今までのついのべ一覧

かれきハナサカ/てごね#6971 @873k

先日、居眠りしようと直に床へ寝そべっていると、下から小太鼓のような調子が聞こえてきた。調子はすこしずつ変化し、時折小休止を挟むが、決して止まない。いよいよ耳障りになりはじめた頃、この家が一戸建てなのを思い出した。床に耳を付けると、今もあの調子が聞こえてくる。#twnovel

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「突然ですが、わたくし中華まんが食べたくなりました。ねえ出して？ねえねえ？」 最近捕まえた宇宙人が、ハムスター用の檻にぴったり顔をつけて言う。やなこった。「モルモットにしてやるぅぅ」って誘拐しようとしたくせに。 あいつのUFOをルンバがわりに、猫が横切った。#twnovel

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昔々、神無月の頃になると鬼が宴を開く山があった。ふもとの村に新しく越してきた男が愛息子を連れて山に入り、一人だけで戻ってきた。鬼に子を奪われたらしい。それを聞いた村人たちは邪魔な爺婆を捨てる好機だと山に入り、鬼に騙されてたくさんの爺婆を連れて帰ってきた。#twnovel

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#twnovel ：どこに行ったの、ドッペルゲンガー。もしかして、私はもう死んじゃってるの？ でもお腹が空くんだよ、毎日。出会って以来、鏡とじゃんけんするのが日課です。貴方は鏡の向こうに行ったかもしれないから。（あるいは、私が貴方のドッペルゲンガーだったのかなあ。なんてね）

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「この星座はいくらかな？」資産家は体を揺らす。ゲスな遊びが流行ったな。星座を買って、地上で飼い殺す。夜空にはもう、かの十二星座は瞬かない。星座職人の想像力で作られた、複雑な模様がひしめいているだけだ。「30円」僕の夢は、星座を売ってそれを残らず買うことだ。 #twnovel

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ふぁぼじゃ足りない。だから私は紙に書き留めるようになった。すてきなついのべ、我が身よとうなずくことば、きゅんとするうた。A4を小さく小さくちぎった紙に、ボールペンで日付とことばを書き移す。家をひとまわりふくらませるほどの紙片で、私だけのふぁぼったーを作るのが、夢。#twnovel

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「やあ、太陽」「おや、金星さん」「前を失礼するよ」「寡黙を売りにしていた貴方が、珍しい」「地球にもさっき、電話で謝った。大騒ぎするのが、いるんだってな」「なるほど。まあ、それも今回限りですよ。次まで……生きているかどうか」「そうだな、じゃ、また」「ええ、また」 #twnovel

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ああ、これは中毒ですね。睡眠の。携帯でもあるでしょ。充電しすぎると、かえって電池が疲弊しちゃう。あれですよ。とりあえず起こしてあげないと、だめですね。結構癒着がひどいんで。優しく。やり方？　まだないです。頑張ってください、ね。ほんと、お気の毒に…… #twnovel #百

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悩める就活生は、今日も空想の庭で地球を滅ぼす。昨日は宇宙から生命体が飛来した。就活生はその中で生命体と戦う勇敢な戦士にあらず、ただゆったりと死を待っていた。私の望みは、ただ地球の土に還ることだけなのに。ぽつりと履歴書に呟いて、今日も就活生は空想の庭に遊ぶ。 #twnovel

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君の手が好き。指が好き。爪が好き。髪が好き。耳が好き。口が好き。眼が好き。鼻が好き。肌が好き。胃が好き。腸が好き。脳が好き。骨が好き。足が好き。血が好き。心は嫌い。#twnovel

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バクさん。あなたちょっと、夢を食べすぎましたね？　ごらんなさい、こんなに値が高くなって。もうあなたしか夢喰いバクがいないからって、無理はしちゃいけませんよ。これ、いつものお薬ですから。１日３回と、お仕事の後、忘れずに飲んでくださいね。はい、お大事に。 #twnovel

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あなたが誰かの声を聴く耳となります。あなたへ花の香を渡す鼻となります。あなたに世界を映し出す眼となります。あなたを寒さと暑さと湿気から守る皮膚となります。 #twnovel せめてあなたの感覚を支配する生命体として。そうあることを許してください。

