「戦略家」としてのイチロー

NHKのニュース番組「 Newsweb24」 http://bit.ly/GDjq1B で「イチロー特集」の直後、ネットナビゲーターの 瀧本哲史 @ttakimoto が、「地上波向きではない」ということで、テレビでは語らなかった、イチローの「戦略家」としての側面を、野球を統計的に解析するセイバーメトリクスの視点から解説したもの
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瀧本哲史bot @ttakimoto

小学生からライオンズファンの私にイチローについて、うわ、なにをするくぁwせdrftgyふじこlp #nhk24

2012-07-25 00:51:57
瀧本哲史bot @ttakimoto

あまり、テレビ向けじゃなかったので、言えなかった、イチローのこと語って良いかな。。。

2012-07-25 01:02:49
瀧本哲史bot @ttakimoto

イチローって、何か求道者っぽい文脈で語られるけど、実はすごーく戦略的に正しい行動を取る人なんじゃないかなと思っています。つまり、オペレーションエクセレンスと言うよりもポジショニングの話。あと、セイバーメトリクスの話抜きで野球を語ってはいけないと思うのだな。

2012-07-25 01:06:47
瀧本哲史bot @ttakimoto

セイバーメトリクスというのは野球のデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法で、野球の戦い方を大きく変えた。先日映画にもなった、「マネーボール」はその先駆者のストーリー

2012-07-25 01:10:21
瀧本哲史bot @ttakimoto

セイバーメトリクスの主張の一つは「僕武器」でも紹介。守備は守備率(=(刺殺+補殺)÷ 守備機会)ではなく、アウト寄与率(レンジファクター)を使うべきというもの。これはヒット性のあたりを何とか取りに行ってエラーになる行為を評価しようという発想。簡単な守備だけして高守備率を否定

2012-07-25 01:15:14
瀧本哲史bot @ttakimoto

一方、攻撃という点でセイバーメトリクスの主張は、OPSという出塁率と長打率の積をバッターの評価ポイントに使用という所にある。つまり「野球を要はランナーを先に進めて点にすれば良いんでしょ」と単純化したところにポイントがある

2012-07-25 01:18:46
瀧本哲史bot @ttakimoto

【訂正】OPSは積ではなく和です。。(・_・)(._.)

2012-07-25 01:29:14
瀧本哲史bot @ttakimoto

そこでOPSを分解して出塁率だが、これはファーボールでも、デッドボールでも何でも良い。点数を取るという意味では同じだし、選球眼でファーボール、敬遠気味でファーボールも選手の力である。

2012-07-25 01:23:05
瀧本哲史bot @ttakimoto

普通打者の成績というと打率でカウントされる。特に、高打率の一部の選手の年俸は跳ね上がる。つまり、高打率の選手は、打率による過剰評価と、上位で有名であることによるプレミアムによって、過大評価される。そこで、貧乏球団アスレチックスは高打率選手を高値で売却し、低評価高出塁率と交換

2012-07-25 01:27:19
瀧本哲史bot @ttakimoto

で、長打率だが、長打率=塁打÷打数 ここは分母は打数だから和で整合する。要は1打数あたりの塁打数の期待値となる。

2012-07-25 01:31:33
瀧本哲史bot @ttakimoto

では、この指標でイチローを評価してみよう。イチローの高打率は内野安打の多さによるので、長打率はだいたい0.4をやや上回る水準。また、イチローは四球が少なく、出塁率も決して高くない。従って、OPSはそれほど高くないのに、打率はとても高いので典型的に過大評価されやすいことになる

2012-07-25 01:37:15
瀧本哲史bot @ttakimoto

マリナースは2008年12月にフロントが交替し、セイバーメトリクスの専門家が導入されるようになった。それまでは、マリナースは「人間的」な野球を重視して、セイバーメトリクスを避けてきたが、成績不振対策でついに導入されたわけである

2012-07-25 01:40:48
瀧本哲史bot @ttakimoto

2009年、イチローはOSPで過去二位の.851をあげる。打率と長打率が共に向上した。そう言う意味では、インセンティブにあった形でイチローは成績を上げてきたわけである。しかも、長打率は.465とイチローの大リーグキャリア最高。しかし翌年イチローは小さな停滞期に入りそのまま低迷

