たまおさんが語るポスト印象派+

tamao_stさんが新国立美術館で開催されたオルセー美術館ポスト印象派展を起点に語り始めるポスト印象派なおはなし。
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たまお @tamao_st

気を取り直して【0】突然ですが、ただいま六本木の新国立美術館で開催されているオルセー美術館「ポスト印象派展」について語ろうと思います。

2010-07-09 23:49:18
たまお @tamao_st

【1】まず、パリのオルセー美術館の展示は、(1)印象派前(バルビゾン派、アングル、クールベ、マネ) (2)印象派真っ盛り(モネ、ルノアール、ドガなど)(3)印象派より後(セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、ロートレック、ナビ派、象徴派など) の大きく三つに別れています。

2010-07-09 23:55:06
たまお @tamao_st

【3】そのため、「ポスト印象派とは、こういう技法の、こういう絵画の人たちである」とひとくくりにすることが大変難しいのです。それは今回の展示を見てもらえば、よく分かると思います。

2010-07-10 00:05:55
たまお @tamao_st

【4】その中の一つが、ちょっと大丈夫かと心配になるぐらい点描を極めた、スーラさんです。絵が全部、原色のこまかーい点々でかいてあるやつね。似たような方向性に、ちょっと大きめの四角で同じく点描をしたシニャックさんがおります。たぶん見たら、あーって分かるはずです。

2010-07-10 00:10:04
たまお @tamao_st

【6】光学理論を押し進め、無機質で病的とも言える点描に進んだスーラ。自分のドロドロの内面を掘り下げて晒したゴーギャンやゴッホ。彼らが同じような時期に、まったく違う方法で印象派を乗り越えようとしていたことに面白みがあるのです。

2010-07-10 00:22:36
たまお @tamao_st

【7】皮肉なことに、ポスト印象派の代表選手であるスーラ、ゴーギャン、ゴッホよりも、一つ前の時代とされているモネやルノアールの方が、2、30年長生きし作品を発表し続けていたのです。しかし、印象派の礎を築いた彼らの手法も、ポスト印象派の台頭により、「古い」と言われることもありました。

2010-07-10 00:31:14
たまお @tamao_st

【8】今は有名なモネの睡蓮も、当時はみんなポスト印象派の人たちとか、そのあと出てきた天才児ピカソとかに夢中になっちゃって、もうおじいさんになったモネはどうでもいいっていうか、けっこう無視されてたみたいです。モネと印象派が再評価がなされるのは、しばらくたってからのこと。

2010-07-10 00:38:09
たまお @tamao_st

あー、しまった。またモネに脱線しちゃった。ポスト印象派のことだったわ。ついつい。

2010-07-10 00:39:03
たまお @tamao_st

【9】ポスト印象派の中で、というより彼を印象派と切り離すのもおかしいのですが、今回の展示会の中でも間違いなく目玉の一つが、セザンヌでしょう。しかも名作「ギュスターブ・ジェフロワの肖像」と、「台所のあるテーブル」(だったかな?うろ覚え)が来てます!この二つは素晴らしいよ!

2010-07-10 00:45:21
たまお @tamao_st

【10】セザンヌについては、どうしても後のピカソなどキュビズムへの道を開いた人として語られます。実際、その点で彼はすごいのですけど。よく見てみてください。食卓のりんごやオレンジ、本などが、マル・三角・四角などの幾何学模様に分解されてて、そこから画面にすてきなリズムが生まれている!

2010-07-10 00:52:31
たまお @tamao_st

【11】しかし!私がセザンヌの絵で、造形に劣らず着目してほしいのは、彼の「色づかい」なのです。

2010-07-10 00:55:10
たまお @tamao_st

【12】展示会に行ったら、あまり難しいことは考えずに、いや考えても良いのですがw、画家の駆使する色の美しさに心底酔いしれてほしい。今回も画集を買ってきたけど、色の再現性は全然ダメです。セザンヌの場合は、灰色、ネズミ色が本当に美しい。

