茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第687回「東アジアで、ナショナリズムが先鋭化する理由」
- toshihiro36
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ひな(1)韓国の李明博大統領が竹島に上陸したのに引き続いて、今度は、尖閣諸島に香港の活動家らが上陸した。中国政府は黙認していたものと思われる。中国国営中央テレビは、活動家たちの動静を、時々刻々伝えていたとされる。終戦の日にかけて、東アジア情勢が緊迫した。
2012-08-16 08:51:01ひな(2)なぜ、東アジアで今このような問題が頻発するのか。領土紛争(territorial disputes)自体は、無主地先占や実効支配をめぐる法理自体に内在する脆弱性により、あらゆる国家の組み合わせの下で起こりうる。中国や韓国に特段の悪意があるから領土紛争が起こるのではない。
2012-08-16 08:54:15ひな(3)問題は、領土に関する法理の脆弱性から必然的に領土紛争が生じた時に、当事国がどのように対応するか。民主主義の成熟度と領土問題についての強硬な姿勢は負の相関がある。つまり、中国や韓国の強硬な姿勢は、それぞれの民主主義の成熟の度合いが低いことを意味している。
2012-08-16 08:55:41ひな(4)ヨーロッパの諸国の間にも名目上の領土問題は存在するが、先鋭化していない。かつては、ヨーロッパ諸国も領土を巡って争い、二つの大戦を引き起こした。それが今日のような平穏を迎えたのは、経済発展や民主主義の成熟など、いくつかの要因がある。そして、これらの要因が東アジアにはない。
2012-08-16 08:58:14ひな(5)中国はめざましい経済発展にもかかわらず、その政治プロセスは成熟からはほど遠い。共産党による一党支配は、近代的な理念と相容れず、その体制は、常に不安定化の危険と隣り合わせになっている。このようないびつな国家は、そのねじれが、対外的な強硬姿勢となって表れやすい。
2012-08-16 08:59:36ひな(6)韓国は、経済発展がめざましく、また選挙を通した民主主義は確立しているものの、北朝鮮との間に分断国家の問題を抱えている。このために、国家主義的思考に向かわせる潜在的圧力が強い。このことが、竹島を巡る強硬姿勢へとつながっている。日本はスケープゴートなのだ。
2012-08-16 09:01:18ひな(7)中国や韓国に比較すると、日本は、選挙を通した民主主義の歴史も長く、また経済的にも成熟している。従って、領土問題などについて、ナショナリズムを背景にした強硬姿勢は比較的出にくく、実際そのように振る舞ってきた。問題は、相手が強硬姿勢で来たときに、どのように反応するか。
2012-08-16 09:02:50ひな(8)国際法上、実効支配には重い意味がある。実効支配を巡る争いは戦争になるが、日本、韓国、中国の間での戦争は着地点が見えず、現実的なオプションとはなり得ない。日本が実効支配している尖閣諸島に民間の活動家を使って上陸する中国の行動は、国家としての非成熟の一つの現れである。
2012-08-16 09:06:09ひな(9)自国の歴史や文化にプライドを持つことと、他国に対する攻撃性としてのナショナリズムは異なる。後者は、その国が未熟であることの表れである。韓国、中国の未熟なナショナリズムに対して、日本はプライドを保ち、国際法上のプリンシプルを持って、毅然とした態度で臨むべきだろう。
2012-08-16 09:08:31