ショートショート:ある惑星の物語

このまとめに拾った呟きはフィクションです。 現実の存在・現象とは一切関わりありませんっ。 ついでに、科学考証もしてませんっ。
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夢乃 @iamdreamers

【SF01】その広大な空間の一点に、彼は産まれた。空間に漂う塵が集まって球体を成し、それがさらに多くの塵を集めてゆく。自分がいつ意識を持ち始めたのかもわからないまま、彼の体は大きく育っていった。

2012-07-28 19:03:34
夢乃 @iamdreamers

【SF02】彼の体には宇宙から降り注いだ放射性物質が降り積もり、そこから発せられる放射線により、寄生生物から彼を守っていた。辛くも放射線の洗礼を免れたものも、外側を覆う二酸化炭素の雲により高温に保たれた彼の体の表面では、長時間の生存は不可能だった。

2012-07-28 19:04:03
夢乃 @iamdreamers

【SF03】高温と放射線に守られた彼は、何もない空間で独り物思いに耽り、惰眠を貪る時を過ごした。

2012-07-28 19:04:30
夢乃 @iamdreamers

【SF04】永い時が過ぎた頃、彼は体表面の違和感に気付いた。厳重に守られているはずの大気中に、異物が混入している。気付くと、体表を覆っていた放射性物質は崩壊し、体を守っていた放射線が減少している。

2012-07-28 19:04:56
夢乃 @iamdreamers

【SF05】その間隙を縫って、熱に耐性を持った小さなバクテリア様の生物-植物-が彼の大気中に産まれていた。その植物は大気中の二酸化炭素を分解し、猛毒の酸素を精製・拡散していった。

2012-07-28 19:05:17
夢乃 @iamdreamers

【SF06】二酸化炭素の減少により、彼の体表に溜まっていた熱は、外の空間へと放出されていった。熱の放出により表面温度は低下し、それによって大気中の水蒸気が冷やされて水になり、雨となって降り注ぐ。これによってさらに表面温度は下がっていった。

2012-07-28 19:05:39
夢乃 @iamdreamers

【SF07】植物はその中で繁殖を繰り返し、その速度に拍車がかかっていった。当初は高空に漂っているだけだったその生物は、彼の体表面へと降下し、その種類も彼が気付いた時には見られなかった新種まで現れてきた。彼の体表面上で、植物はその繁栄を欲しいままにしていた。

2012-07-28 19:06:06
夢乃 @iamdreamers

【SF08】彼もこれに対抗を試みた。体表下にマグマを精製し、表面に噴出させた。しかし、彼の対応速度では植物の繁殖速度に対応できず、ごく一部の植物を焼き、一時的に表面温度を上げただけに留まった。

2012-07-28 19:11:55
夢乃 @iamdreamers

【SF09】このまま植物が繁栄を続け、二酸化炭素の分解を繰り返していくと、やがては精製された酸素が彼の体の中心にまで浸透し、彼の生命活動をも脅かしかねない。何とかして植物を駆逐しなければ。彼はまず、植物を観察することから始めた。

2012-07-28 19:12:26
夢乃 @iamdreamers

【SF10】植物は二酸化炭素を分解して猛毒の酸素を精製しているが、同時に酸素と炭素を合成して二酸化炭素を生み出してもいる。理由は明確ではないものの、どちらも植物にとって必要なことらしい。

2012-07-28 19:13:18
夢乃 @iamdreamers

【SF11】植物と同じように二酸化炭素を合成し、なおかつ植物をエネルギー源とするような、謂わば植物の天敵となるような生物を生み出すことで、植物を駆逐するという方法を彼は考えた。

2012-07-28 19:13:45
夢乃 @iamdreamers

【SF12】彼は、自分の体表面に存在する元素を操作し、生物の生成を試みた。無限とも思える試行錯誤の後、植物を貪り、分裂することで自己の増殖を行う単細胞の生物-動物-を作り出すことに成功した。この新しい生物が植物を捕食し、その後自滅してくれることを彼は期待した。

2012-07-28 19:14:54
夢乃 @iamdreamers

【SF13】彼の生み出した生命は、植物を餌に徐々にその種類と数を増やしていった。彼の当初の期待に沿うように。このまま動物が植物を駆逐していけば、元の正常な状態に戻るかもしれない・・・

