生存権と再分配:生活保護かベーシックインカムか

生活保護とベーシックインカム(BI)についての比較。生存権の保障のために、再分配が必要である。再分配には、方法によって、サービス給付と現金給付がある。個々人によって必要な支援が異なることや、困難や支援の必要が分かりにくいグレーゾーンの人への対応について、生活保護とBIの比較、など。 先行するまとめ★1のコメント欄でBIが話題になったのをきっかけに、BIについてツイートしたのをまとめました。 ■まとめ末尾に、生活保護(選別主義)とBI(普遍主義)の違いについての論考を、 立岩真也氏HPからの抜粋により掲載しました。 「選別主義・普遍主義」http://www.arsvi.com/d/su.htm 続きを読む
3

●先行するまとめ:
★1.「貧乏人の不労所得は叩くけど、金持ちの不労所得は叩かない二重基準:生活保護バッシングなど」http://togetter.com/li/354167

●関連するまとめ:
★2.「発達・精神障害などと健常の間の線引き、及び支援について」http://togetter.com/li/351105


 ■ 先行するまとめ

まとめ 貧乏人の不労所得は叩くけど、金持ちの不労所得は叩かない二重基準:生活保護バッシングなど ★まとめ『‥「生活保護は恥じゃない」デモに関する会話』の「貧乏人の不労所得は叩くけど、金持ちの不労所得は叩かない二重基準(ダブルスタンダード)」から、「嫉妬は通常自分より良い状態を妬むが、自分より悪い状態の人が良くなることへの嫉妬」や生活保護費より安い最低賃金、不満のはけ口が弱い立場へ向かうこと、いじめとの相違などのやり取りに関するまとめ。関連するまとめとの関係のメモ。 読みやすさのため、一部順番を入れ替えてます。 ●後に続くまとめを作成しました: ★「生存権と再分配:生活保護かベーシックインカムか」http://togetter.com/li/355608 ●追加しました。 ●先行するまとめ: ★「2012.08.08「生活保護は恥じゃない」デモに関する会話」http://togetter.com/l.. 14176 pv 113 1 user 254

↑ 上記まとめのコメント欄のツイートを以下 ↓ に転載。

■@zairo21氏からの要請で、同氏の上記コメント欄への生活保護及びベーシックインカムについての書き込み⇒http://togetter.com/li/354167#c658741以下4件の引用を削除しました

----------

ひじじきき @hijijikiki

ベーシックインカムについては、まとめhttp://t.co/Mjg0bRd3で「生活保護制度の拡充(制度変革)型のBI」を紹介しました。ご参考まで。 http://t.co/DqrIzO4I

2012-08-12 23:31:43

上記 ↑ ツイートに引用されているまとめの抄録を以下 ↓ に掲載。

------

まとめ 発達・精神障害などと健常の間の線引き、及び支援について 発達・精神障害などと健常の間の線引き、及び支援について。明確な線引きができないことや、当事者が「千差万別」なことと、支援のあり方に関して、のやり取りのまとめ。 イダヒロユキ氏のベーシック・インカム(BI)論や、貴戸理恵氏×山下耕平氏の対談などへ言及。 ●追加しました。 ■関連するまとめ: 「ヤノマミや発達障害と“我々”は連続しているのか:正常と異常の境界、言葉と因果的思考」http://togetter.com/li/339670 ■引用記事・文献: ★イダヒロユキ氏「「ベーシック・インカム」について――生活保護制度の拡充(制度変革)型のBIへ」http://www.geocities.jp/idadefiro/BIsyokuba.html ★貴戸理恵氏×山下耕平氏の対談「不登校は終わったのか?」http.. 5072 pv 16
ひじじきき @hijijikiki

@hijijikiki @show5shiba 続1)イダヒロユキ氏のベーシック・インカム(BI)論http://t.co/Ub1SzqLtにあるように、現物給付も重要性があると思います。再分配はまず生活保護や各種社会保障を受給しやすく充実させるのが先で、

2012-08-06 01:53:49
ひじじきき @hijijikiki

@hijijikiki @show5shiba 続2)その上でBIを議論しないと、福祉の切り下げの恐れがあります。この点はイダ氏に同感です。しかし発達障害や不登校・ひきこもり・ニートなどの「生きづらさ」系の人を考えると、線引きなしに可能なBIの個別給付も重要かと。