2010-07-10 00:58:37
たまお @tamao_st

【13】 灰色といっても単色ではなくて、おそらく青系と茶系、白を混色してつくった灰色なのですが、(よく観ると分かります)その混ざり具合が天才的。色が濁ってしまう、本当に一歩手前というか。ギリギリのところで調和させて、何とも言えず深みのある鼠色を作り出している。

2010-07-10 01:03:39
たまお @tamao_st

【14】更に言うなら、画面の中の色のほとんどに、白かそれに類する絵の具を混色していると思う。セザンヌの絵画が、どことなくくすんだような印象を受けるのはそのせい。そのくすんだ色が背景にあるから、手前の緑、オレンジ、りんごの赤が鮮やかに輝くのです。

2010-07-10 01:07:29
たまお @tamao_st

【15】…と、セザンヌについて掘り下げてみましたが、他にも特筆すべき絵画が色々きておりました。有名どころとしては、ゴッホの自画像と、星降る夜。ゴッホ好きな人は要チェックですよ。(すみません、私はゴッホは特に好きじゃなくて…)

2010-07-10 01:18:57
たまお @tamao_st

【16】ゴッホもいいけど、今回の必見はコレ。好き嫌い分かれると思うけど、アンリ・ルソーの傑作です。「蛇使いの女」 http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/rousseau_serpents.html

2010-07-10 01:24:28
たまお @tamao_st

【17】アンリ・ルソーは、最初の頃はすごい下手くそとか言われてて、まあある意味今だって(いや今じゃないかw)下手くそには変わりないんですが、途中で「この下手くそな感じがなんか素朴でよくね?」とか言い出す人が現れ、「素朴派」という大層な名前をつけられてしまった奇特な画家です。

2010-07-10 01:31:56
たまお @tamao_st

【18】しかもルソーは、最初は休みの日に自分で絵をかいてただけだったんですよ。税関の公務員だったし。だからデッサンとかかなり無茶苦茶。しかし私はこの人は「構成力」がすごかったと思う。

2010-07-10 01:34:57
たまお @tamao_st

【19】さっきの「蛇使いの女」をみたら分かると思いますが、背景の月と空、水面の奥行き、女と鳥、鬱蒼と茂るジャングルの中に潜む蛇たち、手前に迫ってくるような巨大な草…これらのモチーフを、破綻したり打ち消しあうことなく、バランスよく配置し、幻想的なストーリーを編み出している。

2010-07-10 01:40:56
たまお @tamao_st

【20】これって一歩間違えると本当に駄作なんですよね。大きい画面に色々配置して物語作るっていうのは、どんな画家もやりたいことなんですが、意外とすごいむずかしいんですよ。デッサンとか上手だけど構成力は全くない、という画家もたくさんいる。

2010-07-10 01:44:12
たまお @tamao_st

【21】そういう視点でルソーのもうひとつの大作、「戦争」を観ると、この人の構成力が半端でないことがわかります。

2010-07-10 01:46:21
たまお @tamao_st

【22】ルソーは素朴派とか言われてるけど、ただ素朴な絵をかいたおっちゃんじゃないよ!気をつけろ!という注意喚起でしたw 今回来ている大作2点は、本当にみる価値のある代表作です。

2010-07-10 01:51:26
たまお @tamao_st

ですです。構成力に加えて、妄想力も! 今回はきてないけど、砂漠で眠っている女の人の絵も好き。RT @Tamawo_ルソー、南国に行ったことがなくて植物園であの熱帯の植物を見て描いてたんですよね。だから実体験と妄想の狭間のような絵になって、稚拙でも人を惹きつけるのかなぁと思って

2010-07-10 01:54:13
たまお @tamao_st

【まとめ】オルセー美術館展2010「ポスト印象派」は、8/16まで。オルセー本体が改装中なので、普段はなかなか出ない大物も来ており、必見の展示会です。http://orsay.exhn.jp/

2010-07-10 02:07:14
たまお @tamao_st

【番外】今回、パリでオルセーに行ったときになかったモネのルーアン大聖堂の連作、てっきり東京に来てるんだと思ってwktkして行ったんですが、来てなかったよー(号泣) カササギとかもなかったし、今どこの国に行ってるんだろう?ルノワールの船上の昼食もなかった。マネもなかったな。

2010-07-10 02:11:48