしてもいつになく吐露したいほど、なにかに追いたてられて参っているような気分だった。 #ゾンビサバイバル #僕の廃墟体験記

2012-07-21 05:14:31
@n_kano_mywords

そう、それは、日本語の語順すら意のままに操れないほど… だから僕の意識の中には、どこに行きたいとか、どう生きたいとか、そういう気持ちすらなく、ただただ、遠くにある赤いものをたよりに――なぜその赤いものに惹かれたかはいざしらず――ふらふらとさまよいあるいていた。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 05:16:25
@n_kano_mywords

前かがみに肩をすくめて、左右にゆすられるようにふらふらと歩くさまは、道行く人からは本当のゾンビのように見えたのかもしれない。実際に、遠まきに道の対岸を行く人から逃げられたことが何度かあった。しかし僕はさして気にしなかった。そんな余裕は僕にはなかった。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 05:20:50
@n_kano_mywords

別にあのあと何があったわけじゃない。ただ、人生で初めて、引きちぎられた死体 を見たのだ。それだけ。それも人間ではない。猫の。どうしてそれがそこまで脅威になるのだろう。しかし悔しいことに僕はたったそれだけの遺骸で、この醜い世界での生きる価値をなくしそうになっていた。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 05:30:54
@n_kano_mywords

「醜い」「醜い世界」僕は何度もその言葉を使ってきた。だって実際醜かったのだ、それは、そして、それを赦すこの世界は。その時何の変哲もないブロック塀の横を歩いていた僕は、電柱の脇でうずくまる物陰に気付いて、注意深く近寄った。それは、死んだゾンビであった。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 05:39:04
@n_kano_mywords

誰かが殺した後なのだろう。ゾンビの来ていた服はいたる所が破け散り、傷つき、そして肢体や頭部も、離散していた。それはバラバラ死体のようで、あまりにも残虐であった。ゾンビとはいえもとは人間である。それに…小さな空色の靴…この身体の主はまだ年端もいかない子供であった。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 05:50:35
@n_kano_mywords

珍しいことに、そのゾンビのしたから血が滴り落ちていた。通常ゾンビは、生物の機能としては完全に死んでから、這いずり回るようになる。だから、血液は凝固しており、このような綺麗な鮮血は…ありえない。そう思って一歩引いてみて、気付いた。隅っこに何か生物が潰れていた。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 05:57:07
@n_kano_mywords

気になって、ゾンビを電柱の脇からひきはがす。見えたのは、三毛の毛並みの、無残に粉砕された生物だった。この元少年のゾンビの下敷きになったのだろうか。いや、それにしては…。切り裂かれた跡や無駄な傷が多すぎる…。ブロック塀を見上げると、ちょうどそこだけが崩れ落ちていた。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 06:11:56
@n_kano_mywords

やはり…僕は思う、ブロック塀のその部分、から落ちてきた少年ゾンビを、下で猫が受け止めたのではないか。そんな推測をしてみるが、あくまでそれは邪推にすぎない。ただ、そういう気持ちを喚起させるほど、その光景は、僕の目に焼きついた。ゾンビの位置を元に戻そうとずらすと、 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 06:21:34
@n_kano_mywords

少年のポケットからトイ・カメラが転がった。それを拾って中を見た。すぐに後悔した。そこに映しとられていたのは、持ち主であるその少年の笑顔、そして寄りそう猫。他の写真もぱらぱらとやると、全部彼と、その猫が映っていた。三毛である。つまり…隅っこで潰れている猫だった。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 06:26:30
@n_kano_mywords

よほどの愛猫であったのだろう。写真の些細なしぐさから、少年と猫はかつて心を通わせていたことがよく伺えた。だとしたら… あくまでも邪推にすぎない憶測を重ねながら、呆然と現場を見やる僕の背後から、足音が聞こえた。 振り向くと、もえるごみ の袋を持った中年男性が居た。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 06:39:05
@n_kano_mywords

「おお、君。」かれはひょうひょうとした声で気さくに声をかける。「そこは危険だ。俺に任せて大丈夫、のきなさい。」「えあっ…」あわててその場をあける僕。「それって…感染…?だったら大丈夫でしたけど…」「いや、そうか…万が一さ…奴らは凶暴だ。」一瞬、憎悪の眼差しを見た。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 06:52:53
@n_kano_mywords

