【長瀧重信氏と山下氏のリスコミ経験】③
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島薗進氏のブログ
それでは本編スタートです。
1【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③長瀧氏著『原子力災害に学ぶ―放射線の健康影響とその対策』はチェルノブイリで同氏がひたすら「不安をなくす」「パニックを抑える」との信念にそって行動する姿勢を固めていく次第を述べる。拍車をかけたのは論争の的の1991年IAEAレポート。
2012-08-15 09:08:382【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③重松逸造を委員長とする国際委員会による、このIAEAレポートをめぐる論争において断固として重松側、IAEA側についたことが、前年のチェルノブイリとの最初の出会いの経験とともに、「不安をなくす」を基本とする長瀧氏の姿勢を一段と強めた。
2012-08-15 09:09:203【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③だが、この時まで長瀧氏はチェルノブイリでどれほどの診療経験、調査経験があったのか?調べる前に「健康影響なし」の立場は決断されていた。そうとすれば、以下の反応は何の不思議もない。「チェルノブイリ原発事故に関する最初の系統的な報告書であり」
2012-08-15 09:10:004【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③「現地のパニックを抑えるためにもっとも有効な情報を含む報告書であるにもかかわらず、当時の日本の報道機関は報告書に対して、「事故の影響を過小評価している」「ソ連政府の要請があったのではないか」といった批判を向けた。このような報告書が」
2012-08-15 09:10:205【長瀧重信氏と山下氏のリスコミ経験】③「出ると支援する側の意欲をそいで支援が少なくなることを恐れるという風潮もあり、重松委員長を執拗に非難するテレビの報道、新聞の記事も少なくなかった。」「支援する側の論理、感情、場合によっては自己満足と、被害者・被曝者の真に求める支援との関係」
2012-08-15 09:10:466【長瀧氏と山下氏のリスコミ経験】③「そして科学的な調査結果との関係は今も深刻な課題として残っており、本書の主題の一つである。」IAEAリポートは現地に入ったばかりの外国人科学者多数を含む調査団が、僅か1年程の間に、被災者+対照群計1356人を調査したもの(重松『日本の疫学』)。
2012-08-15 09:11:317【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③ここで注意すべきこと。1)科学的な調査結果は一様ではないが長瀧氏は一様であるかのようにいいがち、2)支援する側の思惑と被災者の望むものを対置し激しい批判をよんだのは、わずかな調査で「放射線による健康障害はない」と断定したことから当然
2012-08-15 09:14:348【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③甲状腺の被害も無視した記述は長瀧氏に責任がある。長瀧氏は科IAEA系の科学者への信頼を落としたこの報告書を全面的に擁護する叙述を行っている。長瀧氏は自らが被災者の「真に求める支援」を捉えているという口ぶり。「今も深刻な課題」というのは
2012-08-15 09:14:549【長瀧氏と山下氏のリスコミ経験】③チェルノブイリの「今」を指すのか、主に福島のことを指すのか、たぶん後者。「はじめに」に「被害者にとっては、たんに被害の事実を発表するだけでは、世の中での差別など不利益をもたらすだけであることを自覚し、調査結果の発表が被害者の救済につながる
2012-08-15 09:18:0210【長瀧重信氏と山下氏のリスコミ経験】③ように最大に努力してきたつもりである」。つまり被害が起こってもそれは直ちに伝えない、公表しないこともありうる。それが差別等の原因となり、被害者の利益にならないからだという主張。これは真実を伝えない方がよい場合は真実を隠すことをよしとする。
2012-08-15 09:18:2011【長瀧氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③こ「不安」や「差別」につながる真実は隠してもよい。少なくとも確定的になるまでは、できるだけ公表を控えるという立場。 のように詳細にわたる情報を知ることができる医師や科学者が、患者や市民に真実を伝えない姿勢、伝えなかったために増幅された
2012-08-15 09:18:4312【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③専門家への不信に対して責任を認めない姿勢は、長瀧氏の場合、1990年から91年に固められている。重松逸造『日本の疫学』と長瀧重信『原子力災害に学ぶ放射能の健康影響とその対策』は「不安をなくす」という第1義にそって事実を「知らせない」
2012-08-15 09:19:1313【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】③ことを正当化する情報操作を是とする考え方、またそれが生む専門家への信頼喪失に対して専門家自身がその責任を認めず、あくまで自らの正当性を主張する姿勢がいかにして形成されたかを物語っている。日本でこの選択を進めたのは重松氏と長瀧氏。
2012-08-15 09:19:4114【長瀧重信氏と山下氏のリスコミ経験】③チェルノブイリに関わる最初の段階で、診療や調査の結果の科学的判断がなされる前、最初のゴメリの病院訪問の際に選択はされていた。長瀧重信『原子力災害に学ぶ放射能の健康影響とその対策』はそのことを率直に認めるドキュメントとして読める。(続)
2012-08-15 09:19:59【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】①② http://t.co/GcRHZJ05 ③以下の続きも進行中。これらは「放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?」(1)http://t.co/inm12Vxq と接続予定です。ご助言ご批評よろしく。
2012-08-15 10:35:12