2012-08-06 01:54:31
ひじじきき @hijijikiki

@hijijikiki @show5shiba 続3)この辺は、「生きづらさ」系の当事者=支援者の貴戸理恵氏×山下耕平氏の対談http://t.co/i20QhQWKで、線引きできない・グレーゾーンへの支援としてのBIが議論されてますが、

2012-08-06 01:55:42
ひじじきき @hijijikiki

イダヒロユキ氏「ベーシック・インカムについて――生活保護制度の拡充型のベーシック・インカムへ」「BIの議論で、本当に労働問題や生活保護を入れているものはほとんどありません。逆に、BIによって年金や従来の生活保護など古い制度は‥(続く」http://t.co/Ub1SzqLt

2012-07-24 20:21:05
ひじじきき @hijijikiki

続き)イダヒロユキ氏「ベーシック・インカムについて――生活保護制度の拡充型のベーシック・インカムへ」『職場の人権』2010年5月/第64号「‥BIによって年金や従来の生活保護など古い制度はとっ払ってガラガラポン、みたいな感覚がすごくある」http://t.co/Ub1SzqLt

2012-07-24 20:22:48
ひじじきき @hijijikiki

続2)イダヒロユキ氏「お金だけのBIは完全に拒否すべきと思います。福祉サービス、教育などの現物給付も含めていかないといけない。その中で労働の分配、ワークシェアリングをしていくことも再分配ということで非常に大事」「ベーシック・インカムについ‥http://t.co/qrgPbQtr

2012-07-24 20:27:22

----------

■@zairo21氏からの要請で、同氏の上記コメント欄への生活保護及びベーシックインカムについての書き込み⇒http://togetter.com/li/354167#c659735以下2件の引用を削除しました

------

ひじじきき @hijijikiki

コメント欄では書きづらいので、これ以降ベーシックインカムについてはツイートのみに書きます。@zairo21さんなどご意見のある方は@hijijikikiのTLからメンションください。 http://t.co/aun5EADy

2012-08-14 23:20:19

 ■ ここから本まとめ

ひじじきき @hijijikiki

1)http://t.co/nT3k2ZBYのコメント欄で生活保護の話からベーシックインカム(BI)が話題となったが、以下に生活保護とBIについての私の考えを連投します。まず話の大前提として、①全ての人がまともに生存できる社会を目標とする。

2012-08-14 23:23:48
ひじじきき @hijijikiki

2)まともに生存できるとは、健康で文化的な生活が送れることで、生存権はその権利。次に、②生存権を保障し、実現するために、再分配:税金を徴収して福祉などに使うことが政策として実施されることが必要となる。具体的には、再分配により、

2012-08-14 23:25:07
ひじじきき @hijijikiki

3)③必要な人が、必要に応じて福祉サービスなどの支援・給付を受けられる制度を作る。広義の福祉サービスには、教育・医療・年金・生活保護などがあり、支援・給付の形態はサービス(現物)給付と現金給付とがある。さて、人それぞれに事情が違い、身体状況なども異なる。それ故に、

2012-08-14 23:25:47
ひじじきき @hijijikiki

4)④人により時により場合によって、必要な支援の形態や種類、必要な支援(サービスや金額)の量が異なる。全ての人に一律の金額を給付するベーシックインカムでは、この個人による事情の違いによる、必要な支援の違いに対応できない。この必要な支援の個人差に対応するために、

2012-08-14 23:26:28
ひじじきき @hijijikiki

5)⑤まず、個人の事情に対応できる、生活保護などの福祉サービスを誰でも取りやすく充実したものにする。その上で、個人が抱える困難や支援の必要が分かりにくい、表明しにくい所謂グレーゾーンの人に対応するためにベーシックインカムを導入する。

2012-08-14 23:27:13
ひじじきき @hijijikiki

6)グレーゾーンについては、まとめhttp://t.co/Mjg0bRd3を参照。以上述べた生活保護(選別主義)とBI(普遍主義)の違いについての論考は立岩真也氏HP「選別主義・普遍主義」http://t.co/oWFBWRCZに詳しい解説があります。

2012-08-14 23:27:40

■立岩真也氏HPから抜粋:
「選別主義・普遍主義」http://www.arsvi.com/d/su.htm

 選別主義・普遍主義

last update: 20120114

(....)

