いじめと修復的司法:水島広子氏(精神科医)

[[イギリスの修復的司法:http://www.hirokom.org/kokkai/kokkai154.html]]  修復的司法というのは、日本でも少しは知られるようになってきている言葉であるが、単に罪を「悪い」とする司法ではなく、なぜ犯罪に至ったのか、犯罪によって被害者がどのような立場に置かれるか、ということを、ミーティングの中で、加害者も被害者も一緒になって考えていくアプローチである。  犯した罪を単に「悪い」と糾弾されても、恨みを持ってますます凶悪になることもある。  でも、自分が犯した罪によって被害者がどれほど傷ついたかということに共感できれば、本当に悪いことをしたと思えるし、再犯の防止にも確実につながる。  被害者としても、なぜ自分がそのような犯罪に巻き込まれたのかを知ることができないのは恐怖だ。犯罪がなぜ起こったのかを知ることによって、恐怖や不安を少しは和らげることができる。 続きを読む
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水島広子 @MizushimaHiroko

何年か前、地方新聞から招聘されていじめと修復的司法についての話をした。参加者の方は深く感銘を受け「どうしてこういう有効な手だてが日本で知られていないのか」と。そこで某全国紙にその要点を投稿した。すると、「時期にあったテーマでない」という理由で却下された。

2012-07-27 23:00:39
水島広子 @MizushimaHiroko

いじめは常に起こっていること。ニュース性ということで言えば当時は「時期に合ったテーマではない」ということだったのだろうが、これだけ多くの人たちの育ち、そしてその後の人生に大きな影響を与える日常的な出来事を、ニュース性という軸で切るのが不思議だ。

2012-07-27 23:04:34
水島広子 @MizushimaHiroko

事件になって取り上げるから、学校側も防衛的になる。日頃からの取り組みであれば、学校側も教育的な視点を持ってもっとオープンに話し合いに参加できるように思う。つまり、日常的な意識と取り組みが必要であり、そこを貫く姿勢は「断罪」ではなく「修復的司法」であるべき。

2012-07-27 23:06:18
れもんた @montagekijyo

@mizushimahiroko 人が死なないとニュースにならない、人が死ぬとニュースになる、一気に噴き上がる、そして、消費され忘れ去られるというのは、いじめや自殺対策にとって逆効果なところもあるでしょうね。

2012-07-27 23:25:28
水島広子 @MizushimaHiroko

そうなのです。やはりこれも衝撃への反応と言えて、過度に感情的だし、決めつけも激しいし、やがて燃え尽きたり、テーマを避けるようになる。その間も、各地でいじめは続いているのです。地に足のついた持続可能な進歩しか希望をもたらさないと思います。@montagekijyo

2012-07-27 23:37:43

水島広子 @MizushimaHiroko

社会のネガティブな側面について語るときには、それが子どもたちにとってどういうメッセージになるかを考えたい。物理的に右肩上がりの幻想を抱かせようという意味ではなく、社会がどうなろうと心の平和を自分で選んでいきたい、というメッセージを体現できる人間になりたい。

2012-07-29 22:27:50

水島広子 @MizushimaHiroko

いじめなどによるトラウマ症状(自己不全感を中心としたもの)を長い年月にわたり抱えながら、それがトラウマ症状として典型的な感じ方だということも知らない人にしばしば出会う。自分が「不全」なのではなく単なる症状としての感じ方だということを知るのは福音になる。

2012-07-30 21:44:45
水島広子 @MizushimaHiroko

「いじめられている君たちへ」というタイプのポジティブな語りかけに私が違和感を抱くのは、本当にトラウマを受けている人にとってはかなりレベルの違う話だから。ある程度の自己肯定感がなければ、ポジティブな提案に前向きになれない自分を責めるだけだろう。

2012-07-30 21:45:06
水島広子 @MizushimaHiroko

先日公表されたうつ病治療ガイドライン http://t.co/keeCFwF2 でも、いじめや虐待の後遺症について触れてもらったが、いわゆる「難治性うつ病」にはトラウマ関連者も多い。そう考えると、うつ病叩きの世相にも涙が出る思い。

