覚醒の作品傾向に関する一考察

覚醒はやっぱり戦争モノではなくファンタジー作品であった、という視点から、そうなった理由とそうならなくてはならなかった必然について考察しました。 まるっとがっつり遠慮なしのネタバレなので最低一度はクリアした方向けです。
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C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL TLで見かけた話題に勝手に乗っかってみるぞう~ 覚醒は従来のFEと比べて戦争モノとしての色合いが薄い、って意見は私もぼちぼち色んなとこで見かけてて、自分も全く同じ意見なんだけど、これは多分制作陣も分かった上であえてそういう作品として作ってるように思う。

2012-08-23 14:33:08
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL ていうのは、覚醒の(私が推測するところの)ベーシックコンセプトと重厚な戦争モノというコンセプトは両立しえないモノだと思うので。恐らく覚醒のストーリーのメインテーマは『絆の力で運命を変える』運命を変える、つまり時間遡行の要素が物語の中核に不可換な部品として在る

2012-08-23 14:53:35
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL いわゆる戦争モノの物語の重厚さ、一つは人の生死の極限状況という面もあるけれど、やはり大きいのは歴史の巨大なうねりの最前線を描き出しているところから来ていると思う。そして歴史の重みってのは過去から綿々と続く人の営みの積み重ねによって存在する現在、そして

2012-08-23 15:12:37
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL それを踏まえての現在からの新たな積み重ねで未来を築きあげようとする人々の営み、という、運命の、時間の不可逆性から来るものだと思う。

2012-08-23 15:23:33
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL よく「歴史にifはない」というけれど、ifがないからこその歴史だ、とでもいうか。 んで一方、覚醒が「運命を変える」物語として作られたのは、これ多分なんかそういうメッセージを表現したかったとかいうより、『親子世代の共闘』をやりたかったからなのだと思う

2012-08-23 15:39:39
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@null より正確に言うなら『親子二世代が同時に共闘できる「ゲームとしての」面白さ』というか。支援Sの組ができた途端にマップ上に道がぐぐ~んと伸びて新しいMapの入り口が現れる驚き、とか。親子支援会話はもちろん、ダブル状態でキラキラ升に乗った時の親子だけの特殊会話とか。

2012-08-23 16:05:40
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL この親子共闘をやるために盛り込まれたのが時間遡行のギミックであって、しかもこれはサプライズ要素として入れられている(サプライズさせたいわけだから)。よって主人公の視点は必然、遡行を行う側ではなく、遡行者と出会う側となる。

2012-08-23 16:28:18
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL ところで時間遡行モノでは歴史を重く描くことは不可能なのか?もちろんそんなことはなくて、時間遡行モノで、歴史を重厚に描いた名作は複数あると思う。そしてその場合、ストーリーの主軸は、主人公側の動機は「歴史の改変を止める」という所に置かれることが多いように思う。

2012-08-23 16:33:52
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL 「歴史は重いもの、その歴史を自己の欲するままに改変しようという行為は悪であり、阻止すべきものである」というふうに。例えば…と思ってここで具体的な作品名挙げて例示しようかと思ったけどそれすごいネタバレ行為だと気付いた ので断念

2012-08-23 16:41:00
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL ところでそもそも時間遡行者の存在自体、時間軸の因果律を破壊するものなわけで、そうなるとストーリー上の最初の時間遡行者の目的は歴史を改変するところにある。覚醒ではこの最初の時間遡行者は主人公側の人物であり、主人公側が歴史の改変者の側に立つことになる。

2012-08-23 16:47:21
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL これは「歴史は重い」という価値観とは対立する行為となる。ところが戦争モノの重厚感は歴史の重みを基盤において描き出されるものである。つまり覚醒の場合、そこに物語の主眼を置いてしまうと、物語が打ち出す価値観と、主人公側の行動原理が対立してしまうことになる。

