【仮面ライダークウガ】34・35話に関する切通理作さんと國分功一郎さんの対話をまとめてみました。

「ユリイカ2012年9月臨時増刊号 総特集=平成仮面ライダー」巻頭の白倉・國分対談。(この対談は白倉さんの著作「ヒーローと正義」をベースにしている部分が多々あります)。この対談で語られている、主にクウガ34話「戦慄」35話「愛憎」の描写に関して、後日、切通理作さんと國分功一郎さんが遣り取りされていたツイートをまとめました。 ※ニコ生×ユリイカ 『平成仮面​ライダーを語る』 宇野常寛×​切通理作  http://live.nicovideo.jp/watch/lv104012595 …しかしなぜ皆さん「35・36話」だと勘違いされているんだろう^^; ※関連まとめ 「ユリイカ・平成仮面ライダー特集に関するクウガクラスタ会話メモ」 http://togetter.com/li/408899 ※この対話に関する、まとめ人個人の感想は下記ブログに書いております。 続きを読む
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國分さんの「ユリイカ臨時増刊・平成仮面ライダー」発売前のツイート。

KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

白倉伸一郎さんとの対談に際してはかなり入念に準備しました。僕はライダーは好きですが、決して宇野さんのようには語れないので、僕なりの切り口を考えてみた、という感じでしょうか。

2012-08-08 01:57:18
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

とにかく白倉さんという人は豪快で面白い人でした。大好きだなぁ、ああいう人。白倉さん、ホームページとか著書に自分で書いたことを本当に全然覚えていないんだ(笑)。白倉さん「それいい話ですね」。俺「白倉さんがご著書でお書きになっていることなんですが…」。白倉さん「え?」

2012-08-08 02:00:12
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

白倉伸一郎『ヒーローと正義』は本当にもっと読まれるべき。この本、単なるライダーの打ち明け話みたいなものじゃない。或る意味ではライダーは関係ない。日本神話の構造論的分析(バルトによるラシーヌの分析のような)から始まって、90年代日本の社会学的分析まで。まじすごい。

2012-08-08 02:13:02

ニコ生×ユリイカ 宇野さん切通さん対談の前後

KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

宇野さん、白倉さんと俺の対談でも取り上げた『クウガ』の第35、36話の問題、できれば取り上げてください。@wakusei2nd 【08/14 20:00開始】ニコ生×ユリイカ 『平成仮面ライダーを語る』 宇野常寛×切通理作 http://t.co/6sFfyfoS

2012-08-14 19:05:16
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@wakusei2nd 宇野さん、きちんと言及してくれて、ありがとう。

2012-08-14 20:14:24

ニコ生対談放送後

切通理作 @risaku

@lethal_notion 初めまして。ユリイカ対談楽しく読ませて頂きました。あのクウガ35、36話に関して、僕は白倉さんの解釈とは180度違いました。当時見ていた自分にとっては、正義につく側の怒りの怖さを「それが視聴者のお前自身の感情だよ」と突き付けられた体験だったのです。

2012-08-15 14:59:18
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku メッセージありがとうございます。またユリイカでの白倉さんのとの対談をお読みいただき感謝です。旅行先なもので返信が遅れてすみません。先日の宇野さんとのニコ生も楽しく視聴しました。例のクウガ35、36話の話、切通さんの感覚は分からないことはありません。(続)

2012-08-17 17:52:56
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku 対談でも述べた通り、白倉さんの著書のあの記述を僕は社会学的なものとして受け取りました。クウガのあの描写と(白倉さんが詳細に日付を記していた当時の法案提出等の)社会の動きを並べてみた時に考えられる、あの描写が社会一般に対して持った効果を白倉さんは取り上げていました。

2012-08-17 18:01:14
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku 社会一般に対する効果の社会学的な解釈としては、僕には白倉さんの記述は説得的でした。あの時代のあの雰囲気の中であのような描写は多分そのように受け取られただろう、という意味でです。しかし、それは社会学的な解釈に過ぎません。作品論として別の解釈もあり得ると思います。