2012-07-25 01:50:44
瀧本哲史bot @ttakimoto

こうなってくると、イチローはいよいよ。年俸だけ高く、低OPSの採算性の悪い選手になって、放出が視野に入ってくるわけである

2012-07-25 01:52:30
瀧本哲史bot @ttakimoto

OPSベースで考えるとイチローは割高選手と言うことになるが、逆に、イチローはどこが真に優れているのか。それを考えるためには、BABIP(という指標を紹介する必要がある

2012-07-25 01:54:15
瀧本哲史bot @ttakimoto

BABIP(Batting Average on Balls In Play)とは「インプレー打率」と呼ばれるが、要は玉が転がったときの打率。三振は関係ない。初期にはこれは長期的に数字は安定し運の要素とされていた。つまりどこに玉が転がるかにかなり依存しコントロール不可能だから

2012-07-25 01:57:50
瀧本哲史bot @ttakimoto

ところが、BABIPが安定して高い選手がいる。それは何を隠そう、イチローなのである。昔、歴代で5位ぐらいにいるというデータを見たような気がする。これは野手のいないところに玉を送り込めるバットコントロール能力と、足の速さが卓越していることを意味する。

2012-07-25 01:59:23
瀧本哲史bot @ttakimoto

ほとんどの日本人プロ野球打者が大リーグで成功できず、イチローが成功しているのは、実は、日本人プロ野球選手はパワーヒッターとしては中途半端であり、むしろ高BABIPを実現する、バットコントロール能力や走塁力の方が好成績に繫がりやすい。つまり、イチローの非力さこそが大リーグでは強み

2012-07-25 02:01:37
瀧本哲史bot @ttakimoto

そう言う意味で言うと、ミルウォーキー・ブルワーズの青木 宣親選手は、高BABIPタイプの選手であり、日本のいわゆる強打者よりも大リーグで成功できる可能性が高いとみている

2012-07-25 02:03:22
瀧本哲史bot @ttakimoto

さて、イチローはBABIPが高くてもOSPが低いので割高選手だったとは言え、今は、BABIPも下がっている。なぜ下がったのだろうか?最近も盗塁をよく決めているし、走力は落ちていないように思う。また、走力と相関が高い守備力も維持出来ている。つまり、走力の低下ではなさそう

2012-07-25 02:05:38
瀧本哲史bot @ttakimoto

そうなると、イチローの強みだったBABIPが落ちた要因は消去法でバットコントロール能力の低下となろう。ここで一つの仮説は高齢化によるバットコントロール能力の低下である。今日の #nhk24 で河村氏が指摘したのはこの視点だ

2012-07-25 02:08:08
瀧本哲史bot @ttakimoto

他にもバットコントロール能力の低下の原因はあり得る。大リーグの投手戦術の変化で細かい変化をする不規則にする球種が増えたため、イチローがコントロールするのが不可能になったという説。もうひとつは2009年にセイバーメトリクス導入で長打率も考え始めた結果、イチローの強みが弱まった説

2012-07-25 02:10:10
瀧本哲史bot @ttakimoto

まず、高齢化によるバットコントロール能力の低下は不可逆だと思われる。細かい手術をする外科医が高齢で引退するのと同様に、0.4秒で微妙に反応し種美のないところに転がす技術はわずかな認知能力、筋コントロール能力の低下が致命的だと思われる

2012-07-25 02:12:32
瀧本哲史bot @ttakimoto

次に、長打を狙いが良くないという説だが、BABIPは、ゴロとフライ、ライナー比率との相関が高いことが指摘される。つまり、イチローが長打を狙って、ゴロを打たなくなった結果、BABIPが落ちてしまったという可能性である。これはヤンキースで打順が落ちれば解決するかもしれない

2012-07-25 02:14:52
瀧本哲史bot @ttakimoto

最後の可能性で有る、大リーグの投手戦術の進化であるが、実はこれが大きいようにも思う。むしろ、細かい変化球への対応必要性増大のタイミングで、イチローの高齢化によるバットコントロール能力の低下が重なったと私は見ている

2012-07-25 02:16:41