2012-08-23 16:52:45
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL だから覚醒の製作陣は、従来のFEで中心に据えられていた戦争モノとしての重厚さを、覚醒においては、あえて、少し脇によけて作品を作ったのだと思う。覚醒の作品としての主軸が、作中でブレることを避けるために。遊び手を混乱させ、ゲームに没入することを妨げないように。

2012-08-23 17:00:10
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL そして、その選択は「アリ」だった、覚醒においては大いに成功だった、と自分は考えてます。面白かったもの覚醒。ゲームとして。時間遡行と親子共闘のギミックも、大いにサプライズとしてサプライズされたし。見事に製作陣の掌の上で楽しく転がしてもらったと思っている。

2012-08-23 17:10:25
C.K.アキヲ @CK_akiwo

ざっくり以上でござる。本当はもうちょっといろいろ論立てに組み込みたかった話とかもあったんだけど、文章構築力不足でうまくできませんでした残念。

2012-08-23 17:12:13
C.K.アキヲ @CK_akiwo

やっぱ後でちょっと追加しよう

2012-08-23 17:29:36
C.K.アキヲ @CK_akiwo

冬コミ申し込みも無事できたし昨日(一昨日?)の覚醒考察にちょっと追加しよう また@kakuseiTL宛てに投げます

2012-08-25 01:03:51
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL 前回迄の要約 覚醒が戦争モノとしての色合いが薄いのは、親子共闘のギミックとして時間遡行を採用したために、物語の主軸が『絆の力で運命を変える』つまり歴史改変物語となり、不可変の歴史の重みを前提とする本格歴史物語としての戦争モノとは主題の相性が合わなくなったため

2012-08-25 01:05:23
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL これに加え、さらにもう一つの重大な要因として、「歴史改変」というある種の反則技の採用を正当化するようなストーリーが必要となったことが挙げられる。

2012-08-25 01:15:00
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL 歴史改変とは、本来存在したはずの世界の事実を全て否定する行い、因果律に対する叛逆である。これを従来のFEのような、戦争モノとしての色合いが濃い物語に取り入れてしまったらどうなるだろうか。

2012-08-25 01:15:39
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL 優れた戦争モノは、戦争を単純な正義と悪の戦いとしては描かない。ある一つの正義と、もう一つの別の正義とのぶつかり合いとして描いたり、そもそも正義とは何か?と問いかけるようなものである。

2012-08-25 01:19:00
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL 勿論、FEがあくまでゲームである以上、プレイヤーはある一方の陣営に立って物語を動かしていくわけで、そこでは主人公側により重きを置いた描き方がなされることは当然ではあるが、戦争モノとしての深み重みを演出しようとするならば、対立する陣営にも相応の動機、正義があり

2012-08-25 01:25:09
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL 物語が核心に近づくにつれ、それが少しずつ露に成されていくような演出が非常に有効であり、事実従来のFEシリーズではこのような演出が多く取り入れられていた。

2012-08-25 01:27:16
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL …では、もし、このような物語の中に、時間遡行のギミックを導入したら、一方の陣営が歴史改変という人智も天命も否定するような行為を行おうとしたらどうだろう…?超因果律的手段による、ある一方の正義の肯定ともう一方の正義の否定…

2012-08-25 01:37:07
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL 悲劇的な戦いが起こらざるを得なかった物語の舞台背景の緻密さも、登場人物たちの真摯な想いからの行動の意味も、物語の主題を描き出していた何もかもがぶち壊しである。

2012-08-25 01:44:24
C.K.アキヲ @CK_akiwo

@kakuseiTL そうならないためには、敵は、もう一つの正義であってはならない。単純悪でなくてはならない。それも、ヒトの手によって立ち向かい得るような生易しいものであってはならない。超因果律的手段に拠らざるを得ないほどの、巨大で、圧倒的で、絶望的な絶対悪でなくてはならない。

2012-08-25 01:47:16