「もえるごみ…にだすんですか?」「うん、でなきゃどうするの…?ほっとく?汚いっしょ?」「……」言い返せず立ち尽くす僕をしり目に、彼は、マジックハンドで忌々しげにゾンビのパーツを掴むと、ひょいひょいっとゴミ袋に放った。「あ…あまりにも、それは…」「ん?」振り向く彼。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 07:07:36
@n_kano_mywords

「なにが?ゾンビでしょ。汚いでしょ。」しれっとして肩をすくめる彼。「…でも、元は人間です。しかも子供です!」怒りが込み上げてきた。なんでこの人は汚い汚い言えるんだろう。「子供って言っても、こいつらやみくもに襲ってくるからなあ。君、襲われたことある?ないでしょ。」 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 07:38:41
@n_kano_mywords

「あります!…け」「でも、身内で死人は出たことないだろ。」冷たく突き放す男性。さっきと同じ目だ。冷やりとする。彼はいったん手を止めていう。「俺は家内を殺された。」「この…少年に、ですか?」男性は再び手を動かし始めた。「いや、違う奴だ。」 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 07:41:45
@n_kano_mywords

「だったらそれって、濡れ衣じゃないですか…。この子自身には何も…。」男性はぎょっとした顔でこちらを振り向く。「この子…だと?」「え?」「お前はこいつの何を知っている。」あまりの剣幕に僕はたじろいだ。「えっ…じゃあ、あな…」「こいつはな、俺から娘を奪ったんだ!」#僕の廃墟体験記

2012-07-21 07:53:26
@n_kano_mywords

「え…娘さんを」僕は戸惑った。それなら彼の剣幕も、まあ納得できる。…ただやっぱり、子供相手にするには、大人げない気はしたが。「それは…娘さん…お気の毒に…」子供が子供を殺す。なんて世界だ。「ああ、間違えたらウィルスがうつるところだった…」「え、生きてるんですか?」#僕の廃墟体験記

2012-07-21 07:53:40
@n_kano_mywords

「もちろんだ。無事にきまってる。」「よ…良かったじゃないですか。」僕は思った、ではさっきの憎悪等は…?次の瞬間、僕は耳を疑った。「こいつはな、身体の半分がゾンビ化した状態で、勝手に家に上がり込んできて治療薬を奪おうとしたんだ。娘のために大切にしてあった治療薬を!」#僕の廃墟体験記

2012-07-21 07:59:11
@n_kano_mywords

「何を…言ってるんですか、貴方は…」僕は、一瞬言葉の意味が呑み込めなかった。それって、彼が人間に戻りたくて、必死だったってだけじゃないか。「そこであなたは…もしかして治療薬を分けてあげなかったんですか」「当たり前だ。」「いくら見ず知らずとはいえ…救えたんですよ!」#僕の廃墟体験記

2012-07-21 08:02:06
@n_kano_mywords

「あんたは、頭がおかしいな。こんなやつを救うために娘の安全を犠牲にしろというのか!」「おかしいのはあなたです。こんな奴ってなんですか…知らない人でしょう」男はゾンビの破片を拾い終わった。「いや、こいつはよく知ってる近所の餓鬼さ。俺の娘をたぶらかしたクズだ。」 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 08:05:08
@n_kano_mywords

僕はびっくりした。「知り合い…だったんですか」「そんなきれいな関係じゃない。こいつはな、娘の心を奪ってな、娘をぞっこんにさせた悪魔なんだ。」僕は絶句した。ぞっこんもなにも、片手で数えられる年齢である。どんなに熱愛だったとしても、たかが知れてる。それで嫉妬……とは。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 08:09:11
@n_kano_mywords

男は、黒いビニール袋を無造作に放り、ポケットから緑のビニール袋を抜き出した。そしてそれに、猫の遺骸を詰めていく。「いいきみだ…こいつもな。」「………可哀相、とかないんですか………」「あるわけないだろ、こいつも妨害しやがるんだ」妨害…?ただのちっぽけな猫が? 何を。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 14:05:52
@n_kano_mywords

「例えそいつ自身は正常な猫だったとしても、ゾンビの味方をするならそいつぁゾンビと同じよ。」「え…味方」僕は先ほどゾンビが倒れていた辺りを見遣る。味方…対は敵、ということは…つまり…。僕はぎょっとした。「なんて目で見やがるんだてめえ。」吐き捨てるように男が言う。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 14:15:48
1 ・・ 5 次へ