『ギルガメシュ叙事詩』副読本を読む　その5 ルドミラ・ゼーマン『ギルガメシュ王ものがたり』シリーズ

せがわ @segawa

#ギルガメシュ叙事詩 以前上げた写真ですけど、ギルガメシュ叙事詩の絵本。http://t.co/B7mAAXNw http://t.co/0otekaLX

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#ギルガメシュ叙事詩 これね→ 『ギルガメシュ王ものがたり』 http://t.co/VLaWaTOB 『ギルガメシュ王のたたかい』 http://t.co/5ZeF0WP1 『ギルガメシュ王さいごの旅』 http://t.co/OMTIoaMF

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#ギルガメシュ叙事詩 これがなかなか面白いんですよねえー。絵本としても美しい。色とりどりの宮廷や、砂漠の太陽の色合い……

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#ギルガメシュ叙事詩 古代の衣装や建築はもちろん、古代のタッチを出すために、当時のレリーフふうの様式をところどころに取り込んだり、また原典からの変更点なども、よく取材しているなあと思うし。

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#ギルガメシュ叙事詩 一応「副読本を読む」シリーズの一環として、原典からの変更点とその意味合いなどについてちょっと考えてみたいと思います。

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#ギルガメシュ叙事詩 まずは一巻、『ギルガメシュ王ものがたり』。まず、①ギルガメシュは処女を夜伽に呼びまくったりはしない。さすがに絵本ということで子供向けであるｗ　ひたすら城壁作りにいそしみ、男には肉体労働を、女にはそのための食べ物運びをさせる。

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#ギルガメシュ叙事詩 また、②その城壁は、バベルの塔を意識しているように読み取った。城壁はどんどん高くなり、人々は不安になってきたが、世界一高くなってもギルガメシュはもっともっとと人々を働かせた、という描写。それで人々が太陽神に助けを求めるという流れ。

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#ギルガメシュ叙事詩 原典では、人々が太陽神に祈る明確で具体的な契機が書かれていなかったと思ったが、絵本版ではギルガメシュの暴走というよりは妄執というものが一本化されていて、キャラクターとして分かりやすくなっていると思う。

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#ギルガメシュ叙事詩 ちなみに城壁作りの動機として「人びとに自分のつよさを見せつけて、いつまでも、自分をわすれさせないようにしよう」というのが明示されている。

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#ギルガメシュ叙事詩 ③そしてエンキドゥが登場する。夕焼けの大きな太陽を横切って、天から舞い降りる戦車に乗った、エンキドゥの小さな影。それだけでも明らかなのだが絵本版でのエンキドゥは一目で異形である。全身けむくじゃらで、頭には大きな一対の角が生えている。

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#ギルガメシュ叙事詩 しかし次の絵で動物とともに描かれるエンキドゥの、なんと優しげなこと。その傍らでヤギたちとライオンたちが一緒にくつろいでいる。一種の楽園として、エンキドゥの育った「森」を描いているわけだ。

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#ギルガメシュ叙事詩 またここで、「エンキドゥという人間をつくらせ、動物とくらすようにと、森へおくりました。ギルガメシュが人間とともにくらしたのに、人間らしい心にならなかったからです」とあるのが面白い。この理由づけは創作部分だと思うけどすごく納得がいった。うまいと思う。

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#ギルガメシュ叙事詩 ③補　あっ、2本の角は冠だったらしい。「動物たちとの友情のしるし」であると、ウルクに着くまえのシーンで記述される。天の戦車に乗ってくる裸の場面ですでに角ってるように見えるんだが

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#ギルガメシュ叙事詩 あとこれは関係ないけど、次の場面で登場した狩人が一頭だての戦車に乗って、矢でライオンを射ている。おまえは王かｗｗｗ http://t.co/GXW8QJpl

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#ギルガメシュ叙事詩 ④シャマトは「ウルクでいちばん美しい」歌うたいで、「みんなシャマトがだいすきでした」と描写される。でも誰のことも好きではないギルガメシュはシャマトにも冷たくあたり、エンキドゥのもとへ派遣するというひどいことを命じた、というような描かれ方。

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#ギルガメシュ叙事詩 原典の、一種の巫女というか超越した存在みたいな聖娼でもなく、梅原版のような遊び女でもないヒロインなのである。

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#ギルガメシュ叙事詩 そして黄金の光が差し込む奥深い森の中でエンキドゥとシャマトのあいだにロマンスが生まれるわけである。シャマトは「エンキドゥに話すことをおしえ、歌うことをおしえました」とあるが、どうせ教えるんなら逆の順番の方が歌うたいらしくていいんじゃないのといま思った

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#ギルガメシュ叙事詩 ここでシャマトは「ハープ」を弾いていると書かれるが、絵ではどうやらウル出土のリラ http://t.co/5CIAGLcN っぽい。

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#ギルガメシュ叙事詩 ⑤エンキドゥはなにやらヒロイックな感情によってギルガメシュと戦うことを決意し、動物たちとは名残惜しさの中で別れる。みんな森の境界まで見送り、ラクダなんて涙してくれるのである。「動物たちは、なぜエンキドゥがいってしまうのか、わかりませんでした」。悲しい。

せがわ @segawa

#ギルガメシュ叙事詩 まあ「人間とセックスしたので動物から爪弾きにされました」は子供向けじゃあないなあ

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#ギルガメシュ叙事詩 ⑥ページをめくるとどどーんとギルガメシュ。こわい。ウルクでは市民が残酷な王を倒す者としてのエンキドゥの到来を聞き知っており、待ち望んでいる。ギルガメシュはそれを衆目の前で返り討ちにし、今後の下克上を防ぐ考え。なんだか普通にエンキドゥが正義の味方みたいだぞ。

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#ギルガメシュ叙事詩 そしてついにギルガメシュvsエンキドゥが始まるわけですがこの場面の絵がアツいんだーー。日干し煉瓦の積まれた城壁を背景に、向かい合った二人が叫びあう、それが、楔形文字がお互いの口から飛び出して相手に突き刺さらんとするようにして描かれる。この表現はシビレるね！

せがわ @segawa

#ギルガメシュ叙事詩 ⑦で二人は戦うんだけど、その舞台が、原典をはじめ大体のバージョンに共通した街路においてではなくて、城壁の上でとなっている。ギルガメシュが妄執をもって築かせたあの城壁である。この変更はすごく効いていると思う。