2012-08-17 18:06:27
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku また当時、切通さんのように全く別様に受け取られた方もいるはずです。それも分かります。ただ、その場合、同回での雄介の保育園での振る舞いを、切通さんがタコ殴りを解釈したのと同じ仕方で受けとることは可能なのかという問題は残るかなと思いました。

2012-08-17 18:12:37
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku 保育園では雄介は視聴者を諭すようないいメッセージを発している。しかしタコ殴りの時だけ、正義の側の怒りの恐ろしさを「それが視聴者のお前自身の感情だ」と突き付けるのだとすると、視聴者に対する雄介の立ち位置が一話の中でガラッと変わってしまっていることにならないでしょうか

2012-08-17 18:17:15
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku もちろんそういうこともあり得るとは思うのですが…。切通さんはあの回のカメラワーク(怪人目線)のことを宇野さんと話されていました。それはなるほどと思った次第です。また見直してみたいと思います。最後に、僕はクウガは好きです!僕はクウガで平成ライダーに入りました。

2012-08-17 18:23:02
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku 長々書いてすみません!最後までお読みいただきありがとうございます!國分

2012-08-17 18:23:35
切通理作 @risaku

@lethal_notion お返事有難うございます。ご指摘された雄介の分裂・・・つまり雄介は暴力を嫌う優しい人間ですが、クウガになって戦い、最強の存在となった時、力が制御できなくなってしまうという予感と恐怖を持っている・・・ということ自体があのシリーズの縦軸なんです(続きます)

2012-08-17 19:23:50
切通理作 @risaku

@lethal_notion タコ殴りをあえて殴られる怪人の側から捉えたあのカット、そしてクウガがその衝動のままにさらに強化され手のつけられない存在になる・・・という展開は、最終回に向けたヒーローの異形化への前奏であり、また「そもそも、ヒーローのしていることは暴力でしょ」(続く)

2012-08-17 19:27:03
切通理作 @risaku

@lethal_notion (続き)・・という高寺プロデューサーが戦隊シリーズなど東映作品に対して持っていた問いかけ、あるいは円谷プロのウルトラシリーズが描いてきた「正義が振るう暴力への疑問」に触れて育ってきたことへの作り手としての回答であったことを後に取材で知り、(続きます)

2012-08-17 19:30:40
切通理作 @risaku

@lethal_notion (続き)私もまた同じ時代を生き感じてきたものを、作り手として投げ返されたのだなと、思いました。よろしければ拙著『特撮黙示録』、そして「東映ヒーローMAX」Vol.39・40でのインタビュー批評の連載「仮面の世界」 における高寺氏ゲスト編を・・(続く)

2012-08-17 19:34:04
切通理作 @risaku

@lethal_notion (続き)お読み下されば幸いです。手に入りにくいようでしたら手配します。『特撮黙示録』ではアギトそして3・11を同時代とする龍騎までを記述し、白倉プロデューサーがさらにどういう展開をされたかも自分なりに見つめています。長くてすみませんでした。

2012-08-17 19:37:07
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@risaku 切通さま、丁寧なお返事をありがとうございます。作り手側にもそのような意識があったというのは貴重な情報ですね。ありがとうございます。この機会に『特撮黙示録』拝読いたします。記事の方も探してみます。國分

2012-08-18 09:26:22
切通理作 @risaku

@lethal_notion ありがとうございます。見つからなかったらおっしゃってください。幼い頃ウルトラシリーズで正義の相対化を意識した人間の中には、表れ方は違ってもそれを長じて自らの表現に組み込もうとしている場合があると僕は思っています。

2012-08-19 02:02:44

まとめ人補足:
先に書いたように、國分さんの主張は白倉プロデューサーの著書「ヒーローと正義」の記述をベースにされています。
そのため、上記会話で話題となっているクウガ34・35話の解釈に関して、「ヒーローと正義」での記述を一部引用させて頂きます。

『(前略)少年犯罪について議論沸騰する社会に対して、明確なメッセージを送っていたといえよう。
「最近の子どもたちはわからない。けれども、人を殺すようなヤツは、少年だろうがなんだろうが、怒りの鉄槌をくだすべきだ!」と。』

…クウガの描写が、そのように受け取られるものかどうかは、実際に本編を(1シーンだけではなく)ご覧になって判じて頂きたいと切に願います。