60年安保のなかの暴力――ラジオ関東報道部（1960）「6・15事件実況中継」から

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[paper] 今日はこのへんをひとつ. / ラジオ関東報道部（1960）「6・15事件実況中継」 in: 臼井吉見編(1960)『現代教養全集〈別巻〉1960年・日本政治の焦点』, pp.189-195 http://t.co/JwDfuVQH

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「〔1960年6月〕15日午後10時30分ごろ 　アナ　こちらは国会の前であります。安保反対、国会即時解散を要求いたしました第十八次統一行動は、ついに血を呼んで、死者をも出しました国会の周辺は、なお異常な興奮に包まれております」（ラジオ関東報道部（1960:189）

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「十時前から降り出してまいりました雨にもめげず、人々は国会のまわりで、本当に怒りをどうしようもないといった感じの顔で、ひっそりと雨の中に立ちつくしております。国会の通用門前から国会の周辺の模様をいろいろとお伝えしたいと思います」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「この通用門の前では、構内の警官隊と、それから、この国会の外から、労働組合の人あるいは学生の人々が、警官隊にいろいろと口々に言葉を浴びせております」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「向う側の衆議院議員の面会所のところからは、重軽傷者がつぎつぎと運び出されまして、なんでも延五十台の救急車が負傷者をつぎつぎに運び出したそうでありますが、今なおサイレンの音とともに負傷者が運び出されております」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「それから、いま正門の方に行っておりました久保田アナウンサーが帰ってまいりましたのでちょっと様子をきいてみたいと思います」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「久保田アナ　正門ですけれども、今から十分ほど前、装甲車があそこでバリケードで十台ほど並んでおりましたが、それにロープをかけまして、ざっと五、六十人の学生がなんとか、この装甲車を外に出しまして、その隙間をぬって国会の中へ入ろうという、そういった行動をみせました」（ibid.）

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「〔久保田アナ〕が、結局功を奏しませんで、約五分ほどそれを続けまして、ついに諦めました。依然としてやはり正門のところもバリケードをはさみまして、バリケードの警官隊とそれから全学連、労組のにらみあいが続いているといったところでございます」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「アナ　ところで、このマイクロホンのまわりに、ずいぶんの人々にお集まりいただいておりますので、今日の様子などいろいろ聞いてみたいと思います」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「声　バカヤロー、それでいいのか。 声　人命を守る警官隊が人を殺したぞ。 声　鉄カブトの下の頭で考えてみろ」「大体今のような様子でございます」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「ここに……ちょっと……奥さんですか、和服の奥さんでございますが、きょうは……〔おそらく和服の女性にマイクを向けている〕」（ラジオ関東報道部（1960:189））

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「女性　私はネ、テレビを聞いてみておりまして、あんまりひどいのに興奮いたしまして、学生さんのなかにはネ、救急車に収容されまして、名前が出たりしまして、学校の方からまた圧力がかかっていやだっていう方たちがあるっていうんで」、（ラジオ関東報道部（1960:189f））

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「それを気にしまして、一人でも急病人が助かるようにと、私、急いで薬屋で傷薬買ってホウタイと、そして脱脂綿もって、いま車で急いでかけつけました」「アナ　ああそうですか、ハイどうもありがとうございました」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「女性　ほんとに、おやめにならないといけないと思います。こういう……岸さんがこういう非常時をネ、助けなくちゃならない時だと思う。総理大臣として」「アナ　どうもありがとうございました」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「16日午前1時30分ごろ アナ　こちらは国会前のＦＭカーでございます。もう深夜一時半が近くなろうというのに、ものものしい国会の周辺は依然として、あの国会突入の、あの悲劇の起きたあの時とまったく同じであります」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「ちょうど今から十分くらい前でありますが、一旦静かになっておりましたこのＦＭカーのございます南通用門のすぐ近くあたり、ぞくぞく救援の警官隊がやってまいりまして、異様な興奮がふたたびもり上ってきたと、そういう感じであります」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「（早口になって）ちょうど、この眼の前で警官隊が警棒をふるっております。眼の前で警官隊が警棒をふるっております。『コノヤロウ、バカヤロウ』と言っております。今なぐっております」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「マイクロホン近づけてみましょう。（乱雑に声が入る）警官隊が激しく暴力をふるっております。（バカヤロ、ナニスンダなど口々に）マイクロホンも警官隊によって、ひきずり出されております。蕃官隊によってひきまわされております」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「（サイレンの音）警官隊によって今、……首をつかまれております。今実況放送中でありますが、警官隊が私の顔を殴りましたッ。そして首っ玉、ひっつかまえて、お前何をしているんだというふうに言っております。これが現状であります」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「（オイ検挙シロ、検挙シロ、）向う側で、検挙しろ、検挙しろ、といって、はげしい暴力であります。私も首っ玉をひつつかまれました。すごい状態です。この状態、法律も、そして秩序も何もありません」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「ただ憎しみのみ。怒りにもえている警官隊と、そして学生たちの憎しみがあるのみであります」（ラジオ関東報道部（1960:190））

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「アナ　今、島アナウンサーが首っ玉をつかまれました。ものすごい勢いで警官隊に殴られましたが、この時の警官隊の形相、まったく人間とは思えないような激しい表情にみちみちておりました」（ラジオ関東報道部（1960:190f））

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「ただあるのは、動物としてのただ憎悪だけ、ここまで極言してもおそらく過言ではないものと思われます」（ラジオ関東報道部（1960:191））

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「ア、またあそこで今、このマイクロホンから、ものの十メートルと離れていないところで警官が二人、警官が、警官隊が、・・・・・・・スゴイ暴力です。警官隊のスゴイ暴力です。これが現場の状況です。これが日本の現代の情勢です」（ラジオ関東報道部（1960:191））

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「〔しばらく後〕　アナ　今政府発表があったそうでございます。／このマイクロホンのまわりにもずいぶんたくさんの人、おみえになっておりますが、マイクを回して御意見を聞いてみたいと思います」（ラジオ関東報道部（1960:194））