ストーンローゼズとギャラガー兄弟の「上手さ」と「上手くならなさ」

萩原健太さんが「キース・リチャーズのなにがすごいって、絶対にギターを上手くならない努力をしているに違いないところ」と言っていてて、すごく納得した。これはもしかすると、今回のフジロックで見たストーンローゼズや、元オアシス来ギャラガー兄弟にも関係するかも、と思って考えをまとめました。
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東郷正永 @TOGO_Masanaga

1 この前、tbsラジオ「デイキャッチ」で萩原健太さんがら「キース・リチャーズのなにがすごいって、絶対にギターを上手くならない努力をしているに違いないところ」と言っていてて、すごく納得した。普通はあれだけ長く続けば上手くなる。でもその上手さは、必要なうまさなの?ということ。

2012-07-28 03:08:54
東郷正永 @TOGO_Masanaga

2 必要な上手さはもちろんある。しかし萩原さんは、ただ技術的なことを言ったのではないだろう。甲本ヒロトが以前、「最初にギターを持った時に鳴らした音が最高の音」といっていたが、そのような「感動の新鮮さ」の持続は大変に難しい、というようなことなのだろう。僕の職業である放送でも分かる。

2012-07-28 03:12:03
東郷正永 @TOGO_Masanaga

3 番組が長続きするかどうかは、運、ネタが続くか、スタッフに熱意があるかどうか、など色々あるが、僕が思うに「感動の新鮮さ」の持続こそ難しい。続けると次第にみな、その企画が要求することに「上手になってしまう」。その結果、待っているのはリアクションのメタ化、同時にネタ化である。

2012-07-28 03:16:58
東郷正永 @TOGO_Masanaga

4 こういう種類の「上手くならない」ことは、特にエンターテイメントの世界では特に重視される。夭折したアーティストがもてはやされるとしたら、永遠に上手くならないから、と言えるかもしれない。あるいはとっくの昔に解散してしまったバンドへの思い入れも、似たような側面があると思う。

2012-07-28 03:20:59
東郷正永 @TOGO_Masanaga

5 ようやく話がつながった。フジロックの、ストーンローゼスのことだ。僕は実はそれほど熱心なファンではない。アルバムは聴いているが、とりわけなにかを感じたことはなかった。しかし、実際に見てみて印象が変わった。あえて言えば、ローゼスは「再結成しても大丈夫なバンド」だったのだ。

2012-07-28 03:23:22
東郷正永 @TOGO_Masanaga

6 ストーンローゼスは、90年代、イギリスのマンチェスターから出た多くの素晴らしいバンドのひとつだ。そして今日、実際に生で見て感じたことは「みんな楽器うめえ」と「ボーカルのイアン・ブラウン下手くそ」だった。まあこれは以前からの印象と変わらない。ただし生で見てそのすごさが分かった。

2012-07-28 03:28:55
東郷正永 @TOGO_Masanaga

7 今日のローゼスで、ベースのマニがひたすら同じフレーズを弾き続け、ドラムのレニがそのリズムをグルーヴにし、ギターのジョン・スクワイアが彩りをつける、ということを20分続けた局面があった。ボーカルのイアン・ブラウンは、棒状のタンバリンを鳴らすだけ。それで極めてエキサイティング。

2012-07-28 03:36:01
東郷正永 @TOGO_Masanaga

8 しかし本当にエキサイティングなのは、イアン・ブラウンが歌い出す瞬間。音程は外すしタイミングも変だし、まわりとのギャップがすごいのだが、でもそれこそが、「感動の新鮮さ」を本人たちに感じさせ、全体の緊張感を演出する。あのバンドのボーカルは、やつでなければだめだ、と思わせる。

2012-07-28 03:39:48
東郷正永 @TOGO_Masanaga

9 イアン・ブラウンは、キースと違って「上手くならないための努力」はしていないだろう(キースが本当ににしてるかどうかは別の話)。しかしメンバーとの技術差みたいなのは、以前にも増したように思える。重要なのは、イアン・ブラウンの下手さがストーンローゼズに必要だということだ。

2012-07-28 03:45:04
東郷正永 @TOGO_Masanaga

10 「感動の新鮮さ」を保つという努力は、下手でもいいじゃんという開き直りとは違って、キースのように「努力が必要」ということだ。それがバンドとしてのバランス、イアン・ブラウンのような「配置」であることもあり得るけど、なんにせよ難しいですね、という極めて当たり前の結論でした。