◆立岩 真也 1990 「」
 「社会福祉とそうでないものの境界が時にはっきりしないものに思われるのは、行為の内容について社会福祉が規定されるのか、行為あるいはそれに要する財の供給源から規定されるのかが曖昧にされることがあるからである。
 かつて政治領域においてなされる社会福祉と呼ばれるものは、経済的な困窮者を主要な対象とし(選別主義)、ここには他に援助する主体がないという現実、生存権といった基本的人権に照らしての要求、所得の再分配といった要因があった。それが今日、対象の経済的状態を問わないものとされるべきものとなってきた(普遍主義)とも言われる。しばしばこの移行が論じられる際に、「貨幣的ニーズ」から「非貨幣的ニーズ」への移行という言葉が用いられる(三浦[1985]、等を参照)が、もちろんそれを字義通りにとって誤解すべきではない。必要な財・サービス自体はいずれの場合も商品として購入することが可能だからである。…」(立岩[1990])

(....)

◆立岩 真也 1998 「分配する最小国家の可能性について」*,『社会学評論』49-3(195):426-445(特集:福祉国家と福祉社会)
「☆20 「選別主義」から「普遍主義」へという指摘がよくなされる。かつての特定の(貧しい)人たちに対してだけ給付する選別主義(ゆえにスティグマがともないがちだった)から、誰にでも給付されるようになる体制に移ったのだと言う。そして、それにともなってスティグマが付与されることがなくなるのだと言う。しかし、サービスの多くは一律に与えられるものでありえない。普遍主義だけが解決法だとしたらスティグマはずっとついてまわることになる。基本的な問題はスティグマが付与されること自体にある。」

(....)

◆小沢 修司 20021030 『福祉社会と社会保障改革――ベーシック・インカム構想の新地平』,高菅出版,195p. 2200 [amazon]/[kinokuniya] 
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/db2000/0210os.htm

 「かねてより、「福祉国家」下での選別主義的な福祉施策による福祉受給者の自尊心の損傷が、いわゆる「スティグマ」問題として常に大きな関心が寄せられてきたことは周知のことである。すなわち、福祉施策が貧困・低所得者に限定される場合、福祉施策の利用に際してのミーンズテスト(資力調査)が、「公衆のお世話」になるという「世間から切り離された存在」であり「社会の落伍者」であることを福祉受給者に強く意識させたり、申請をためらわせたりする傾向があること、あるいは、福祉サービス自身が質の劣った(=「劣等処遇」)ものになるということが問題にされたのであって、このような選別主義を脱する普遍主義的な福祉施策(サービス)の展開が模索されてきたのであった」(小沢[2002:113])

(....)
http://images-jp.amazon.com/images/P/4791765257.09.MZZZZZZZ.jpg

◆立岩 真也・齊藤・拓 2010/04/10 『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』,青土社,ISBN-10: 4791765257 ISBN-13: 978-4791765256 2310 [amazon]/[kinokuniya] ※ bi.

 「(3)どんな人にも一律にという「無条件性」について。私は一律の給付、「全員に同額を」という仕組みが是非とも必要であるとは考えない。誰に対しても金持ちに対しても一律の給付が必須であると主張するのであれば、ここで分かれる。BIの利点として言われるのはスティグマの回避と手続きの簡素さである。だが、スティグマの回避――これも日本では一九八〇年代に社会保障・社会福祉の「普遍主義」が提唱された時にずいぶんと言われた――を無条件性の正当化の根拠とするべきでないと考える。また個別には対応の仕方はある。手続きの簡素さについては、BIが他と比べて格段に効率的であるとは言えないと考える。必要な手続きはなくすことはできないしまたなくすべきでもない。そして必要性に応じた簡素なものを作ることはできる。第4章で述べる。」

