茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【領土紛争】連続ツイート
- riverland_c
- 5002
- 0
- 0
- 4
どに(1)動物行動学の分野でノーベル賞を受けたコンラート・ローレンツの著作に、On Agressionがある。動物、とりわけオスは、食べ物や餌、異性などの、「限られた資源」をめぐって争う。攻撃性は、動物の生きる本能に根ざした衝動であって、その科学的解明をローレンツは目指した。
2012-08-11 09:05:55どに(2)動物の攻撃性は、テリトリーを巡って現れる。二つの隣接するグループのテリトリーには、オーバーラップゾーンがあって、ここで異なるグループが出会うと、殺害を含む攻撃性が見られる。野生のチンパンジーを観察した研究によれば、そのようなリスクにもかかわらず、OZは無くならない。
2012-08-11 09:06:12どに(3)蝶をつかった研究においては、テリトリーを張るオス同志の争いにおいては、先にその場所にいたオスが有意に勝つ(個体を入れ替えても、やはりその場所にいたオスが勝つ)というresidency effectが見られる。人間で言えば、無主地先占で領土となる法理が関係する。
2012-08-11 08:47:39どに(4)領土紛争(territorial disputes)は、動物の間に見られるテリトリーをめぐる争いの人間版。オーバーラップ・ゾーンが避けられないため、あらゆる国の組み合わせで領土紛争は起こる。例えば、東南アジアにおけるマップ http://t.co/Tb12RmNu
2012-08-11 08:51:49どに(5)領土紛争は、関連する双方が、自分の立場が正しいと信じる一種の認知的失敗(cognitive failure)である。竹島問題で言えば、日本側から見れば(日韓併合よりも前の)1905年に無主地先占の法理によって島根県の一部になったものであり、韓国の主張は理解しがたい。
2012-08-11 09:12:54どに(6)日本側からすれば、竹島は日本領であることは明確なのに、韓国側は反対のことを信じる。ここには、同一の経緯を巡って双方の認知プロセスが異なるという「失敗」がある。なぜそのような事象が起こるのか、科学的な解明が問題の一端を照らすだろう。
2012-08-11 08:57:11どに(7)ところで、領土紛争は、関係する国の一方ないしは双方の民主化度が低い場合に先鋭化するという議論がある。ヨーロッパにも、領土紛争は存在するが(http://t.co/IMIlU1hD)、先鋭化しない。日本側から見れば、韓国や中国の民主主義国としての成熟度が問われよう。
2012-08-11 09:00:01どに(8)なぜ、民主主義の成熟度と領土紛争の先鋭化が関係するのか。民主主義とは、畢竟、自分とは異なる主張に耳を傾けるプロセスである。自分の主張が全面的に正しいと、声高に主張するだけの国には民主主義はないが、そのことと、領土紛争における対外的攻撃性はおそらくは相関する。
2012-08-11 09:01:29どに(9)中国共産党による「独裁」が続き、民主主義不在の中国が、尖閣諸島を巡っては日本と、南沙諸島を巡ってはベトナム、フィリピン、台湾、ブルネイ、マレーシアと対立を先鋭化させているのは、認知的失敗の一つの必然である。領土紛争の先鋭化と、民主化の成熟度はトレードオフの関係にある。
2012-08-11 09:03:43