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やあ、さっぱりしましたね。桑の木は向かいの栗の木へ話しかける。ええ。まあ。しかし、今回の子は荒っぽいね、ほら。栗の木は折れた枝をかかげる。アハ、冗談はよしてくださいよ。あなた、元から弱いでしょう？　台風は彼らにとっての理髪店。夏への衣替えは、ひとまず完了したのだ。#twnovel

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絵の具売りは虹の根元に棲んでいます。穴を掘って染み出た水から絵の具を作り、毎日せっせとチューブへ詰めて売り歩くのです。子供ぐらいの背丈なのに、不似合いに大きな肩掛けカバンをかけて。でもご存知ですか？　絵の具売りは虹の根元を探した人間の、なれの果てなんです。 #twnovel

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よく晴れた空に浮かぶ雲をひとつかみ、氷の女王のグラスへ押し込んでください。そこに、裏ごししておいた淡い初恋を400ml注ぎ、四分の一にカットした太陽を（カットする時、太陽を抑える手にミトンを忘れずに）グラスのふちに差し込めば、素敵な夏の出来上がり。さあ、どうぞ。#twnovel

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君に手を売る。指を売る。爪を売る。髪を売る。耳を売る。口を売る。眼を売る。鼻を売る。肌を売る。胃を売る。腸を売る。脳を売る。骨を売る。足を売る。血を売る。心は、買ってくれないのか。#twnovel

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私は数字にこだわる女なの。記念日なんかは、しっかり覚えてるし、自分のお小遣や今月の支出もばっちり把握しているわ。……まあ、記念日をお祝いしたこと（されたことも）は一度もないし、お小遣は雀の涙より少ないし、支出なんて大したことないけど……泣いてないよ。ぜんぜん。 #twnovel

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#twnovel ボクはとっても優しい熊だよ。だってほら、ウサギのような顔をしてるでしょ？　（熊は森一番の暴れん坊）（つがいもできず、冬が来る）（川沿いに住んでいたウサギから、首が消えたそうな） （せめて熊は、友達が欲しかったのさ）

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#twnovel あるところに、目が覚めると虎になっていた殿様がいた。肉球とツメのある手じゃ箸が使えないので、彼はそばにいた家臣を頭から食べることにした。ばくばく。むしゃり。そのなんとおいしいこと。殿様は夢中になって次々と家臣や民を食べて、やがて国には人っ子一人いなくなった。

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#twnovel 図書館から出られない本がある。閉じこめられた本がある。罪深い本がある。閲覧者を渇望する本たちは幾万冊にのぼり、次々と脱獄を試みる。しかし、外の世界でだれかに読まれたという話は、とんと入ってこない。

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人魚姫は姉さん人魚たちに、「点字を教えて」と記した紙を投げた。読み終えた姉さんたちが何を打つのと問うと、姫は手元の紙に大きく「恋文」と書いて掲げた。素敵な笑顔があるのに、なんで。姉さんの問いに姫は悲しげな笑みをして、「恋文」の下に「彼の目は潰れた」と書き足した。#twnovel

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謎解きは殺人事件のあとですよ、お嬢様。この順番は揺らがないのです。声高に正義を叫んでも、謎は死体から湧いてきます。解き明かせ、俺を解き明かせ、と。お嬢様は解き明かせますか？　名探偵よりも、警察よりも、真犯人よりも早く。 #twnovel お楽しみは、謎解きのあとにいたしましょう。

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あたしは空を　夢みるひよこ　きょうも空とぶ　練習中　ぴよぴよ羽を　動かして　それでもお空は　まだ遠い #twnovel おんなじ背丈の　ちゅんこちゃん　とっくの昔に　飛んでいる　あたしは黄色で　あのこは茶色　茶色くなれば　飛べるかな

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世紀末救済列車は１席２人がけで、お値段は３万円！　４日後に迫った終末に五里霧中だという皆様、当列車のご検討はお済みですか？　六道輪廻のレールに乗って、行き先は解脱。さあ、七転八倒する前に。予約は本日９時より、先着10名様まで承っております。 #10counts #twnovel

かれきハナサカ/てごね#6971 @873k

君の人生つまんないから、僕の人生上書きするよ。まずは同じ名字を名乗って、それから同じところに住んで、同じ釜の飯を食べよう。近所の人が混乱するから、君は左手薬指にこのリングを嵌めてね。僕はこれの色違いを嵌めるから。 #twnovel それじゃ、誓いのキスだ。