ボンドの甥妄想ストーリーまとめ
- keroyoninja
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@IMG_F 兎小屋めいた1Kのアパートメント。それが僕がトーキョーで借りた部屋だ。狭いながらもお気に入りのヒーローフィギュアで飾られた部屋は、僕にとっては豪華な王宮より居心地がいい空間だ。そんな部屋に赤の他人を入れるのは気が進まないけど、尊敬するおじさんの頼みなら仕方ない。
2012-07-22 17:58:10@IMG_F 『ちょっと変わったやつだけど、きっと気が合うと思うよ』博識で頭の良いボンドおじさんの親友。一体どんな人物なのだろう?夏休みの一週間。軽い気持ちで引き受けた観光案内。この時の僕はまだ、己に降りかかる出来事を想像もしていなかった…「アイエエ!ニンジャ、ニンジャナンデ⁉」
2012-07-22 17:58:15@home (前回までのあらすじ)ボンドおじさんに頼まれて一週間の観光案内を引き受けた僕がナリタ・エアポートで出迎えたのは、奇妙なキモノガウンを羽織ったアメリカ人、フィリップ・N・モーゼズだった。このときから僕とモーゼズのニンジャの日々は始まり……
2012-07-26 23:31:03@home 見慣れたはずの部屋が、なぜかよそよそしいものに感じられて、僕は1Kのアパートメントの中央に立ち尽くしていた。一週間前と何も変わっていない。あれだけ僕を振り回して置きながら、彼は行儀のいい登山家よろしくゴミひとつ残さず去っていった。
2012-07-26 23:32:35@home 残ったのは、ぺらぺらのキモノガウンと身体の芯に残る心地いい疲労だけ。いまでも、目を閉じるとキョートで買った真新しい藍染めのキモノガウンを翻して去っていくモーゼズの姿が脳裏に蘇る。……そう、変わったのは部屋じゃない。僕の方だ。
2012-07-26 23:33:32@home あまりにめまぐるしく多くの体験をしたために、もはや世界が同じようには見えなくなってしまった。実家の子供時代の自分の部屋に帰ったときのように、ちょっとだけこの1Kのアパートメントが窮屈に感じられるのだ。
2012-07-26 23:36:58@home ばかげた感傷だとは思う。きっと翌日にはもう変なおじさんの相手をしなくてもいいんだと笑って忘れているだろう。平和な日常が戻ってきたんだ。笑って首をふり、はっとして直前目にしたものに視線を戻す。ひとつだけ、ひとつだけ変わったものがあった。
2012-07-26 23:38:49@home 僕のヒーローフィギュアコレクションの中に、見覚えのない、赤黒のニンジャが混じっている。「ニンジャナンデ?」精巧に作られたフィギュア、その邪悪に燃える目を見つめていたそのとき、PCのアラートが鳴った。キャパァーン!「ボンドおじさん?」
2012-07-26 23:44:00@home あとで調べてわかったことだが、赤黒のニンジャヒーローなんてどこにもいなかった。だから、これはおそらく、モーゼズの自作フィギュア。
2012-07-26 23:48:42@home 『モーゼズの相手をしてくれて有り難う。取材がうまくいったと彼も喜んでいたよ。実をいうと、いま僕らは日本を舞台とした小説を共同執筆しているんだ。第一話ができあがったら、一番に君にみせたいと思ってね。送るよ。題名は、ニンジャスレイヤー』
2012-07-26 23:53:52@home 「ニンジャスレイヤー?」終わったと思ったニンジャの日々が、まるで予想もつかない形で、こうしてまた始まろうとしているのを、このときの僕はまだ知る由もなかった。……テキストファイルを開くまでは。
2012-07-26 23:57:42@home 「モーゼズ=サンはどうして日本に来たの? カトゥーン? 電機製品?」「ニンジャだ」「え?」「ぼくはニンジャ存在をこの目で確かめるために来た」「ええ?」
2012-07-27 00:02:24@home 「キョート……!」急性のショック症状めいた何かに襲われたらしく、頭を抱えて地面に蹲っていたモーゼズは、そう呟くとふいにすっくと立ち上がった。「そうだ、キョートへ行こう」「なんだって?そんなお金ないよ!」
2012-07-27 00:04:07@home 「甥クン……!ニンジャ存在の秘密を探るためには、キョートに行かねばならないのだ!」ヤバイ、この男はイカレてる……。そう、思った。でも、その澄んだ青い瞳に見つめられて、僕は気がついたら頷いていた。彼の目には嘘がない……そう思えたのだ。
2012-07-27 00:05:13@home 「いい加減にしてくれよ!なんだよニンジャって!あんたなんなんだよ!」「僕か……?言っただろう、僕の名前はフィリップ・N・モーゼズだと」僕はいい加減彼に愛想をつかせて、腹を立てていた。なのにその瞬間、僕は一瞬にして気圧されていた。「そう、Nとは……ニンジャのNだ!」
2012-07-27 00:06:20夏休み、一人ぼっちの小学三年生の正男(ボンドの甥)は、遠く離れて暮らしているという母親に会うために、お小遣いを持って家を飛び出した。たまたま来日中にそれを知って心配したボンドは、一緒に来ていた友人のヒッピー中年、フィリップを正男に同行させて母親のもとへと旅に出る。 #モーゼズの夏
2012-07-27 08:09:04縁日でハトリニンジャのオメーンをかぶってはしゃぐフィリップとか、リアルヤクザ相手に玩具のヌンチャクを振り回して怪訝な顔をされるとか、合間合間のエピソードはろくでもないのに、無駄に綺麗でノスタルジックな風景描写と音楽で感動してしまう。 #モーゼズの夏
2012-07-27 08:14:06モーゼズは、小さい子供たちとはすぐ仲良くなれそう。(子供たちにまざって一緒にニコニコしながらぎこちなくラジオ体操してる、大柄で茶色の長髪の白 T シャツ白人)ちょっと自我が付いてきたあたりの子供には反発されがちなんだけど、やがて彼の人柄に触れて徐々に惹かれていく。 #モーゼズの夏
2012-07-27 08:28:54ささいな日本文化にいちいち驚いて、真剣な顔をして独自の解釈と考察をするエピソードが満載で、テルマエ・ロマエめいたアトモスフィアが漂う。日本人は、基本的に白人に対して寛大なので、全体的にアトモスフィアがとても優しい、いわゆる和みガイジンファンタジー系の作品でもある。 #モーゼズの夏
2012-07-27 08:34:24