池上英洋先生：【ベルリン国立美術館展】について

池上英洋 @hidehiroikegami

著者冥利につきます。おふたりに感謝。ベルリン展は良質な「イタリア美術展」です（笑 RT @sumiexxx: 「ルネサンス 歴史と芸術の物語」を拝読してから、「ベルリン美術館展」と「バーン=ジョーンズ展」に行こうと思っています♪　10倍楽しめる！とたけさん @taktwi が…

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ベルリン展からいくつか：　チーマ・ダ・コネリアーノはレオナルドとほぼ同時代人。盛期ルネサンスのヴェネツィアで活躍した画家のひとり。展示作＜聖ルチア…＞は、板から剥離後にカンヴァスに移された作品。画面上部にはっきり見える不連続面は、支持体だった板が反った時にできたものと思われます。

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ベルリン展3：　＜聖ルチア…＞、自分の眼を手に持っているのではなく、オイルランプを持っているタイプ。もともと「ルクス（光）」から創られた架空の聖人ならでは。チーマは同作のような三者配置が得意→比較作例（ブレラにある殉教者聖ペテロの祭壇画） http://t.co/TzehXnCr

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ベルリン展4：　リーメンシュナイダーをはじめ、北方ルネサンスの木彫作品群は今回の見どころのひとつ。もともと彩色されていたヴィディツによるコミカルな＜受胎告知＞には、マリアのドレスの青色と、ガブリエルの赤色の絵具がわずかに残っているのでお見逃しなく。本来の極彩色を想像するのも楽し。

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ベルリン展5：　＜洗礼者ヨハネ＞のエルコレ・デ・ロベルティは、僕イチ推しの画家のひとり。当代一級の画家でしたが、代表作になるはずだったベンティヴォリオ宮が、民衆によって破壊されてしまった悲劇の画家。その断片だけでもすごさがわかる（参考作→ http://t.co/ItVVxPPX

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ベルリン展6：　磔刑像を見て瞑想する＜洗礼者ヨハネ＞の背景が「日の出か日の入り」、とキャプションにありましたが、むべなるかな、磔刑図のなかには「太陽と月」を描いたものがよくあるのです。参考作例→ブレラにあるブラマンティーノ作（の上端に注目 http://t.co/dwJo9B81

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ベルリン展7：　太陽と月を描くのは、それが死と誕生を繰り返すからです。イエスの死と復活を、そして原罪と贖罪→輪廻転生のサイクルに重なるわけです。参考に挙げたブラマンティーノ作で、太陽と月に顔がありますが、これは太陽神アポロンと月の女神ディアーナから。もっとはっきり両者がわかる例も

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ベルリン展8：　どんな展覧会にも発見がある。今回、これまでたいして気にもとめていなかった画家、バルトロメウス・ブロイン（父）による夫婦の肖像画の、あまりに生き生きとした描写にびっくり。結婚記念と思われるふたりは、眼球からベルトや衣服の模様、手にした花（＝愛情）に至るまで迫真の極み

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ベルリン展9：　ヤン・サンデルス・ファン・ヘメッセンの作（画像）に描かれた「金銭を扱う夫婦・女性」のモチーフが、いかに当時の社会を反映したものかについては拙著をお読みいただくとして（ステマ？）、女性ひとりは珍しい。教養高い両替商の娘で決定 http://t.co/v3banyM8

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ベルリン展10：　あんまりTLを荒らしてもなんなので…　ダヴィットゾーンの静物画は大作だよ！レンブラントのミネルヴァの金飾りは立体的だぁ！フェルメールの＜真珠の首飾り＞が受胎告知かも？についてはTakさんとこに寄稿した文を見てね！→( http://t.co/kM5iVRHJ )