2012-07-28 19:16:41
夢乃 @iamdreamers

【SF14】しかし、動物の数が増加してくるにつれ、彼の想いとは異なる現象が現れてきた。動物の増加の割合に比べて、植物の減少が遅くなっているように見える・・・いや、逆に増加してきている・・・

2012-07-28 19:17:29
夢乃 @iamdreamers

【SF15】彼が気付いたときには、動物は植物との共存の道を歩んでいた。両者は互いに相手を利用し合い、それによって以前にも増す速度で増殖していった。これでは動物を創造した意味がないどころか、逆効果ではないか。彼は焦った。

2012-07-28 19:18:52
夢乃 @iamdreamers

【SF16】この状況をいかに打開するか・・・元々、彼の体は二酸化炭素と放射性物質によって覆われていた。放射性物質は崩壊して減少し、二酸化炭素は植物により分解された。これらを元の状態に戻すことができれば現状を打破できるかもしれない・・・

2012-07-28 19:19:50
夢乃 @iamdreamers

【SF17】彼は、体表面で何度となく、故意に炎を作りだした。マグマの噴出や、大気を振動させることによって。ほどなく、動物の一種がそれに興味を示した。この動物がこのまま炎を自ら利用することを覚えれば・・・そして彼も、体内に力を蓄えはじめた。

2012-07-28 19:20:20
夢乃 @iamdreamers

【SF18】炎の利用を覚えた動物は、知性を持った知性体へと変化を遂げた。知性体は我欲を満たすため炎を基にさまざまに道具を作り出した。その過程で多量の二酸化炭素を合成していたが、彼からみれば微々たるものであり、元の高温状態に戻すには程遠かった。

2012-07-28 19:21:02
夢乃 @iamdreamers

【SF19】知性体はさらに、独占欲を発揮して他の生物の生活圏を脅かすどころか、知性体同士でも縄張りを主張し合い、少しでも多く彼の体表面を所有しようと争った。この争いで二酸化炭素合成量は増え、生物の減少もあったが、動物の前例もあったため、彼は楽観はしなかった。

2012-07-28 19:21:59
夢乃 @iamdreamers

【SF20】やがて知性体は、原子力にも目を付けるようになった。核崩壊の熱を利用するだけでなく、核分裂の熱も利用することを覚えた。これらを利用した兵器や施設は、知性体により彼の体表面の至る所に保存され、作られていった。

2012-07-28 19:22:36
夢乃 @iamdreamers

【SF21】この頃になると、彼が徐々に蓄えていた力の一部を彼自身も抑えきれなくなり、体表面の弱い部分から噴出していた。それは、知性体には地震や火山の爆発という形で認識されていった。

2012-07-28 19:23:40
夢乃 @iamdreamers

【SF22】彼の蓄えた力は、一度に解放すれば知性体が集約・建設した原子力関連の施設をまとめて破壊できるほどになっていた。この頃には一部の知性体にこの事実を気付かれており、知性体間で警鐘を鳴らすものもいたが、そのような膨大な力が一度に解放されるような稀な事態は黙殺されていた。

2012-07-28 19:24:26
夢乃 @iamdreamers

【SF23】そしてその時はきた。彼はそれまで蓄えた力をいちどきに解放した。知性体にとって、動物たちにとって、そして植物たちにとっても、それは正に地獄絵図だった。彼の体内から体表に躍り出たマグマは蔓延っていた生物たちを薙ぎ払い、原子力施設を破壊して放射性物質を撒き散らした。

2012-07-28 19:25:39
夢乃 @iamdreamers

【SF24】彼は勝った。減少していた放射性物質は知性体が蓄えていたものを利用することで元に近い状態に回復し、マグマと共に噴出させた二酸化炭素は体表面を再び覆って表面温度は高くなった。生き延びた生物がいたとしても、ほどなく死滅するだろう・・・元の清浄な状態が戻ってきた・・・

2012-07-28 19:26:00
夢乃 @iamdreamers

【SF25】・・・彼が力を解放する少し前、小さな飛翔体が彼の体から飛び立った。しかし、彼は気にも留めなかった。目的は体を元の清浄な状態に戻すことであり、生物を死滅させることではないのだから、自ら離れるものを引き止める必要もない・・・

2012-07-28 19:26:52

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