竹熊健太郎さんの電子出版論

「電脳マヴォ」というWeb漫画雑誌を主催しているサルマンの竹熊健太郎さんが、独自の電子出版論を呟かれていたので、とりあえず、まとめてみました。いずれ、ブログに改めて発表されるそうです。
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竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

電子出版って、今のままだとまず利益が出ない構造だと思う。「自費出版の配信業」から始めるならまだしも。それはつまり同人誌即売会のブース貸し商売から始めるのが無難で、僕から見るとパブーなんかはそれをやってる。しかしそれは通常私達が考える「出版」ではないよね。

2012-08-22 12:15:33
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]「紙の出版」は、あくまで版元が中心。版元が企画を立て著者に原稿を依頼し、出来た原稿をデザイン・製版・印刷・製本して「作品を商品としてパッケージする」。それを取次に流して書店で販売。上がりを著者や印刷屋に配分する。これが出版の大まかな流れで、全ての要に版元がいる。

2012-08-22 12:24:01
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]なぜ紙出版の中心に版元が立てるかと言うと、版元は「物理的コンテンツメーカー」だからだ。作品の原稿は作者の創造物だが、それを本の形(物理的コンテンツ)にするのが版元。取次・書店はそれを流通・販売して売上げを版元に納める。版元は、そこから経費と利益を抜いて残りを著者に支払う。

2012-08-22 12:35:07
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

後で本文を補足しますが、同人誌は版元が介在しないのではなく、著者が版元を兼ねた状態です。RT @yoshisakana: @kentaro666 電書の場合ハリーポッターの例もあり判断基準に悩んでおりました。版元の有無によって同人と出版との違いを判断すればいいということですね。

2012-08-22 12:37:37
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]かつては「物理的コンテンツ」で読む以外、著作に触れる手段はなかった。作品を書くこととそれをパッケージ化し流通販売させる事は全く異なる作業で、作者はパッケージ化と流通販売を版元に委ねる事で、より創作に集中する事ができた。

2012-08-22 14:08:57
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]作品を物理的パッケージ商品にし、それを流通販売させることは、以前はとても敷居が高い作業だった。作品は素人でも作れても、それ以降の作業は「プロ」に任せる以外、作品を世に出す方法は殆どなかったのだ。その構造に最初に亀裂が生じたのがコミケの成立だ。

2012-08-22 14:08:58
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]即売会が既存の出版流通に打撃を与えなかった理由は、あくまで時間と場所が限定されていること、同人作品の主流が二次創作になった事だと思う。二次創作である以上、一次創作の出版権を持つ版元は同人誌界に対して「お目こぼしを与える」という形で影響力を保持する事ができた。

2012-08-22 14:09:00
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]つまり版元から見ると二次創作は「コストゼロの作品宣伝」と考えることもできるということです。二次創作の出来があまりに良すぎて一次創作と混同される危険があるケース(例・ドラえもん同人誌事件)が出た場合のみ、版元は毅然とした対応をとり、後はお目こぼししておけばいいわけです。

2012-08-22 16:20:44
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]私が電子出版について呟いた理由は、先日@ニフティのビジネスページで「電子コミック出版」に関する取材を受けたからです。先方には「今、電子書籍が盛り上がっている」という結論が先にあり、私の「電子書籍はまだ利益の出る構造になってない」という発言は大幅に縮小して掲載されました。

2012-08-22 16:32:22
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]しかし、その事を私は問題にしているのではありません。文責は先方にあるのですから。むしろ #電脳マヴォ をあれだけ紹介していただいて感謝しております。今はブログもツイッターもありますので、インタビュイー自らが「補足説明」できる時代です。それで補足しようと思っただけです。

2012-08-22 16:38:29
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]@ニフティの取材の補足で言い忘れていた電子出版のメリット。「原則として返本が存在せず、ひとつのコンテンツを半永久的に販売し続けることができること。」もしかすると、これが電子出版最大のメリットかもしれない。

2012-08-22 16:53:56
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

[承前]@ニフティの取材の補足で言い忘れていた電子出版のメリット。「原則として返本が存在せず、ひとつのコンテンツを半永久的に販売し続けることができること。」もしかすると、これが電子出版最大のメリットかもしれない。

2012-08-22 16:53:56