茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【なぜ、日本の大学がレジャーランドと化しているのか】連続ツイート

2012.8/18 茂木健一郎氏:連続ツイート第689回 【勉強の、イメージが間違っている】 …なぜ、日本の学生は、大学入試まで必死に勉強するのに、大学がレジャーランドと化しているのか。いろいろな説明があり得るが、一つの論点は、「勉強」の「内容」および「スタイル」に関わることだと思う。一体、「勉強」という言葉で、どのような活動を想定するか? そこに根本がある…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第689回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、そろそろ秋の気配も感じられる今日この頃にふさわしく。

2012-08-18 08:42:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(1)波頭亮さん(@ryohatoh)がよく指摘されるように、日本人は大学に行くと余り勉強しなくなる。一方で、アメリカのアイビーリーグの大学生は、猛勉強をしている。何でも卒業までに何百冊も専門書を読むということで、この間の切磋琢磨が、資質の差につながってしまっている。

2012-08-18 08:44:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(2)なぜ、日本の学生は、大学入試まで必死に勉強するのに、大学がレジャーランドと化しているのか。いろいろな説明があり得るが、一つの論点は、「勉強」の「内容」および「スタイル」に関わることだと思う。一体、「勉強」という言葉で、どのような活動を想定するか? そこに根本がある。

2012-08-18 08:45:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(3)日本人の「勉強」のイメージは、このようなものだろう。試験期日が決まっている。そのために、出題範囲を「勉強」する。年号を暗記したり、問題を解いたりする。このような日本的「勉強」のイメージが強すぎることが、大学に入ってからの勉強時間の伸び悩みにつながっている。

2012-08-18 08:48:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(4)試験のために、出題範囲を「勉強」する。このようなスタイルの「勉強」は、オープンエンドでもないし、持続可能でもない。何よりも、モチベーションが維持しにくい。試験の点数自体には、二次的な報酬としての意味しか無い。そこには、意義も、広がりも、つながりもない。

2012-08-18 08:49:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(5)視点を変えて、勉強を、「プロジェクト」と見てみる。例えば、今問題になっている「竹島」の領有権を巡って、原稿用紙100枚のエッセイを書くことを考える。すると、調べることが無限にある。日韓の歴史だけでなく、領土をめぐる国際法規、戦後処理、アメリカの見解など、興味が広がる。

2012-08-18 08:50:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(6)あるいは、アインシュタインの一般相対性理論における、ブラックホールの意味についてのレビューを書くことを考える。すると、そのために必要なテンソル解析、リーマン幾何学といった数学や、関連論文、シュヴァルツシルトの生涯など、調べるべきことがたくさん出てくる。

2012-08-18 08:53:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(7)「勉強」というものを、試験のための準備ととらえるのではなく、一つのテーマを巡る「プロジェクト」として見た場合、大抵の場合やることがたくさん出てきて、いくら時間があっても足りないことになる。大学生がエネルギーを注ぐべき「勉強」のイメージとは、本来このようなものだろう。

2012-08-18 08:55:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(8)日本人の「勉強」時間が、なぜ大学に入ると伸び悩むのか。それ以前からの、「勉強」のイメージが間違っているからだと断ずる。プロジェクト・ベースの「勉強」は、より社会人になってからの仕事に近い。そして、プロジェクトのテーマは多様であり、容易に比較などできない。

2012-08-18 08:56:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

べい(9)日本人の大好きな「偏差値」は、ペーパーテストとそれに向けた勉強という、チマチマした世界だけで成立する。プロジェクト・ベースの勉強に切り替えた瞬間、課題は無限となり、喜びは深く、そして自分の個性が輝く。日本人は勉強が嫌いなのではない。勉強のイメージが間違っているのだ。

2012-08-18 08:57:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第689回「勉強の、イメージが間違っている」でした。

2012-08-18 08:58:07