2012-07-30 21:48:56
ぐみ @socraticloved

まずはトラウマのケアをすることが、悪循環を断ち切る効果的な一歩となるのでしょうか RT @MizushimaHiroko: 先日公表されたうつ病治療ガイドライン http://t.co/i3NGHr0m でも、いじめや虐待の後遺症について触れてもらったが、いわゆる

2012-07-30 22:18:37
水島広子 @MizushimaHiroko

ケアというほど大層なものでなくても、今の感じ方が自分が弱いだめな人間である証拠などではなく、いじめでトラウマを受ければ誰もが経験する一連の症状であることを知る、ということが一歩となると思います。@socraticloved まずはトラウマのケアをすることが、悪循環を断ち切る効果

2012-07-30 22:21:54

水島広子 @MizushimaHiroko

最近のいじめは特に集団の気分によって行われるので、いじめられた理由はわからないことが多い。するといじめ被害者は「人からネガティブな思いを向けられないように自分を完璧に整える」という対処法しか身につけられない。ストレスフルで、破綻しやすい対処法だ。

2012-08-02 23:14:25
水島広子 @MizushimaHiroko

ところがそうした「最近のいじめ」には、驚くほど共通する構造があって、それを知ることができれば、「被害者が自分であったことの必然性」などなかったのだ、ということがわかってくる。誰が同じ立場に「はまっても」、同じようなことになるだけなのだ。

2012-08-02 23:16:55
水島広子 @MizushimaHiroko

いじめについて学んでいくと、「自分が悪かったからいじめられた」というところから、「いじめという構造」に目が向くようになっていく。いじめによるトラウマを負っている人が社会でやっていけるようになるには、「自分が悪かったからいじめられた」という感覚の癒しが重要。

2012-08-02 23:19:39
水島広子 @MizushimaHiroko

いじめられていたことを親に言うべきだった、という論調については、「親はもっと子どもを観察すべき」という啓発効果は認めつつも、言えなかったことには相応の理由がある。理不尽ないじめを受けた上に、それへの対処が悪かったなどという「二次いじめ」だけは絶対に作りたくない。

2012-08-02 23:23:47
Hermēs @x7tko

「構造」を見抜くには、理性的な力も必要なわけで、癒しと並行的にとはいかないのではないでしょうか? @MizushimaHiroko: 「いじめという構造」に目が向くようになっていく。「自分が悪かったからいじめられた」という感覚の癒しが重要。

2012-08-02 23:24:14
水島広子 @MizushimaHiroko

治療者的な回答になってしまって恐縮ですが、例えば病気の症状について「自分のせいではない」と知ることが癒しにつながるのと同様、「いじめなんてこんな構造だ」ということを説明してあげることで癒しにつながることは多いのです。@aristotetsu構造」を見抜くには、理性的な力も必要

2012-08-02 23:28:03

水島広子 @MizushimaHiroko

児童虐待防止法の抜本改正をしたときの主眼は「虐待を早く見つけて通報する」に主にとどまっていた視点を、「その後も生きていかなければならない子どもの育ち」に大きく広げたことだった。いじめについてはまだ前者の段階にいると思う。そして後者が必要なのも同じ。

2012-08-05 16:12:40
水島広子 @MizushimaHiroko

いじめられ体験が人間関係の基本設定になってしまうと、その後も本当に長期にわたって影響を受け続ける。些細なことでも他者のネガティブな反応を異常に怖れるようになることも多い。「相手にもいろいろ事情があるのだな」などという余裕のあるものの見方は一般に難しい。

2012-08-05 16:13:23
水島広子 @MizushimaHiroko

いじめを「極悪のいじめっ子」「見逃した・隠蔽した学校」という視点から見ている限り、効果的な前進は望めないと思う。コミュニティとしてこれをどう引き受け癒していくか、という修復的司法の視点が必要。それがいじめられた子の「人間の基本設定」を変えることにもつながるはず。

2012-08-05 16:14:21
水島広子 @MizushimaHiroko

学校の先生はもちろん、子どもに関わる全ての職種の人が修復的司法のトレーニングを受けたらとても効果的だろうと思う(もちろんAHでも可)。いじめ対策(予防、発見、癒し)になるし先生たちの燃え尽き予防にもつながるだろう。そういう環境で育つ子どもたちの未来も楽しみ。

2012-08-05 16:14:51