2012-07-28 03:52:03
東郷正永 @TOGO_Masanaga

1 昨日の深夜の長文と似たようなことを書くけれど、長くなりそうだし結論は同じようなもの。ただし取り上げるバンドは、ビーディアイとノエル・ギャラガーズ・ハイフライングバーズである。そう、あの世界一仲の悪い兄弟にして、世界一人気があった(と思う)バンド、オアシスの元メンバー2人だ。

2012-07-29 03:33:37
東郷正永 @TOGO_Masanaga

2 オアシスは弟のリアム・ギャラガーがボーカルで(後ろで手を組む人です)、兄のノエルがギター、時にボーカル、作曲などやるリーダーだったが、結成から20年ぐらいたった3年くらい前にいきなり解散した。ノエルは自分のバンドを作り、一方残されたメンバーはビーディアイというバンドを作った。

2012-07-29 03:40:13
東郷正永 @TOGO_Masanaga

3 で、今年のフジロックはその2つともが登場するということで話題になった。で、昨日今日で両方見たわけなのだが(※ここからは個人の感想ですw)、はっきり言って昨日のビーディアイはあまり印象に残らなかったので、今日のお兄ちゃんバンドを中心に書く。一言でいえば、非常にいいバンドだった。

2012-07-29 03:44:35
東郷正永 @TOGO_Masanaga

3 これまでもリアムのボーカルは下手だ、という話があるのは承知していたし、オアシスの名曲でノエルが歌ったものもあるが、生で見て、なんとノエルの方が歌が上手い、というのは明らかだった。歌うことしか出来ないリアムが、兄でリーダーのノエルよりその歌で下手、となればそりゃ1人でやるだろ。

2012-07-29 03:47:49
東郷正永 @TOGO_Masanaga

4 しかし、お兄ちゃんバンドを見ていくに従い、奇妙な感覚が芽生えた。「このバンド、僕が見なくてもいいんじゃない?」昨日の文脈で言えば、「感動の新鮮さ」がない、ということだろうか。う少し詳しく言えば、感動の新鮮さを作る要因が少し欠けているのではないか、と。完全すぎるのである。

2012-07-29 03:54:49
東郷正永 @TOGO_Masanaga

5 オアシスでは、歌しか出来ずしかもその歌も自分より下手なリアムの存在に、ノエルはさぞかし困っただろう。しかしそのくびき(失礼w)を逃れると、今度はロックとしては完成系で、スキがなさすぎて聴いている側の居心地が今ひとつ落ち着かない。贅沢な要求であることはもちろん承知しています。

2012-07-29 03:59:47
東郷正永 @TOGO_Masanaga

6 ここで、昨日のストーンローゼズと全く同じ結論にしても一向構わないのだが、少し違うことがある。それは「足手まといがいると普段以上の力を出す」という滝沢昇のことだ。「炎の転校生」ってマンガの主人公で、ゆかりちゃんという足手まといな女の子がいると力を出す、というセリフがあるのです。

2012-07-29 04:04:47
東郷正永 @TOGO_Masanaga

7 僕は昨日、「上手くならないこと」による「感動の新鮮さ」の話をしたが、これは決して「素人っぽさがいい」的な、日本のアイドルのような状況とは違う。まあ誤読する方は僕のフォロワーさんにはいないだろうが。いかに「感動の新鮮さ」を保つか、の一つの対策かもしれないが、そへは全てではない。

2012-07-29 04:08:42
東郷正永 @TOGO_Masanaga

8 しかし、キース・リチャーズのように、「上手くならない努力をする天才」なんて滅多にいない。ストーンローゼズのように全てがハイレベルで、1人だけ下手、というのも相当珍しいだろう。となると、1人の天才が、1人足手まといをまとう、というのは意外にいい、意味のある解決法かもしれない。

2012-07-29 04:11:27
東郷正永 @TOGO_Masanaga

9 最初に書いた通り、ノエル・ギャラガーズ・ハイレフライングバーズはすごくいいバンドだ。でもオアシスのように世界的に圧倒的人気のバンドになるかどうかは怪しいと思う。やっぱり、ノエルには力を「感動の新鮮さ」を嫌でも引き出してくれる「足手まとい」、リアムが必要なのでは、と思いました。

2012-07-29 04:16:08