第4章 簡素そしてスティグマの回避という主張について

 「1 本章の要約
 ベーシックインカム=基本所得(以下BI)は無条件に給付されるものであり、働いているかいないかを見ないものであるとされる。その理由として、一つに、制度として簡素であり、手続きが簡便であり、行政コストが安くすむことが指摘される。そしてスティグマの除去が言われる。ただこれらはこれまでも「普遍主義」という言葉のもとで言われてきた。まずそれをいくらか紹介する。
 次に簡便であるという主張について、渡すのはただ一人ひとりに同じ額を渡せばよいのだから、たしかに簡単ではある。しかしその場合も含め、資力調査は避けられないし、避けるべきでない。とすると、BI採用の場合の簡便さをあまり主張できない。また別の方法によってもすくなくとも同等の簡便さを実現できる。
 次に、スティグマ自体が不当であるとするべきである。それに対して現にスティグマの付与は存在するではないかという指摘はあるだろう。ただそれには工夫の手だてはある。個別に知られないようにすることは、してよいことであり、できることでもある。スティグマ回避のために全員に一律という仕組みが是非とも必要であるとは考えない。
 そしてこの間の「普遍主義」を巡る動向について。それは、社会保障・社会福祉全体について分配の契機を弱めることを正当化しまた実現する方向に働いた。そのことについて再考するべきである。」

◆野崎 泰伸 20110630 『生を肯定する倫理へ――障害学の視点から』,白澤社,216p. ISBN-10: 4768479391 ISBN-13: 978-4768479391 \2200+税 [amazon]/[kinokuniya] ※ ds.

◆立岩 真也 2012/02/01 「どれだけをについてのまとめ・2――連載 75」,『現代思想』40-2(2012-2):-

 「その前に、追加的な費用を与えるということ自体の性格を確認しておく必要がある。両者を内容としてなにか違うものと考える必要はない。本来は分ける必要のないものであること、同じであることを確認しておいた方がよい。理由は明らかである。同じ人が暮らすためのものを必要としまた実際に使用しているということだけが起こっているのであり、その意味では変わりはないということである(立岩[2009b:101-102][2010a:103-105])。幾度も言われてきたように、おおむねこの世は多数派用に作られている。その場合に同じものを得ようとすれば追加的な費用が発生するのは当然のことであって、その追加分が発生しないようにこの世が作ってあれば、それは(その都度)顕在化することはない。そのことを理解せず、この世における追加的な給付をその個人がいるために仕方なく必要とされるものであると認識させてしまうことになる。それはよくない。このように思われるし、言われる。そんなことで――それだけが理由ではないが――「ユニバーサル・デザイン」といったことも言われる。最初から万人が使えるようにしておけばよいというのである。その主張にまったく反対ではない。そうしておけば、ある人々用のことが今なされていると特別に意識されることもなくなる。そしてそれは多くの場合、個別にいちいち対応するよりもかえって面倒でなく手間がかからないといったこともあるだろう。
 これらはよいことである。ただ、仮にしかじかの範疇の人たちがいなかったら、しかじかの条件を満たしたその設備(とそれにかかる費用)は不要であるといったことはやはりこの場合にも言えることはあるだろう。また個々に対応した方が安くあがることもある。より大切なことは、同じ程度――それを正確に規定することなどできないしそれはそれでかまわないことは既に述べた――に暮らすために個々の差異に対する対応はやはり必要であると言うよりないことだ。基本的には、「スティグマ」を回避するために個別に差異化された給付は(できるだけ)控えるべきたといった話に乗る必要はないし、乗るべきでないということである(立岩[2010a:109-111])☆01。たしかに実際そんなことを気にする人たち、あるいは気になるとことさらに言いたがる人たちはいるし、そんな人たちが消え去るとも思えないから、目立たせることはない。そしてそれはおおむね技術的な問題であり、多くの場合そんなに難しいことではない。例えば生活保護の中にも各種の加算があり、その加算を含めていっしょに当人の口座に送金するといったことは可能である。可能であることはした方がよい。
 そのことの確認の上で、私たちは――分けることによって両者が連続しているものであることを忘れないようにしながら――(Ⅰ)(Ⅱ)を分けて考えていくことになる。たしかに差異はある。となれば、どれだけを供給するのか。ここに「判定」「認定」の問題が現れる。必要なものを拾ってきて集めて合算して、それに基づいて支給するものとされる。それをどうやって測るか。しかし、測る必要がはたしてあるのか、どんな場面で、なぜそれが必要とされるのかを考えることである。そしてその前に、どんな差異があり、それにいったい対応なるものができるのか、できないのか。」

「☆01 選別主義に普遍主義を対比する流れがあり、後者が肯定され、その時にスティグマの問題が持ちだされるのだが、その理路を検証し批判するべきだと述べた。同様のことは野崎[2007]、野崎[2011:107-113]でも主張されている。HPにこのことに関わる引用集がある(→当方のHP内を「選別主義」か「普遍主義」で検索→http://www.arsvi.com/d/su.htm)。」